クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061822504

作品紹介・あらすじ

鴉の濡れ羽島で起こった密室殺人事件から二週間。京都、私立鹿鳴館大学。「ぼく」こと"戯言遣い・いーちゃん"が級友・葵井巫女子とその仲間たちと送る日常は、古都を震撼させる連続殺人鬼"人間失格・零崎人識"との出会いによって揺らめき脆く崩れ去っていく-。そして待ち受ける急転直下の衝撃。一つの世界が壊れる"そのとき"を描ききった新青春エンタの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 鴉の濡れ羽島で起こった事件から二週間。舞台は京都へ。いーちゃんが通う鹿鳴館大学での同級生との日常。そこから巻き起こる殺人事件と、京都を震撼させる連続殺人鬼・零崎との出会いが並行して描かれる戯言シリーズ第二作。

    前作よりもミステリー成分は控えめ。それでも今回に相応しいトリックをぶつけてくれて、後半は鳥肌が立った。人類最強とのシニカルな対決と謎解きの二段構えは前回に引き続きキレがある。作中では明かされない謎(ヒントはある)もあって、それを考えつつ物語の結末に思いを馳せる余韻がいい。

    今作はいーちゃんの価値観やスタンスを、零崎や同級生とのやり取りを通して掘り下げていく。零崎の無差別殺人と、人間関係が引き起こす殺人の対比。いーちゃんと零崎の殺人についての問答は興味深かった。非日常的な関係性なのに、日常的な香りもある会話劇の妙。他人は鏡。鏡写しのような二人だからこそ、それが余計に際立ってるよね。

    同級生たちもさすが個性的。特に、巫女子ちゃんの「《中学二年生にしてバンド結成、ただしメンバー全員ベース》みたいなっ!」という例えツッコミシリーズが面白くて好き。
    そして、とにかくあのラストの一言に痺れる。ある人へ向けたメッセージであり、いーちゃん自身も感じている言葉。中盤からの痛々しいほどの展開を振り払い、突き放すような一言は、この決着にとても似合っている。

    友情や愛情。鏡に映したら束縛と依存。人とのつながりは大事だけど、自分の決断は見失ってはいけない。誰かのためじゃなく、自分のために。
    「与えるのか、奪うのか」
    自分で、決めろ。そういう物語だった。

  • 戯言シリーズ2冊目。
    今回は普通にキャンパスライフが描かれるのかと思ったら全然そんなことはなかったね。
    前作にも増して人間の醜い部分が招いた事件。
    内容はタイトルの通りなんだけど(寧ろここまで的確に内容を言い当てていることに読み終わって驚愕した)、何かもう結末はやり切れなかった……哀川さんとの討論もそう。
    唯一救いだったのは零崎との会話かなぁ、テンポが良くて何だか漫才を見てるみたいでホッとした、このシーンでは事件は起こらないなと。
    次作からは出なくなっちゃうのかなぁ、凄くキャラだから出てきて欲しいんだけどなぁ……あと玖渚も。
    最後に交わしていたあの言葉、現時点で意味がわかっていないのでちょっと調べてみようと思ってます。
    私が理解出来る内容ならいいのだけれど。

  • 戯言2冊目。個人的に戯言シリーズはこの作品が一番好き。前巻とは反対に大学生活という日常だけれど、だからこそ際立ついーちゃんの異常性。そして人識との出会い。二人のかけあいは最高。巫女子の『〜ただし、〜みたいな!』もくせになる。ミステリ要素もちょびっとあり。

  • 「甘えるな」

    戯言シリーズ二作目!巫女子ちゃんの超比喩が好き。

  • 女性の心理をエグいほど明確に表している。
    共感と否定をしたくなる作品。

  • その昔、音ゲー好きの友人に薦められて買った本。
    ライトノベルなんかと吐き捨てるように言っていた自分が、唯一まともに読めたのが西尾維新だった。
    シリーズで全巻集めた中、やっぱり印象に残ってるのがこの一冊。
    もちろん、友といーくんの最終巻での遣り取りも、捨てがたいのだけれど。
    敢えてこれをシリーズ入門書として薦めよう。戯言だけどね。

  • 「「すきすきだいすきあいしてる」」

    (本当はわかっているんでしょう?)

    2012.3.5
    2020.7.24 再読

  • ―『甘えるな』―

    読後の感想を一言で!

