鬼の探偵小説 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 44
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061822023

感想・レビュー・書評

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  • ロジックがっちり系というよりかは伏線回収系の連作短編ミステリー。鬼と陰陽師がコンビを組んで捜査するという、傍から聞けばなんだか面白そうな設定だが、実際のところそこらへんにはあんまり踏み込まない。主人公の正体がバレそうになるハラハラドキドキなんてものはほとんどないし、ベニー・芳垣が陰陽師・刑事として優秀なんてのもほとんど伝わらない。しかし、短編の終盤の怒涛の伏線回収、どんでん返しは読んでいて楽しいし、駄洒落かよと突っ込むこともできる。

  • アメリカ帰りの男が研修に着た途端
    人の仕業とは思えない変死体事件が。
    陰陽師状態の男と組む事になったのは『鬼』と呼ばれている刑事。

    人外のものがいると確信している帰国刑事と
    人外のもので無能を装っている刑事。
    正体がばれないようにぼさ~っとしているのに
    最初以外は妙な事件が出てくるとやってくる帰国刑事。
    しかもパワーアップしているから始末に負えないという…。

    最後の書き下ろし以外は、ごく普通(?)に人の手によって
    なされた事件ばかり。
    ミスリードしないように方向修正を頑張る『鬼』と
    せっせと正体を暴こうとする帰国刑事。
    ある意味、貴方はストーカーですか? と聞きたくなるほど
    粘着質な感じです。
    刑事なので粘着質は良い事ではないかとも思うのですが
    それが自分に向けられるといやな感じです。

    しかし最初の話のきっかけになった方の身体があれなので
    SFチックな現代ものかと思っていたのに
    普通の現代ものでした。
    あれ? という感じがしますが、主人公の正体があれなので
    そこまで気になるものでも。
    それよりも、2つ目の話は筋肉痛とかにならないのか、とか
    3つ目は蜘蛛という字さえ嫌いな人は読めないな、とか
    どうでもいいところに考えが行ってしまいます。
    最後の書き下ろしにいたっては、ようやく…な結末。
    ひとつくらい、この結末があってもよいかと思われます。
    そういうのを探って、この職業についてるみたいですし。

  • 内容紹介
    人間業と思えぬ変死体の謎に挑む忌戸部署の「鬼」!
    推理と恐怖の鬼才、講談社ノベルス初登場!

    マニア相手のアイテム売人(ブローカー)は左右の目玉を入れ替えられて殺され、蜘蛛館に住む令嬢は蜘蛛の形に見立てられて殺されていた。続発する異常殺人の謎に挑むのは忌戸部署の「鬼」と呼ばれる男!人間業とは思えぬ事件の背後に隠れているのは、いかなる論理か、それとも狂気か?伝奇推理の気鋭が描く4つの怪事件。

  • (収録作品)女神が殺した/蜘蛛の絨毯/鬼と呼ばれた男/犬の首

  • 探偵小説と銘打っているものの、登場する「鬼」は刑事。ただし、比喩的な意味の「鬼」ではなく、人間の姿を借りて生きる妖怪としての「鬼」。署内ではうだつの上がらぬダメ刑事だが、同じく人間の姿を借りて生きる仲間の妖怪の力を借りて不可解な事件の解決に立ち向かう。表面上の解決は合理的なものなので一応はミステリーなんでしょうが、その裏に隠れた人間の邪念は「鬼」の力を持って裁くので、ホラーの要素も含まれる……と。

    この「鬼」刑事に対抗して登場するのがLA帰りのエリート警部補(しかも陰陽師の末裔)。どうやら連作もののようなので、続編が出たらまた読んでみようかな、と思……っていたが、その後続編は描かれていない模様。

  • 軽いテイストのミステリ短編集。
    鬼(妖怪)が陰陽師とタッグを組んで事件を解決します。
    互いに刑事という職業がゆえの皮肉。

    著者のミステリを読むのは「落下する緑」以来だったのですが、
    出来がどうこう言う前に…バカパクなんですね、基本。

    相変わらず登場人物たちの描写はあっさりしてました。
    対して、死体や死に様の描写はねちねちと嫌悪感を煽ります。
    本当に上手いです気持ち悪いものを書くのが。
    「妖怪」を出してきた真の目的は、そこらにあるんですかね、
    異常な殺し方がいっぱい書ける!みたいな。

    早く続きが読みたいです。

  • ホラーでもなく、ミステリとしては微妙な物語。
    もしかして腐女子をターゲットにした萌え小説なのかな?
    だとしたらその心意気は認めるけれど。
    うーん。ストーリー自体は嫌いではないですが。

  • 田中啓文氏の本格推理!?
    現在取り扱いができない状態になっているようなので、文庫化に期待。
    やはりなにより怖いのは人間なのかな。
    続編希望〜!

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著者プロフィール

1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。93年「凶の剣士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選、短篇「落花する緑」で「鮎川哲也の本格推理」に入選しデビュー。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で第62回日本推理作家協会賞短篇部門を受賞。ミステリー、ホラー、伝奇と様々なジャンルで活躍し、時代小説では「鍋奉行犯科帳」「浮世奉行と三悪人」などのシリーズなどがある。

「2023年 『貧乏神あんど福の神 秀吉が来た!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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