カニスの血を嗣ぐ (講談社ノベルス アY- 1)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061820913

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  • 嗅覚が異常になり、匂いが見えるかのように解る阿川という男が主人公。彼の眼に映る世界は異世界そのもの。匂いはとても色彩豊か。幻想的かつ生々しい世界を、なかなかにカッコいい文体で作者は描いてくれる。
    阿川の眺める世界だけでも面白いが、特殊な嗅覚を使った調査が独特で良かった。

    刑事のパートもあるのだけど、こちらに役割をもっと与えられないかと思った。後半だとこちらのパートの意味がなくなってきていたのでは。
    二人のうち片方が得た情報をもう片方が遅れて摑んだり、阿川の行動を刑事がいぶかしんだりする場面など、作中の情報の扱い方、出し方に違和感を覚えることがあった。

    独特で魅力的な世界を描き切る文章が凄かったので、他の五感を扱った作品も読みたい。

  •  臭覚が異常に発達した男が謎の女を追う話。その臭覚から見える映像の描写(比喩)の質と量が半端じゃない。帯で山田正紀がのたまうように「正に奇蹟的」(!)。凄い。ミステリとしてはどうかと思う面もあるので☆マイナス1。だが、最後は盛り上げてくれる。満足の一作。この比喩たっぷりの文章は永久保存して繰返し読みたい。文庫化を熱望する。

  • これはすごい。
    「書ききる」というのはこういうことか。
    ミステリ的には弱いけれど、この本の見所は多分そこじゃない。
    知らない世界を見せてくれたその人の見ている世界を見たいと思う。

  • 嗅覚が極度に発達した男・阿川は、死んだ犬に付いていた匂いをバーで出会った女に嗅いだ。その女も急死。悲劇の先には、男を破綻させた過去が。カニス、ラテン語で犬。昏い伝言を嗅ぎ回る男にも魔手が迫る

  • 嗅覚が極度に発達した男・阿川は、死んだ犬に付いていた匂いをバーで
    出会った女に嗅いだ。その女も急死。悲劇の先には、男を破綻させた
    過去が。カニス、ラテン語で犬。昏い伝言を嗅ぎ回る男にも魔手が迫る。

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著者プロフィール

1959年兵庫県生まれ。関西大学卒業後、コピーライターを経て、98年『ダブ(エ)ストン街道』で第8回メフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『石の中の蜘蛛』で第56回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。

「2022年 『我が尻よ、高らかに謳え、愛の唄を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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