最後から二番めの真実 (講談社ノベルス ヒD- 2)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061821705

感想・レビュー・書評

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  • うーん面白いけどなんか惜しい。

    まず、解決編までにあまり推理、考察がされていない。例えば小杉殺しに関しては、「なぜ吊るしたか」のみで殺された場所や吊るし方に関してはほとんど考察がされてない。
    スキャンダルに関することや、いつもの氷川節(=下らないことや、誰も意識しないような会話の中の心の動きを一つ一つ理屈っぽく説明していく)に結構な量が割かれている。
    面白いのだが、ちゃんと推理もしてほしいところ。

    真相は、吊るされた理由は破壊力抜群でかなり驚いたのだが、その後の推理がその理由ありきで進んでおり、確実性に欠けるのは問題。(氷川自身も分かっているようだが)
    大岡が偽物だったから綱島も、というのも少し飛躍しすぎな感がある。

    でもまぁ美帆の美しい推理より面白さに欠けることは著者も承知なわけだし、その上でのこのタイトルなわけだし、氷川透はやはり一筋縄ではいかないな。

  • 女子大のゼミ室から学生が消え、代わりに警備員の死体が。当の女子大生は屋上から逆さ吊りに。居合わせた氷川透はじめ目撃者は多数。建物出入り口はヴィデオで、すべてのドアは開閉記録で見張られる万全の管理体制を、犯人と被害者はいかにかいくぐったか?奇抜な女子大生と氷川が究極の推理合戦でしのぎを削る。

    まず、お伝えしたいこと。文章がひどい。読みにくい訳ではないが、ただただ下手くそ。
    気に入った登場人物がいません。ぶれぶれ。キャラがみえてこないので、この人が怪しいだとか、この人は本当のことを言っているのか?疑うことすら出来ませんでした。主人公氷川の行動や内面も一貫性がない。全2作を読んでいないから、キャラ設定がよく分からないのがいけないのか…(読まないといけませんね

    それを加味しても星3です。ほんとは4以上あげたいぐらい好みの作風なのに…

    ゲーデル問題。仮説を繰り返し、真相の議論。論理的な答えを求める推理合戦。
    大半を占める論証のパートだけで、ロジック好きには堪らない。

    フーダニットに行き着くまでの、そもそも殺人なのか?殺す必要性は?場所の必然性は?…など、論理的に詰めていくこの過程のわくわく感ったら。

    タイトルどおりな、蓋然性の高い推理の結論には、作者の企みがみえてニヤけること間違いなし(この企み自体は本格ファンなら評価できる歪みがあるのです

    ほんとにもったいない作品だ…容疑者が破天荒で綱渡りな犯行で、かつロジックも大好物な部類なのに!!


    電話口での会話、ファミレスの描写は、小学生の感想文かと思うよ。笑えないよ。

  • ゲーデル問題を作中から論じ、それに取り組んだ作品として非常に面白く読めた。「最後から二番目の真実」というタイトルについても本文中に触れられており、なるほどなぁと感心。
    氷川先生の作品は作中で登場人物の台詞を借りて議論されていることが、今まで私の中で「推理小説に対してなんとなく感じていた事」を見事にずばずば言い当てているので、読むたびに目から鱗が落ちる思いです。

    犯人がなぜ殺人を犯さなければならなかったのか、というホワイダニッドはおいてけぼりにされ、論理的どのように誰が犯行を行ったかを検証していく過程がたまらなく楽しい!(ここらへんは、推理小説の中でロジック第一主義者でないと楽しめないベクトルだと思います・・・)

    「ぼくの冗談は判りにくいってよく言われるんです」 大判振る舞いでニヤニヤしちゃいました。

  • 『つまり、この小説とはこういう論理体系ですよ、と小説外で保証する言説が必要だってことです。まさにそれこそが国名シリーズにおける〈読者への挑戦〉にほかならないーそう、法月論文は訴えています。

    ぼくもまったく同感ですね。国名シリーズにおける〈読者への挑戦〉は、江戸川乱歩が言ったような騎士道精神なんかとは、ほとんど関係ない。純粋に、論理的な要請から生まれたものです。』

    氷川透は最近では珍しい〈読者への挑戦〉がある作家。正統派かつキャラ映えもする作風が好き。主人公は同じ東大文学部哲学科卒でミステリー好きで作家志望だなんて、親近感わきまくり。しかも今回の舞台も哲学科研究棟だなんて素晴らしい!哲学とミステリー好きにはたまらない作品。
    彼の作品をもっとキャラ映えさせて、タッチを軽くすると古野まほろの天帝シリーズになるんだと思う。そう言えば新刊『天帝のみはるかす桜火』が出たので早く読みたいなぁ〜。

  • やっぱりこの語り口は好きになれない。本格のルールを戯画化したような舞台設定には苦笑しちゃうけど、これでもかと理論でねじ伏せてくる作風は、読んでいて面倒臭さいけど、やっぱり気持ち良い。
    真相はロジックでトリックを導き出すという、やっぱり偏執的なやり口で明かされるけど、まあ概ね納得。多少リスクが過ぎるかな、ってくらいで。
    にしても主人公うぜぇ笑

  • 後期クイーン的問題が主題

  • 読者への挑戦状や、ロジカルに語られるラストの種明かしなどはこれまでの作品同様に楽しめました。

    ただ、真相にはご都合主義的な部分を感じてしまい、探偵の前座となる役割の人物の推理である「最後から二番めの真実」の方が美しく、前作までと比べてスッキリとした読後感は味わえませんでした。

  • ”最後から二番めの真実”氷川透著 講談社ノベルス(注意:2001/02)

    ・・・女子大のゼミ室から学生が消え、代わりに警備員の死体が。当の女子大生は屋上から逆さ吊りに。居合わせた氷川透はじめ目撃者は多数。建物出入り口はヴィデオで、すべてのドアは開閉記録で見張られる万全の管理体制を、犯人と被害者はいかにかいくぐったか?奇抜な女子大生と氷川が究極の推理合戦でしのぎを削る。

    ・・・謎や状況は結構シンプルなのだが、それだけに解法が難しかった。
    既出のトリックもあるのですが、そのトリックと入退館記録・開閉記録が結びつかなかった・・・。

    哲学科というコミュニティや後期クィーン問題の描き方も過不足なく素直に読めた印象でした。

    ・・・2001年発行ということで現在(2013年)と監視システムの捉え方が違うのも印象的。
    また、あらすじに”奇抜な女子大生”ともありますが、昨今の突飛な女性キャラクタからするとまだまだ現実にいそうな印象。
    そうしたこまごました点も含めて安定感のある一冊でした。

  • 再読リスト

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