- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061822412
作品紹介・あらすじ
お祭り騒ぎは、もうお終い。今回は愛をめぐる三つの物語だ。暗澹たる日々に埋もれた無様な青年。悪意から逃れられない少女を護り続ける少年。密室状況の屋敷の中で繰り広げられる、贖罪を含んだ惨殺劇。それらは歪んでいて、壊れていて、間違っている。でも確かに愛の物語なのだ。俺は行動を開始した。その目的は、水没した全てのものを引き戻すため。そして、その果てに浮かび上がる真相。そこにはもう、馬鹿げた世界は存在しない。
感想・レビュー・書評
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佐藤友哉さんの作品の中で一番好きです。
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佐藤友哉の三作目。1000の小説とバックベアードで一躍純文学の若き担い手として脚光を浴びることになった(なってない?)シンデレラ作家の彼ですが、デビュー間もないころはこんなにも偏屈で鬱々とした私小説まがいのものを書いていたのです。
これは心をデカビタの空き瓶でがすがす殴りつけられるような、虚しい攻撃力を伴った暗黒物語です。美しいものなど何もありません。
僕は舞城王太郎がいうように小説は小説だけで完結しているべきだと思うのですが、佐藤友哉の当時の状況を知るとこの小説がすさんだ若者の妄想的戯言ではなく、社会や世界に関わろうと必死になって、でも駄目なマジョリティーの人間の小説であるということがわかります。
読後、作者が死ぬんじゃないかと思ったのは僕だけでしょうか。 -
褒め言葉的な意味でえげつない。更にそれを解して伏線にしてちりばめるからもっとえげつない。鏡家サーガの、既に退場した人物を無理矢理ステージに引き戻して台なしにさせるプレイが堪らない。
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鏡家と同レベルで狂っている家庭がある!と、まずあさってな感動。
子供めっちゃ怖い。ひええ
そしてめっこりと歪んでいる鏡創士。1では声の出演だけだったものなあ。
そしてやっぱりだんだん好きになって行きました。
広明って誰だか・・???となっていたのが、最後で少し解決。すっきり!・・・?
登場人物全員歪みまくっていて、付いて行くのが大変でした。 -
再読。鏡家サーガはやっぱり良き良き。こういうオチは個人的には好き。
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【195】
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ミステリー/恋愛?/青春?
三つの物語の繋がりが見所。終盤は手が止まらない。
ただ、繋がりが見えない序盤はやや退屈。
個人的には『エナメルを塗った魂の比重』のほうが好み。
鏡創士の引用病はなかなか印象的。
浦賀和宏さんの作品からの引用でテンション上がった。 -
ちまちまと再読を続けておりました。副題「鏡創士がひきもどす犯罪」。
今回の視点は三つ。フリーターでうつうつとした男、好きな女の子を懸命に守ろうとする小学生、狂った妹(だっけ、姉だっけ)に家族そろって閉じ込められた絵描き。感想書こうと思ったら全部がネタばれになりそうな気がするなぁ。
副題に出てくるくせになかなか現れない創士兄ちゃん。でもって性格が最悪。高校生のくせに寝取るとか、どうよ。
以下、空白ネタばれ反転処理。自分メモ。
結局繋がるのは「フリーター」=「コウちゃん」=「星野広明」ってことですか。絵描きの部分だけ浮いてるなと思ったら、それだけ「主人公が違った」からか。どうせなら小学生パートを伽耶子視点にしたら面白かったのに。基本皆壊れてる系。
第八章のラスト、いまいち意味が取れませんでした。結局その「母」ってのは「梢本人」なのか「梢の振りをした亜衣」なのか、どっちだ?
創士兄さんが「ピアノをどこに落としたのか」を聞いた理由は「伽耶子の兄貴」を探したかったから、ってことですかね。
これはこれで上手く繋がってて面白いと思うんだけど、どうせなら、三つのパートを繋ぐ線がもう一つ、黒幕的な存在がいればもっと良かったのに。んー、考えようによっては「梢」がそれになるのかもしれないけど、小学生パートには絡んでないよね。コウちゃんが必死に伽耶子を守る理由に絡めてあったら面白かったかな。
10.03.14
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