虚空のランチ―幻想ミステリー傑作選 (講談社ノベルス アZ- 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (634ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061821828

感想・レビュー・書評

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  • 9年ぶりに作品を拝読させていただきましたが、当時よりもあれやこれやを理解して読み進めることができたので、ほんの少しだけ”赤江美学”を垣間見ることに成功。

    「花夜叉殺し」
    妖美であり淫靡。残酷と隣り合わせな血と性の芳香に、命は燃える。
    それにしてもこんなにもいやらしくない、むしろ堂々たる形で女を挟んだ男同士の性愛を描くのは凄いな…。エロくないセクシーさ…す、凄い…。

    「ライオンの中庭」
    食らい合い、憎み合い、求め合う。かなしい兄弟の生涯。

    「海贄考」
    大いなる何かに、奪われていく。それに気が付くかどうかは、意味がない。

    「絃歌恐れ野」誰が殺した、誰を殺した。血の因縁は限りがない。

    「ホタル闇歌」その光に惹かれたのは、夢かうつつか。

    「罪喰い」
    それを背負ったとき、罰せられるのを待つしかない。自主的にでも、他人任せでも。しかし連結にはたまげたなあ……。

    「象の夜」今宵も人知れず、その欲に、圧し潰される。

    「耳飾る風」幼少時の原体験だったのか?それとも…。骨と死体と、恋しいあの娘。

    「正倉院の矢」
    束縛も、みだらがましい悪夢も、何もかもが、この身を射殺そうとする。

    「アリアドネの糸」
    奔放な性の解放は、自我の解放に匹敵する。そこに愛しいひとがいなくとも。

    「炎帝よ叫べ」
    絶望してなお、死してなお、この身に深く刻み付けられる。裏切られても、なお。

    「八雲が殺した」
    小泉八雲の『茶わんのなか』とその原案の相違について。まさか衆道のにおいを嗅ぎ分けるとは…赤江美学の真髄だな…。会いたくて、添いたくて、ただそれだけ。たしかにそう思うと切ない話だ。

    「灯籠爛死行」
    知りたかった、近づきたかった。その手の中の秘密に。

    「虚空の馬」
    馬と少年は、行ってしまった。

    「阿修羅花伝」
    今わの際の言葉は、届かなくていい。

    「破浪神の夢」
    漕ぎ出す海は、果たして常世か、夢幻か。

  • 既読もありましたが未読作品が多くて嬉しかったです。
    本の分厚さに怯みますが読み出せば妖しくて美しい赤江ワールドに没入、耽溺できます。
    裏表紙の著者のコメントの『僕には僕にしか仰ぎ見れない虚空があって~』のくだりを読み、もっとその世界を見せていただきたかったと痛切に思います。

  • 春睦と雪征のコンビ再び……!!

    が、一番テンション上がった。
    この作家の衝撃に呑まれたら、もう逃げられない。
    全作読まないと気が済まない。

    この人の、遠い海の向こうで蝶が羽ばたいたかのようなエロスの煽り方、もう……病みつき。

  • 2001.5.5.初、並、帯なし、
    2013.1.28.白子BF

  • ついに見つけた!古いのに新しい。だけど身震いするほど美しい言葉に形どられた息を呑む濃密な物語。二話でストップ。この方は、ずっと探してた、私の旅のお供。

  • ページ数に驚かされるでしょう!!
    だけれども、恐れなくても大丈夫です。
    本当に面白い作品ばかりが集まっていますので。

    まさに狂気と、妖艶と。
    だけれども妖艶(エロティック)は
    露骨に描かれているものではないので
    読後の不快感はありません。
    しかしながら、薄気味悪さはありますがね。

    面白い作品を選ぶのが
    難しい作品です。
    なぜならば、どれも結末部分がしっかりしていて
    甲乙つけがたいから。

    読んで損は無い作品でした。

  • 文章がとても妖艶で耽美。この世界観たまらん。

  • 巧い、のだろうけど…正直、好みじゃありません。いい意味でも悪い意味で昔の作家っぽいなぁ。

  • 無冠の王の確かな証し。

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著者プロフィール

1933年下関生。日本大学芸術学部中退。70年「ニジンスキーの手」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。74年『オイディプスの刃』で角川小説賞、84年『海峡』『八雲が殺した』で泉鏡花文学賞。2012年没。

「2019年 『オイディプスの刃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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