暗闇の中で子供 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1298
レビュー : 173
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061822061

感想・レビュー・書評

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  • 破綻して破綻して破綻して肯定する。本当を書け本当を書け本当を書けと言って「だから俺は嘘を書く」。
    救いがないことが救い、という小説だと私は思っているが、人によってはこの結末は本を投げたくなるかもしれない。そういう本である。
    舞城さんは物語=虚構という問題の闇を、もうこの段階で書いてたんだな……。

    ↓↓↓ 以下、ネタバレ ↓↓↓

    この本の主人公・三郎は自分の価値を稼ごうとするが、結局のところそれはあり得ない形での「肯定」によって、全て台無しになる。あるいは、全てが成就されてしまう。
    それは絶望でありながら救いで、同時にどん底の孤独だ。自分の主観が全てを決定し、そこに他者の価値観はない。だから自分以外の意思は存在しないし、ゆえに否定も存在しない。
    「俺は生きていると思うので生きているのだ。愛していると思うので愛しているのと同じように」。
    舞城作品の主観的・感情的な作品世界の闇がここにあり、舞城さんはこの作品でそれを非常に自覚的に書いたのだと私は思う。三郎は孤独のまま、自分はハッピーだという。しかしそれは嘘なのだ。しかしそれは、嘘による彼のリアルなのだ。そんなわけない、という形の現実。それを三郎は生きているのだ。

    「それらの物語に含まれていた真実とはつまりコミットすることとデタッチすることの同時性についての問題に関する何かだっただろう。誰かと一緒にいながら本当の意味では一緒にはいないということ。他人との隔たりと密着が同時に起こるということ。」

    他者は存在するが、同時に存在しない。しかし、存在しないからこそ、存在する。
    それは三郎が自身を肯定「してしまう」ことによって他者から切り離されるパラドックスそのものである。主観を肯定し他者を必要としなくなった時点で、逆に彼は世界から否定されてしまうのである。

    「ある特定の物事は、際限なくどんどん悪くなるんや。そういうのには、最悪の状況とか果てとか底とかはないんや。どんどんどんどん悪くなって、さらに悪くなり続けるんや」

    自分を肯定するための世界を、それでも必要とするか否か。虚構を生きるというテーマは、村上春樹作品に通ずるものがあると思う。

  • 長門有希の100冊より、舞城王太郎。デビュー作「煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices」(未読)の続編。最近、まわりには舞城王太郎のファンだと言う人がいて、一度は読んでみたいと思っていたのだが、しかし、その独自の文体にはどうにも馴染めず、もう読まないと思う。

    物語自体は、謎の少女マリオとの邂逅、謎の連続殺人事件の解決、二郎らしき人物との対決の 3部構成。しかし、相互の関連は薄く、全体的に筆の赴くままに書き散らしたといった印象で、小説としての完成度はかなり低い。まあ、個人的にはこういう若気の至ったオナニー小説は嫌いじゃないし、あの文体にしては十分に読みごたえがあるし、好きだという人がいるのは理解できる。

  • 暗い主人公。

  • 途中で読むのをやめた。
    「本当のことは嘘でしか語れないこともある」?
    語った嘘が他人に伝わるかどうかは、全く別の話。
    語ったつもりなのかもしれないが、伝わらない。

  • 舞城王太郎はやはりこのシリーズが一番だと思います。特にこの話が良いです。

  • まったく意味がわからない。
    オチを求めて読んで読んで読み続けて、あれ?オチは?解説は?

    「ある種の真実は、嘘でしか語れないのだ。」
    嘘の中の真実を見つけるのがおもしろいんでしょうけど、この作品の中から探すのは大変です・・・

  • 最後だよ。最後をしっかりしてくれよ!煙か土か食いものかのほうが面白かった。

  • 煙か土か食い物といい、今作といい、どうしてこの兄弟は犬にヒドイ事をするんだ?
    それはともかく三郎の何もできなさが愛おしい。前作の四郎はチャキチャキ動くし色々解決してくれるし読んでてエキサイティングだったのに比べ、三郎はなかなか解決できないし色々間違うし大丈夫大丈夫...って大丈夫じゃないよ!とモヤモヤさせられる。だからこそ心に沁みるシーンが多かった。自分自身に近いものを感じる。
    かなり気になっていた移動式地獄二郎のその後がでてこなかったので、またこのシリーズ続編だしてくれないかなあと思いました。

  • スピード感はさすがなんだけど、伏線回収とかオチとかはあって無いようなもので、やはり舞城ワールドが炸裂したまま終わってしまった。

  • 『煙か土か食い物』の続編、と言っていいだろう。

    評価が難しい作品。これは評価が”わかれる”ことの多い舞城作品では珍しいと思う。

    文章自体は”通常”の舞城節で(この時点でかなり異常であるが)、内容についても”書かざるを得ない”衝動に突き動かされて書いている、感触は伝わってくる。

    しかし、物語の筋が破綻に破綻を重ねているせいで、逆に”破綻”という筋書きに囚われている感が否めない。

    その意味で、舞城王太郎の作品の中では地味。これはこのブクログでの評価が大旨3か4か、というふうに安定している理由でもあるだろう。

    つまり、ある程度の舞城フリークでもない限り、現在ではこの作品に手を出さない。彼等はある程度舞城作品についても理解があるため、低い評価はしない。

    おそらく一般的な舞城嫌いが読めば、普通に低評価を下すだろうと、僕は思うのだ。

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著者プロフィール

1973年、福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。03年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。12年には『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、『月夜のグルメ』(漫画・奥西チエ)の原案、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳ほか、短編映画『BREAK』や長編アニメ『龍の歯医者』の脚本、短編アニメ『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などをつとめている。

「2018年 『されど私の可愛い檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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