- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061820166
作品紹介・あらすじ
電話の通じなくなった嵐の別荘地で起きた密室殺人。二つの隣り合わせの密室で、別々に死んでいた双子のごとき美人姉妹。そこでは死者に捧げるがごとく映画が上映され続けていた。そして、二人の手帳の同じ日付には謎の「PP」という記号が。名画のごとき情景の中で展開される森ミステリィのアクロバット。
感想・レビュー・書評
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犀川先生ファンの自分としては、合間合間の進行パートの方が楽しみ過ぎて肝心の本編はかっ飛ばして読んでしまったけれど、まあミステリー小説としては間違った事は何もしていないと思う。
この回だけ恐ろしく人気がないのは、やっぱりシリーズファンは萌絵と犀川先生のあれこれが好きなんだって事だねえ。 -
この作品は、ここまで読んで来た人への御褒美的サプライズ(?)だと思いました。好きのベクトルというか、種類というか、判定の土俵が違うので一概に優劣はつけられないでいますが、個人的にはシリーズ全十作品中、最も裏切られ?意表を突かれ?ともあれ、一番心地よい裏切りを受けたなぁ~と言う印象が残っています。
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◆評価
ミステリとしての要素はひとつだけ(密室トリック)で、それに関する様々な仮説推理が次々に披露される多重推理もの。だが、全体的には、ヒロイン西之園嬢と笹木とのロマンスの展開が多くを占めているため、ミステリ小説としての味付けはすくないと感じる。どちらかと言えば読みもの風。
密室自体も、そのトリックを解き明かすことで全てが終わってしまう(物語の結末に直結している)ため、ロジカルなミステリの醍醐味や、パタパタと複数の謎が繋がって展開していくような快感は得にくいだろう。
しかし、密室トリックとは別に、もっと大きな仕掛け(ネタバレ:http://ow.ly/g8zhP )がこの物語の屋台骨を支えているため、最後まで楽しめる内容になっている。
最後の一文がぴりりと効いて、より抒情的な雰囲気を増している。
できれば、講談社ノベルズ版で読むのをお勧めします。
この最後の一分の打撃力が変わってくるはずです。
読み終わってからタイトルをあらためて見ると、
「今はもうない」という言葉の重さが読む前と変わってみえるかもしれない。
このタイトルの導く感傷的な悲しみが、事件を望んで風化させるに至った人々のメランコリックに呼応するように感じ、切ない。
◆感想
初読だと思っていたら再読だったようです。(途中で大ネタを思い出してしまった)
ながらく森ミステリィは、理知的でつめたい感じのする風合いだと認識してきましたが、再読を重ねていくうちに、どうも正反対なのじゃないかなあと思うに至りました。
ミステリとしてはロジカルで緊密に作ってあるのですが、語り口はそれに反してとてもセンシティブで、メランコリック…。
本人の他の作品(SF:百年シリーズとかスカクロとか)にもそれは通じています。
犀川ももっと無機質で合理的な人間に感じていましたが、意味なしジョークを飛ばしたりして、どちらかというと風や水のようにかるーく生きたがる、柔軟な、自身の精神によく向き合う繊細なタイプなのかな、と認識を新たに。
(そういう目で見ると、浅田寅ヲ先生の描いた犀川のキャラデザがすごくぴったりに見えてきて不思議。) -
最後まで騙された。読み応えあり。
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既読
文庫版 -
真実は闇の中に。
著者プロフィール
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