月蝕の窓: 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス シI- 10)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061821941

感想・レビュー・書評

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  • 蒼の短編、センティメンタルブルーの時、京介が巻き込まれていた事件の話。
    今回はラストがいつになくハラハラドキドキ。
    そして生々しい描写に痛い!と感じる。
    出てくる犯人も何だか胸くそ悪い人だし、いつになくドロドロギスギスした感じが。
    蒼が出てこないせいなのかしら。
    多重人格、幼少期の虐待、抑圧された感情、不倫、等々これでもかというほどダークなネタがてんこ盛りの一冊。

  • 再読。シリーズ通算10作目・本編8作目。
    京介の心の内がこれまでで最も語られている。
    悲しい女性の記憶を背負った宿命。
    11年前に蒼と共に過ごし始めて京介が感じた気持ち。
    彼を守るつもりで広げた腕が、その歩みを妨げる枷になってはいないだろうか、自分は間違ってはいないだろうかと恐怖する。
    この気持ちを持つか持たざるかが、今作の卑劣で残忍なあの人物との決定的な違いであり、京介を繋いでいる一筋の光ではないかと思う。

    月映荘という響きはとても綺麗だけれど、その裏に隠された建物が記憶する歴史は哀しく歪んだ愛憎に塗れている。

    【メモ】抑圧記憶、虚偽記憶。綾乃初出。

  • 図書館にて借りる。京介の過去が仄かに見えてきた…?

  • あとがきにも書かれていたけれど、京介視点だけだと精神的な独白が多くて、やっぱり京介ってまだ全ての過去と感情を呑み込みきれていないんだと思った。
    蒼の独立を、京介自身も感じていて、だから足下が浮ついている。「桜井京介」の名を捨て、東京から離れることを、彼は考え始めている。
    お父さんとの間にやはり異常な確執があるらしく、推理小説としては相変わらず犯人は分かりやすかったんだけれど、先の展開がどんどん気になってくるところ。
    京介が抱え込んでいるものを、いつか絶対に聞き出すと意気込む深春の無神経さとがさつさが、なにより愛おしい。御伽話でしかないんだけれど、そうやって京介を強引にでも無理矢理にでも「桜井京介」のままでいさせてほしいと思う。

  • 「赤いお月様」は何を語る?少女の記憶が蘇った時、女たちの悲嘆が宿る「月映荘」でまた惨劇が。隣に住む未亡人に招かれた医師が撲殺、未亡人まで銃で狙われたのだ。容疑は精神的に不安定なその少女に。事件の真相は呪われた館の過去、そして京介自身の封印された記憶にからみつく。

  • 建築探偵 第10巻!
    前回、この作品の続々編を読んだので
    ようやくスタートラインに立てました

    ・・・そろそろ体系的に読まないといけない
    作品だと気がついてはいるのですが(笑)

  •  専ら京介視点での進行がまだるっこく辛かったため、打開すべく中途から登場する深春の存在にやはりほっとした。
     内に籠もる思考の主は、人物と状況により、共鳴と陰気の極端に分かれる。
     このシリーズはレギュラー陣が揃ってこそ相乗的に魅力を発し、一人に単独で主役を張らせっ放しだと色褪せる面がある。
     京介・蒼・深春・神代らが、少しずつでも全員で関与する形が望ましい。
     シリーズ一連の、京介の思考や言葉で表される指摘は、しばしば痛くて胸につまされる。
     歴史を持ち、社会を築いてきた人間という生き物自体の、奇怪さと切なさに直面する。
     人間にとって恐ろしいのも愛しいのも、人間ということか。
     自然の摂理以上の謎は、人の内に在るものなのかもしれない。

  • このシリーズに出てくる建物とか事件の舞台設定は、相変わらずすき。
    けど、メインであってほしい事件そのものよりも、事件に無関係な部分における人間関係の描写に比重が行き過ぎてる気が。
    主人公がすごくすきなひと以外は読んでてストレスたまるんじゃないかなー。つか、わたしがそうだった。

  • ずいぶん前に読んだ本。

    霊感少女輪王子綾乃17歳の忠告を無視してある近代建築にかかわった京介は殺人事件に巻き込まれる。それは京介自身を見つめる旅でもあった、なんてね。
    トリックも真犯人も簡単やとは思うけどそんなんはどうでもいいかと。

  •  築探偵シリーズの10作目。帯の「京介の封印された過去」に思いっきり反応してしまう(笑) しかし、なんだね。相変わらずミステリーとしては弱い。てかひねりもなにもない。ポイントは、京介の引き篭もり状態か(爆) 後書きに書いてたけど、主人公がこう引き篭もってると書くのツライよね。読むのもしんどかったけど。ミハルが出てきて話が楽になったあたり、そうだよね、狂言回しがいないと話って進まないんだよねぇって実感した。わかるよ。私もくらーーい行動しない主人公には苦しめられてるもの(笑)
     そんでもって、いつか封印された過去っていうのは、出てくるんでしょうかねぇ、篠田さん!!

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著者プロフィール

東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。1991年、ミステリ作家としてのデビュー作『琥珀の城の殺人』が第二回鮎川哲也賞の最終候補となる。著書に、『建築探偵桜井京介の事件簿』『龍の黙示録』『黎明の書』『レディ・ヴィクトリア』『イヴルズ・ゲート』シリーズなどがある。

「2022年 『レディ・ヴィクトリア完全版1〜セイレーンは翼を連ねて飛ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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