暁天の星 鬼籍通覧 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061820791

感想・レビュー・書評

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  • 大阪は高槻市にあるO医科大学法医学教室。サイケなシャツ姿で現れたイケメン新人、伊月崇は先輩のミチル先生の元、解剖の日々。そんなある日、電車に身を投げた女性の遺体が運ばれてくる。そして日をおかず、車に轢かれた女性も。これらの遺体の共通点に気づいた二人は。

    とにかく解剖が細かく描かれるので、グロテスクな描写ばかりが印象に残ってしまう。
    事件も鬱々とした後味。
    登場人物が個性的で楽しいので、最後までリズム良く読めた、けど、伊月のイケメンって、必要かなあ。きっとモデルがいるんだろうなー。
    ビジュアル系ミスチル?

  • 不可思議な交通事故死をした若い女性たち。彼女たちは何かに怯え、自ら死に向かって飛び込んだように見えた。そしてその遺体に残った奇妙な共通点。彼女たちを死に追いやった者はいったい何なのか。法医学をテーマにしたホラーミステリ。そう、ばらしちゃってもいいよね。ミステリではあるけれどホラーでもあったのです。
    解剖についての描写がやたらと詳しくて、勉強になるかもしれません。印象的なキャラクターと軽妙な読み心地なのですが、解剖シーンは緻密で重厚。序盤で語られた事件の部分が堅実な謎解きだったので、続くメインの事件もそういう方向かと思っていたら、どうやら雲行きが怪しいほうに……いえいえ、こういう怪しさは大好きなのです。本当にこの結末にはぞくっとさせられました。でもこのような不思議なことがあったっていいのかもしれません。

  • 作者も後書きで述べている通り、ミステリーだと思って読んで見るとX-ファイルでした。
    大阪医大の法医学教室が舞台で、高槻、枚方、樟葉、星ヶ丘など馴染みのある地名が出て来てより現実味が感じられました。ご遺体や司法解剖の描写に生々し過ぎる所も感じましたが、後書きに書かれた作者の意図で納得しました。
    ミステリーでは無いと思えば、次作も楽しめそうなので、このシリーズももう少し読んで見ようと思います。

  • 最後、どんな種明かしがあるんだろうとドキドキしてたけど、まさかのオカルト。ただまぁ、専門の人が書いてると思うと、オカルトもなんだかアリな気がしてくる。プロだからこそ、理屈じゃ片付けられないいろんな経験してるのかなぁとか、想像が膨らんで楽しい。

  • ラストは謎が解明されず、えっこれで終わっちゃうの?と思ったけど、なかなか登場人物の個性が際立ってておもしろく読めた

  • ミステリー的な要素があるだけで
    謎解き要素はないです。
    登場人物の約3名が
    そういった行動をとることはとるのですが
    決してそういう作品ではないのです。

    この終わり方には賛否はあるでしょうが
    世の中よく見まわせば
    このような出来事なんかわんさかあるのです。
    人間はその一部に組み込まれているのに
    すぎないわけでして。

    1つ目はミステリー要素はあります。
    ただし2つ目3つ目以降は
    そう見えてないので
    ご注意を。

    主人公が何気にイケメン(ただし女性的)なのが
    いろいろと面白いです。

  • こちらの装丁では全六冊読了。
    (以下、装丁と年代設定を改め続刊中)

    巻によりますが、法医学教室の人々とホラーまたはミステリー時々ご飯、といった印象の作品。
    作者曰く、ミステリーではないなど特にカテゴリしないような話でしたので、そういうものだと思って良いかと思います。主人公たちの見聞きしているものを読むような。

    『暁天の星』『無明の闇』『壺中の天』
    『隻手の声』『禅定の弓』『亡羊の嘆』
    と続きますが、『隻手の声』は一冊幕間のような印象があり、この中では最も日常的に感じる緩やかさ。『禅定の弓』は動物と人間の関係や死、虐待に関して。『亡羊の嘆』は猟奇事件の裏に絡まる思惑……と、四冊目以降はホラー要素はありません。
    ただ、通して読めば主にどの巻も各個人の感情や価値観・言動は様々で、数多のそれが絡み合い様々な事件・事象や結末に結び付き、けれどそこが終点ではなくて、本に記された外側へこれからも続いていく。ように考えさせられる終わり方になっている気がします。

    登場人物たちは軽快で明るくライトノベル的ですが、解剖描写などは著者の経験を反映しているのか想像すると少し生々しいくらいです。
    お陰様で、読後は法医・監察ドラマを観た際に履修済みを感じる点がちらほら出て来ました。わ、わかり易い。

