- Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061821903
感想・レビュー・書評
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巧みな叙述トリックが幾重にも仕掛けられ、構成は緻密で隙がなく、文章量は比較的少ないのに密度が濃い。純然たるミステリで、いわゆる「人間を描く」ことを確信的に放棄しているが、それにもかかわらず何となく文体に「文学」の香りがするのがユニーク。
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階段から落ちて昏睡状態になってしまった女性をめぐり集められた3人の青年。3人は核シェルターに閉じ込められ,そこから出る条件は彼女を突き落としたのは誰なのか告白することだった。同時に外では完全犯罪の計画がメール交換で進行。
最後まで気の抜けない展開と,登場人物の狂気。
浦賀和宏の凄さがだんだん分かってきた。 -
こういうの好き。
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どこかからの前情報で仕掛けのひとつは予め知ってしまっていたので、ああなるほどねーミスリードさせてくねーと思いながら読んでいた。でも、終盤に伏線が回収されていくミステリパートは見事だった。若干下品というか、えぐい描写もあるにはあるけど許容範囲か。
前情報関連でもっと少女小説しい耽美な作品という先入観を持って読んでたらざっくり裏切られたのはちょっと悲しかった、けど、それは自業自得なので反省しておく……だってこの作者のタイトルワード耽美系じゃないですか……。 -
2時間足らずで読めてしまう中編。
せつなくあまく繊細な浦賀節は今作でもいかんなく発揮されています。物語を語る文体や人物同士の間の恋愛沙汰なども、結構下品でえぐい部分もあるのですが、浦賀さんが描くとなぜか少女小説のようなソフトさがあります。
仕掛けの面では、精緻な硝子細工のようなこまやかな仕掛け。すっかり騙され、騙され、騙されました。特に http://t.co/2gzCrV1c にはまた引っかかってしまいました…このトリックは、引っかかると、どうにも悔しくてたまらないです。
そして物語全体が http://t.co/ddkuSBez で勿論トリックのひとつとしても有用なのですが、これによってこの小品がきっちりとかたちよく収まった印象を受けました。
とても精緻なのに、あまく、そして哀しい感傷を引き起こす…本作は美しい手乗りオルゴールのようでした。 -
2つのお話の繋がり具合とか、キャッチコピーの切断の理由とかは考えるまでもないくらい解かり易く書かれてる。
けど、そのメインのミステリにそえられた「著者畢生の悪仕掛け!」には素直にやられたと思ってしまった。
これなんて官能小説?とか思ってたけど、ちゃんと伏線だったのねとなんだか悔しい。
ラストが好きです。 -
階段から落ちて昏睡状態になってしまった女性、亜矢子の事件から5年後に事件に関った3人の人間が亜矢子の兄によって彼の家の地下にある核シェルターに閉じ込められます。
そこから出る条件は彼女を突き落としたのは誰なのか告白する事。
同時に外では完全犯罪の計画がメール交換で進行します。
ラストで明らかになるあまりにも異常な切断、カニバリズムの理由。
ラストで明かされるいろいろな真相には驚かされる事でしょう。 -
「人を喰う話」
三人はシェルターに閉じ込められた!!
彼女を突き落とした犯人を告白させるためだった。
それが悲劇の幕開けだった。
切断。
そして、
カニバリズム。
浦賀和宏の小説らしい小説。 -
コレはコレでいいんじゃないでしょうか。