    ……指が痛い。

    読んだ人なら分かる。なんともないはずなのに指が有り得ない方向に折れ曲がるような錯覚に囚われました(´Д`)
    いーちゃん。
    気持ちは分かる。
    でも、
    潤さんに零崎にまたはもしかしたら出夢くんに
    終わりを終わらせてもらえるその日までは、
    とりあえず自分を大切にしましょう←←
    痛すぎるわまじで冗談抜きで半泣きだったよこっちは(^q^)ww


    何事も行動を起こす際には優先順位をつけることが出来たり、出来なかったりします
    受験生は「苦手科目を最優先に」とか「得意科目を徹底的に強化!」とかとか
    とにかく色んな優先順位ってものがあって、時に作業を効率化してくれます。
    ただその代償と言わんばかりに「優先」によって「後回し」にされるものがあります
    「後回し」になってもあとで取り返せれば十全。
    例えばテストで一度飛ばした問題を後で戻って解き直すように。
    それがテストの結果を最終的に良くするための一つの手段でもあります。
    ただ、
    取り返しのつかない「後回し」ってあるんじゃなかろうか?
    優劣をつけちゃいけないものって
    「最優先」の相手をしている内に無くしてしまう「後回し」って
    あるんじゃなかろうか?
    たとえば友情とか恋愛とか好意とか私利私欲のためだとか……



    とか?

  • 読み始めたら止まりませんでした。
    例えるならどんどん酷くなる悪夢を見ている感覚でしょうか。
    色々可笑しい部分もありますけど……
    あまりミステリーっぽくはないです。
    シリーズの中では一番ミステリー色が強いですけど……
    個人的に一番は戯言遣いと殺人鬼のやりとりが好きです。

  • 人間失格と主人公の絡み大好きなんだよ!
    お互い貶し合うのに分かり合っててでも決して友情じゃない、そんな関係に惹かれます。

  • 僕には感情移入しずらいが、エンタメ性があって退屈しなかった。

  • 「クビキリサイクル」に続いて手に取る。
    前作より文学調?が濃かった。「ぼく」の残酷で醜い人間の側面が前作より明確に分かるのが良かった。他人にいかに好かれようとも、好く気持ちが分からないために、ある意味"殺せる"んだから。
    「ぼく」は理由なく殺人を許せないし、零崎は理由なく殺人する。その対となる存在が何を示すのか?分かんねぇ〜。
    好きなキャラは宇佐美秋春。
    傑作だったよ。

  • 好きであるということは決して免罪符にはならず、人を殺してしまうほどあなたが好きと言われても、いっくんは人を殺す人を嫌悪しているからもう絶対に振り向くことはなかった。

    しかし、いっくんの鏡の人である零崎がこのタイミングででたのはなぜなのだろう。対の存在というテーマ?
    あと、巫女子ちゃんの、自分の特別だった事件が世間からは大したことないと扱われてちっぽけに思った。
    みたいな感想が、いっくんという極めて特殊な人間に惹かれる所以だったのだろうか。
    とても面白かった!

  • 「クビキリサイクル」が面白かったがために、前作ほど楽しめなかった…。

    ただ隣人のみいこさんがいい味出してるし、その友達の鈴無さんが登場してくれると嬉しいな、と。
    哀川さんもなかなか素敵。

    何となくいーちゃんより零崎の方がいい奴に見える不思議。

  • 1巻だけ先輩に借りて「最後もやもやっとしました」と伝えたからか続きを貸してもらえなかったのは良い思い出、という話を後輩にしたら貸してくれました。ちまちまとながーく読んでいたのは図書館の予約本が大量に届いてしまったりしたから、というのは言い訳で、正直なところ苦手な文章だから。それでも途中で投げ出したくない、と思う不思議。 「いーちゃん」の本性というか最後らへんがすき。ほほぅ、とにやにやしながら読んでいました。

  • 西尾維新でクビキリサイクル順番に読もうと思って。
    図書館で書籍版を借りた。
    書籍の予約はしていなかったのであれば借りるかの軽い気持ちで探したら偶然あったので。表紙の絵がよかったので。借りた。2002/05/08発行の作品。
    表紙の絵がいい。かわいい。めっちゃかわいい。
    表紙絵は白のベアトップとキュロットなのか。

