歪んだ創世記 (講談社ノベルス ツF- 1)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061820074

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいるとだんだん歪みはじめます。正常に保つために読みすすめないといけません…覚悟を!

    ぜひ〜

  • 1998年。第6回。
    記憶をなくした男女。九州の孤島(捨子島)に住む老夫婦と家政婦。そこで5人の男女が殺された、が結末。男の弟は、両親を殺した殺人鬼。幼虫が母を食べる蜘蛛の話。
    神って作者なのかーと、こういう手法もありだな。作者は結末に向けて、試行錯誤。
    5人目は誰なのか、が最後の謎なのだがww
    奇をてらった感はするなぁ・

  • 1998年、第6回メフィスト賞受賞作品。
    実験的なメタ・ミステリー。

    約20年ぶりに再読。20年前、積木鏡介作品は3作品刊行されていて、その3作を一度に買い、3作一気に読んで、しかしその作風が自分の好みに合わず、3冊とも読んだら処分する本のコーナーに置いてはみたものの、いざ処分しようとすると気が引けて、せめてもう一度再読してから処分しよう、と思ったまま、20年経ってしまいました。
    なぜ、あの当時再読しようと思ったのか、と考えてみると、おそらく、一室で意識を取り戻した男が記憶を失っていて、というところから始まるこの作品が、もう一度読んだら夢野久作の『ドグラ・マグラ』のように読めるかもしれない、という理由かもしれません。
    今回再読して、全然『ドグラ・マグラ』ではないし、記憶を失った男と女、というのは、『ドグラ・マグラ』よりもむしろ、宮部みゆきの『レベル7』の影響大かもしれません。

    それでも、メタフィクションとしても、孤島を舞台にしたクローズド・サークルものミステリーのパロディ作としても、なかなか面白いこの作品。再読した価値はありました。
    メタフィクションとしては、登場人物達が読者の存在に気づきこれ以上読まないでくれと頼む、とか、書き手が読者の思考を先取りし、読者は〇〇ページの文章を読み返すだろうなどと操られたり、となかなか楽しい。
    パロディとしては、普通クローズド・サークルものでは、というか、ミステリー小説には暗黙の了解があって、こういう展開は掟破りだ、という展開が終盤に待っています。

    こんなに個性的な作品であるにも関わらず、処分する本のコーナー行きになってしまったのは、登場人物に全く魅力がないからでしょう。
    主要登場人物は、記憶を失った男女、それに書き手である人物の3人。この3人が、ほぼ記号のような存在で、まあ、それは作品の性質上、あえてそういう風にしているのかもしれないですが、読んでいて全く共感が出来ない存在です。
    これが魅力的な登場人物であれば、書き手の思惑一つで、簡単に存在が消えてしまう儚い存在としての男女、あるいは、自らが作り出した世界では神のように全てを生み出せる存在、としての書き手に感情移入し、夢中で読めたかと思います。そして、この作品が文庫化もされない、ということもなかったのかな、とも思います。

  • 何と言うかさすがメフィスト賞。何でもありだなぁ。それなりに楽しめたし、中盤までは本当にドキドキしながら読めた。ラストはあれ、アリなのか……。

  • ”歪んだ創世記”積木鏡介著 講談社ノベルス(1998/02発売)

    ・・・第六回メフィスト賞受賞作。孤島の館で目覚めた記憶のない男女。三人の惨殺死体。
    全能の殺人鬼=創造主。
    確定された結末とねじれる現在。

    ・・・重厚な文体ながら読みやすく、かつトリッキーな作品。

    ・・・しばらく、作品の刊行がなかった著者ですが、
    近年、海外への日本作品紹介サイト”Breakthrough Bandwagon Books”や
    クトゥルフアンソロジー”闇のトラペゾヘドロン”に参加されているようです。

  •  俺の愛しいベビー・コスモ!
     再読。読んだのは十年くらい前なので内容はさっぱり完全に忘れてました。読んでる間中欠片も思いださなかったよ。ある意味すごい。
     で、結論から言えば、面白い。面白かった。何が面白かったのかを口にすれば壮大なネタばれになるという困った作品だけど。この人、筆折ったのかな。
     なんていうかな、無秩序を秩序立てて書くのってすごく難しいと思う。ナンセンスをセンス良く並べるのと同じくらい難しいと思う。どちらも頭がよくなければ無理。以下、空白ネタばれ反転処理。
     一言で言えば、「メタ」。もうバリバリの。ただでも、なんて言うのかな、もしかしたら先駆け的な何かだったのかもしれない。他にもいくつか似たような話読んでるけど、この話は上手い、の一言に尽きる。この系統って作者に力量がないと鼻で笑って終り、陳腐な印象の拭えないものになりかねないんだけど、いや、うん、上手いんだと思う、この人。
     一つものすごく感心した技法があったんだけど、これも書いたらネタばれになるから黙ってます。
     とりあえず読んでいる間中手のひらで弄ばれている感が拭えなくて、それが心地良い。
     抜粋。
    「<掟(ルール)>違反」
     たぶんこの一言がこの作品の中で一番無慈悲な言葉。

    11.01.11

  • 物語の途中から意外な展開・・・。

    その発想と理論的な文体は読んでいて楽しかった。
    特に、読者を物語に引き込む展開の仕方は好きだった。
    でも、小説の枠を超えた小説とも言えるこの作品は
    読者によって好き嫌いがはっきり分かれそう。

    僕は、発想は楽しめたけど、
    読んだ後に何も残らなかったというのが正直なとこ。

  • 「作者と登場人物と読者」
    結果こそが序章だった!
    結末は初めに分かるお話。
    ルールを変えずに作者が書く。
    まあ、おもしろかったよ。

  • メフィスト賞(6回)

  • 第6回メフィスト賞受賞作。
    アイデアは悪くないと思うし、メタ的でアイロニーの効いた展開もまあまあである。
    しかし、仰々しい文体は人によって評価が分かれるだろうし、途中の展開についていけなくなる感じや、結論(トリック?)が良くない点、論理的な矛盾がぬぐい去れない点が、
    未だに文庫化されないという評価につながっているんだろうと思う。
    ただ、読んで損をするような本ではないと(私は)思う。

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