妖奇切断譜 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 82
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061821033

感想・レビュー・書評

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  • この本、パラパラッとめくって「おや?」と思いました。
    時代小説。
    貫井さんの本にしては珍しい。
    貫井さんの本は好きで大体は読んでますが、時代小説というのは多分初めてだと思います。
    でも読んでみると、いかにも時代小説、歴史小説、という感じでなく、時代が違うだけでいつもの貫井さんのストーリー、小説だと思いました。

    時代は徳川の歴史が幕を閉じた文明開化の頃。
    バラバラに切断された女性の死体が次々と見つかる。
    殺された女性たちの共通点は、
    美女ばかりだということ。
    しかも、さる絵師の描いた、東京中の美女を描いた「三十六歌仙」という絵巻に描かれた選りすぐりの美女ばかり。
    そして、死体は無残に切り刻まれており、その死体の一部が持ち去られているということ。
    死体の捨て場所が何故か稲荷神社だということ。
    人々はこの奇怪な事件の犯人を「八つ裂き狐」と呼ぶようになる。

    主人公の公家の三男坊、九条惟親は同じ公家の出の知人よりその事件について探ってほしいという依頼を受ける。
    何故ならその歌仙に知人の妹が描かれていたから。
    しかも妹の珠子は三十六歌仙では最も美しいとされ、出自が唯一分からない謎の美女だった。
    そこで惟親は友人の朱芳慶尚に協力を頼む。
    朱芳は身体が弱く、家から出られないが、惟親の情報から事件を読み解いてゆく。
    その本筋の話と別に、女性の足に異常な執着心のある傘張り浪人の話が進行していく。

    読んでいると、この本はどうも続編らしいという事が分かりました。
    惟親と朱芳のコンビで今までに何か事件を解いた事があるらしい。
    そして、その事件は後味の悪い結果になったという事が分かります。
    でも、この本から先に読んでも何も支障のない内容でした。

    とにかく読んでてすぐに思ったのは「やはり、すごい文章力だ!」ということ。
    それまで合わない文章の本を何冊か読んでいたせいだと思いますが、そういうのを読んで貫井さんの本を読むと段違いの表現力、文章力だと改めて感じます。

    ただ、物語の内容としてはあまりに凄惨すぎて、その凄惨さの割には犯行動機が薄いので「う~ん・・・」という感じでした。
    ただ、犯行動機が薄い、納得いかないというのは常人の考えで、そんな理由で!?というその犯行動機こそがこの本の主題になっているように思いました。

    人間、所詮、自分主体の目線で見ては他人の事は分からないのだとこれを見ると思います。
    人にはその人なりの生きてきた歴史があり、それに培われた考えがあり、それにより行動を起こす。
    その様を残酷に描き出していると思いました。

    それにしても、どうでもいい事ですが、東京で最も美しいとされる美女ってどんなん?
    人の心も狂わせるほどの美女って・・・そんな美しい女性を生で見てみたいもんだ、と思いました。
    でも、多分私の想像の中にだけそういう美女は存在するのであって、そういう人は世の中のどこを探してもいないんだろうな・・・。

  • 『鬼流殺生祭』と同じ九条と朱芳のシリーズ第二弾。帝都で若い女性のバラバラ死体が見つかり、しかもそれらは全て稲荷社に捨てられ、死体の一部が持ち去られていた。そしてその被害者達は全員、美女三十六歌仙に選ばれていて…、という、ミステリ好きにはたまらない設定。前作と同じく、非常によく出来ていて読みやすい傑作だと思います。できればこのシリーズもっと書いて欲しい…!

  • 美人画に描かれた女性が切断死体となって稲荷神社に捨てられる。
    時代物でなければならない背景はあるのだが、同じテーマで現代ものにした方が面白そう。

  • この人は現代物しか知らなかったが、これは明治もの。面白かった。
    しばらくこの作家を読んで見る。最後の謎説きで、ちょっと急ぎ過ぎのきらいがあるのだけが、残念。

  • 時代と犯罪が合っていて、別世界を俯瞰している感覚で読んだ。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/6800975.html

  • 目新しい驚きはありませんが、話としては結構好き。ただ、せっかくの時代背景なのに、雰囲気に欠けるのがやはり残念です。

  • 免疫ができてきたのか
    貫井作品で一番あっさりと読み終えてしまった
    そして意外にも始めて犯人が速い段階で分かった!
    それにしても人間の嫌な部分を見事に書くなぁと思う
    だからおもしろいんだけど

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。93年『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で山本周五郎賞を受賞。他書に『天使の屍』『崩れる』『灰色の虹』『新月譚』『微笑む人』『ドミノ倒し』『私に似た人』『我が心の底の光』など多数。

「2018年 『女が死んでいる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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