    結果的に11/3に一気に読み終えた。
    することがなかったのと、なんか読みやすかったので。
    事件自体はたいして面白くないけど
    いろいろ裏があったというか。
    一旦平凡というか面白みのない解決させて、その実情のネタ晴らし(本筋)の説明が入る2段構造。
    x/yの謎が明かされないけどネットで調べるとさらに納得する3段構造かも。

    用語が相変わらず難しい。
    マニューバー承認 調べてもわからない。
    零と唯 0と1だろうか。

  • いーちゃんが冷徹すぎて素敵。本当に冷徹。ラストのセリフにはぞわっとさせられた。巫女子ちゃんかわいいんだけどね。特に表紙。零崎人識とかみいこさんとか魅力的な人物がいっぱい出てきたけど、個人的には秋春くんがぶっちぎりでお気に入り。

  • 作者が苦手なのだけど、読まず嫌いは良くないと思っていたが読んでも苦手だからしょうがない。
    主人公がどうしても合わない。

  •  感想書いたつもりがまったく書いてなかった……

     相変わらず分厚いな……ってことは、先に言っておきます。
     いーちゃん島から帰ってきて二週間後。
     とある女の子から、友達の誕生日パーティーに誘われることから、この物語は始まる。
     女の子の名前は、葵井巫女子。
     気が進まないながらも、熱烈なアプローチに押されて、誕生日パーティーに参加すると、その日のうちに、誕生日の子が殺されてしまう。

     そこでいーちゃんが取った行動とは……?

     というお話でした。
     普通のミステリーかと思いきや、謎解きの本人が読者から謎を隠してしまうというあり得ない展開もあったりして、相変わらずの相変わらず。そして分厚い。
     これ、いらない「戯言」抜いたら半分の厚みになるんじゃないか? と思うけど、戯言があるから戯言シリーズなんですよね……

     面白いけど、読み応えしかないし。
     結局何だったかよくわからないことが一つだけ残っていたりもします。
     まあ、すべてわかることが正解ではない、ということを言い聞かせながらお読みください。

  • 2020/11/03

  • 2009/7/2再読

  • クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)

  • 言葉遊びも深いと凄いな。
    世界観ハマってきた。

  • 《日本の裁判システムに陪審員制導入、ただし陪審員は全員こまわりくん》みたいなっ!
    《水冷式重機関銃二百連発、ただし暗殺部隊》みたいなっ!
    《コンビニにて殺人事件発生、ただし犯人ローラーブレード着用》みたいなっ!
    《素人探偵朝黄蝉丸、密室首切り殺人事件を即座に解決、ただし犯人現行犯》みたいなっ!

  • 人識は事件に関係なかったんじゃねと思った
    分離してる
    いーちゃんはある意味最悪な性格だとわかる話だった

  • シリーズ二作目。
    シリーズとしての深みはまだよく見えてないのでノーコメント。
    零崎絡みの話をオミットして、単純な同級生だけのものにすると、単体のミステリとして出来が良さそう。

    美少女が出たら死ぬと思えというのがこのシリーズらしいが、まさにそんな感じだったな。

  • 物語が書かれてるというより、モノが語られてる

  • 【152】

  • 名前の読み方が分からなくなる子がおられます。
    単純に読めばいいのですが、漢字の並びがどうも読みづらい…。
    話の内容は、普通な感じかな…?
    いや、冷静に考えれば普通じゃないんですけど、この方の作品のなかでは普通に学校生活を送ってる中のことになるのかなと思いました。

  • 「統計? 二十年も生きてきて出る言い訳が統計なのか?」嘲るように片目を細め、ぼくを鼻で笑う哀川さん。「そんな馬鹿らしいこと信じてんじゃねーよ。十万回に一回しか起きないことは一回目に起きるのさ。一番最初に会った相手は百万人に一人の逸材なのさ。確率は低いほどに起きやすい。《統計》? くだらないくだらない……奇跡なんて一山いくらの二級品だってのにさ」
    (P.365)

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著者プロフィール

1981年生まれ。2002年、『クビキリサイクル』にて第23回メフィスト賞を受賞してデビュー。デビュー作を含む「戯言シリーズ」は若い読者に大人気となる。2006年刊行の『化物語』は〈物語〉シリーズとしてシリーズ化され、アニメ化・ゲーム化され様々なメディアミックスが行われている。矢継ぎ早に刊行するすべての本が常にベストセラーとなり、当代随一の「物語師」として活躍中!

「2014年 『「偽物語」PremiumアイテムBOX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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