  • ミステリー+ホラーな作品。
    作者の椹野さんが法医学教室に在籍していらっしゃるだけあって、解剖の様子がとてもリアルでした。
    詳細に描かれているけれど、面白可笑しくしようとするのではなくあくまでリアルに、そして敬意を払って描かれているので、私は気持ち悪さは感じなかったです。
    (私は、です。無理な人は読み進められないかも。)
    登場人物は皆キャラが立っていて、掛け合いなど読んでいて楽しめました。
    終わり方が若干うーん…こういうお話ならもう少しぞーっとさせて欲しかったです。

  • 「最後の晩ごはん」から入った著者やけど、前述の通りの作家読みに明け暮れております。
    かなりハマッております。
    「にゃんこ亭のレシピ」も読み、「時をかける眼鏡」も読んで、いよいよ大人向けっぽいこちらへ取り掛かることになりましたー。

    どれももちろん面白いけど、各出版社(と、その本を読む読者)に合わせた作風になっている気がしてしょうがない。
    今回はいかにも「大人向け」な、仕上がりやと思います。先入観かな? 笑

    だって、講談社ノベルスやで!! うわー、なんか、懐かしい!!
    このフォント、懐かしい!!
    講談社ノベルスも読み漁ったよー(笑)。いろいろと。でも、著者は全然知らなかったなあ。
    出会えてよかった・・・。

    最近よくお目にする新刊もほんっまにいいけど、こう、読み込まれた本もほんまにいいよね・・・。
    ちょっと黴臭い感じっていうの・・・?
    私が小学生のころに図書館で借りていた本はもれなくこういう状態やったので、なんかもうこれこそ
    「図書館の本!」
    って感じ。

    ページはええ感じに柔らかくなっててさー!
    ほんで、講談社ノベルスはおしなべて大人ばかりが読むので、劣化はしてても状態はいいね。
    すばらしいです。

    初版は1999年やねんな・・・。

    案外古い。
    ほんで、このころって私が、一番読書をしていない頃やなあ。
    どうでもいいけど、このころにもっと読書をしていたら違う人生になっていたやろうなあと本気で思う。
    それがいいとか、悪いとかではなしに。


    さて、なんでか先にあとがきを読んじゃったんやけど、あとがきで著者曰くの
    「『きらきらひかる』だと思って読み始めたら『X-File』だったというような本」
    ちゅうの、そこまできらきらではないけど、言いえて妙やわ~!!

    きらきらひかるとまではいかなくても・・・。まあそうやねー・・・。ホームズやと思ったらX-Fileやった、くらいかしら。

    著者が力を込めて描写してくれたというてはる通り、法医学についてこまっかく書いてはった。
    専門用語が多かったり、解剖のシーンでは、ごはんを食べながら読むのは
    「あれ? 私、何してんねやろ・・・」
    と、思う程度にはウッとなる箇所もあったりなかったり(笑)。

    決してグロテスクなわけではないけど、謎解きのエッセンスとして法医学があるんじゃなくて、法医学小説のエッセンスに謎解きがあるって感じかな・・・。


    また私は、著者と同姓同名のキャラが作中にも登場するっていうのはどーーーうにも好きじゃないんやけど(フィクションはフィクションで楽しみたい・・・)今回は同じ名前やけど漢字が違うキャラが登場するという新しいパターンやった。

    (それでも半分くらいは集中力をそがれるけど)

    でも、高槻市にあるO医科大学って、もうあれしか想像できないんやけど・・・(笑)!
    作中にフィクションを求めるわりに身近な場所が舞台になるっていうのは、いいなー。なんか、想像しやすくて(笑)。


    峰子ちゃんが実は美雨なんじゃないの!? と、最後までトリックミステリ(?)を期待したのはナイショです。笑

    でも、よかった、身内犯人説じゃなくて。

    あと、「わからない」と、いえるかどうかのミチルの説。
    なるほど、と、思いました。
    私はかんたんに「わからない」と、いうてしまうきらいがあるような気もするけど(笑)、その組織で自分が一番の責任者となったとき、「わからない」と、いえるかどうかは・・・。

    言えるかも。笑


    即答しない癖は、いつから身についたんやろう・・・(笑)。
    研究畑の人間ではないんやけど、せやからこそ「なんでも答えられる、なんでも自分の配下」ちゅうような方向のプライドは、そうないのかも。

    頭脳的なことで上のほうにいったことがないため、あまりないんだよね、そういうプライド・・・(笑)。


    あと、「ホームの縁」という「ヘリ」は、方言かと思ってた! 違うかったのね。(;^ω^)

    (2016.05.08)

  • 法医学の話なので、ミステリだと思って読んでいたが、後半オカルトになってしまった。

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著者プロフィール

作家。監察医。講談社ホワイトハート「人買奇談」にてデビュー。代表作は「鬼籍通覧」シリーズ、「奇談」シリーズ(講談社)、「最後の晩ごはん」(KADOKAWA)、「時をかける眼鏡」(集英社)など多数。

「2023年 『妖魔と下僕の契約条件 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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