垂里冴子のお見合いと推理 (講談社ノベルス)

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  • 講談社
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本棚登録 : 38
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061821217

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  • 垂里家には3人の子供がいる。大人しく読書好きの長女・冴子、破天荒で問題児・恋愛主義の次女・空美、本の虫で大学受験を控えた長男・京一。だが大黒柱・一路と妻・好江にとって一番の悩みは、問題児についてでも受験生についてでもなかった。
    長女の冴子は33歳。つまりはその…「お年頃」な彼女に対して叔母が数々の見合い話を持ってくるのだが、それらはいっかな上手くいかない。とはいえ、一年中和服で過ごしたりおっとりしすぎなきらいはあるが彼女に非がある訳ではないのだ。ただ、受けるお見合いでことごとくトラブルが起きるというだけで。まるで「お見合いが失敗する呪い」にかかってるかのように…。
    「春の章・13回目の不吉なお見合い」
    「夏の章・海に消ゆ」
    「秋の章・空美の改心」
    「冬の章・冴子の運命」
    1年を通しての、垂里家お見合いどたばたミステリー。

    春に桜を出したり夏には海に行ったり…と季節感をたっぷり出してるのも嬉しいのだけど、やはりなんといっても垂里一家&「お見合い界の孤高のハンター」合子叔母さんのノリが楽しいv 冴子が33歳で京一が17歳と16も年の差がある姉弟ですが、趣味が同じなのも相まって仲がよい。間に挟まる形の空美は23歳で、趣味は違うし地味な一家の中で1人だけ派手な容姿だし…と浮くかと思えば、空美と京一の姉弟もケンカしあいつつも仲よしですよね。問題児・空美に対しての両親の態度も「困った娘」とは思いつつも見捨てたりはしてないし、テンポのよい会話が小気味いいです。恋愛主義の空美とお見合い派の叔母さんの対決も見ものですよ(笑)
    こうやってキャラを考えると空美が中心のようですが、主人公は(多分)京一です。長姉を慕ってる京一は心配しつつも姉の見合いにやきもきしてます。
    対して見合いの張本人の冴子ですが、彼女は本当におっとり…。影が薄く感じるかもしれませんが、そんな彼女も見合いで起きたトラブルを見事に推理するという能力がある。極度の近視の眼鏡を外し、ぼんやりとした視線ながら推理を語る冴子はまるで夢を語るかのよう…。京一が自慢に思うのも分かる気がします。
    …が、そんな能力は見合いには関係ない上に、トラブルばかりで破談ばかりになるわけですが(笑)
    でも、そうでなければ話にならないこの作品の矛盾。冴子さんと垂里一家には申し訳ないけれど、もっと読みたい読者のためにもうちょっと見合いを続けてくださいなv 

  • 垂里は「すいり」と読むわけですが、題名を見た瞬間なぜか「垂見(たるみ)」と読み違え、いまだにその呪縛から逃れられません。

    おっとりとした文学好きな女性、垂里冴子に訪れる見合い話には、なぜかいつも事件が付き纏い、破談になってしまう。
    という話。

    止まっているようにしか見えない冴子ですが、気付けば遥か先を歩いている、そんな不思議な感覚を覚えます。
    いつのアンケートかは知りませんが、好きな女性探偵第二位もむべなるかなという感じです。

  • ずっと気になって読みたかったシリーズに
    とうとう着手! きっとハマるんだろうなーと
    いう予感たっぷりだったんですが...予想通りに
    面白く、もう続きが読みたくなってます。

    山口雅也さんというとどうしても
    「キッド・ピストルズ」やガチっとした
    本格派を思い浮かべますが、今作は山口雅也
    アナザーサイドという感じで肩の力をダダ抜きで
    ゆるりとリラックスしたコージーミステリ風が
    板に付いてます。ライトでポップだけど、それ
    だけでなくやはり文章の上手さが会話のテンポ感や
    ユーモアが引き立ちますなー。

    ー空美だった。 この使い方がツボにハマるくらい
    次女「空美」のキャラが秀逸。探偵役の長女「冴子」
    を喰ってますw。

  • 山口さんの作品は癖がある、となんとなく思っていたのだけれど、この作品は全然そうじゃなかった。実に読みやすく、適度に軽いけれどちゃちじゃない。たしかに「謎」は小粒だけれど、見せ方が巧いので問題はなし。「海に消ゆ」なんて、相当シンプルなはずだったんだけれど、これが一番良い気がしたし。
    だけど今のミステリファンなら、かなりの確率で「小鳥遊」の苗字は読めるだろうなあ(笑)。

  • 山口雅也のアンプラグドなミステリ。キャラクターがよく、さらっと読める。

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