陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061822931

感想・レビュー・書評

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  • 「陰摩羅鬼の瑕」(京極夏彦)を読んだ。

    私はこれ好きだな。
    「塗仏の宴」と違ってしっとりとした時間が流れてるよな。
    何やら原点に戻った気がする。

    関口巽の扱いもそうそう酷くないし、何より雪絵さんへの眼差しが優しくて良い。

    あー面白かった。

    「鵼の碑」まであともう少しだな。

  • う~ん。
    百鬼夜行シリーズに初めての☆5を外して☆4。
    なにか違う。
    ものたりない。
    そんな感じです。
    一つのアイディアだけで書かれていて、いつものこれでもかという重層さが足りない。のかな?
    残念。

  • 久々の百鬼夜行シリーズ。
    このシリーズは刊行順に読んでいるのですが、今昔続百鬼-雲を飛ばしてしまった。不覚。とはいえ、飛ばしても読めます。
    花嫁が新婚の朝に殺害されるという事件が4度も続いている由良家、5度目の婚礼の日、花嫁を守るために派遣された榎さんと付き添いの関くん。
    いわくありげな一家と、何百もの鳥の剥製に埋め尽くされた館…舞台設定だけでわくわくしてしまう。久々に寝食忘れて没頭してしまった。
    今回なぜか榎さんが盲目になっていたからか、比較的大人しめでした。その代わり、関君が頑張った。
    結末は、そうなんだろうなぁと薄々予想してた通りでしたが、なんとも悲しくてやるせない余韻が残りました。

  • 初心に戻る・・・という感じ?

    前作「塗仏の宴」は、今までの事件を振り返りつつ
    それぞれの登場人物が出てきたり、とにかくスケールの大きい
    イメージでしたが、今回は密室で少人数。
    更に、ストーリーも謎ときもオーソドックスなミステリー。
    百鬼夜行シリーズで、初めて先が読めた内容で、
    読んでいる間はなんだかちょっと物足りない感じだった。

    ところが、読み終えてストーリー場面を繰り返し思い出してみると
    大きくて怪しげな洋館や、少ないけれど個性的な登場人物・・・
    様々な場面もとても魅力的で、満足感が膨らんでくる。

    江戸川乱歩のドラマを見た後のような後味。
    流石です☆

  • 状況から犯人を察することはできたが、動機がわからなくて最初は悶々としていた。読み進めるうちに分かっていくのだけれど悲しすぎる…。
    今作は個人的に雰囲気が好みだったのと、百鬼夜行シリーズの中では読みやすいという感触があった。

  • 京極堂シリーズだ。
    やっとこさ、このシリーズの未読本を読む気になった。

    「姑獲鳥の夏」を読んだのが2003年の夏。
    ちょうどこの本が出た頃かな?その頃下の子がお腹にいて、激暑の中、フウフウ言いながら読んだ事を覚えてる。

    おどろおどろしくてとても胎教に悪そうな話だったけど、すっかりはまってしまって出産前に「塗仏~」まで読んでしまった。
    なのに産んだらそれこそ憑き物が落ちたみたいにすっかり読む気が失せてしまった。

    で、図書館で見つけておお!そういえば読んで無いヮと手にとった。

    …「鳥の城」の主、由良氏の花嫁は過去に4度とも初夜に殺された。
    そして5度目の婚礼で花嫁を守るべく探偵榎木津と小説家の関口がむかった…。

    とにかく思ったのが今回すごい話の筋がシンプル!ってこと。
    おかげでほんとにすいすい読めた。
    まあ、この人かなって最初からわかっても、さすが。
    最後まで読んだらほんとに面白い。

    関口も「塗仏~」ではほんとに苛々させられたけど、
    今回はなかなかちゃんとがんばっていたし。

    ああ、最高。面白かった。

  • ひさーびさの再読。
    あれ、これいけんじゃない、伯爵と関君でいけるよね、と。

  • 関口くん頑張った…走る関口くん初めて見た笑 関口くんも自力で真相に…結末もとても哀しかった。認識の違いが産んだ悲劇。相変わらず京極さんは大きな仕掛けを鮮やかに扱う。

  • 勘の良い人なら序盤で犯人と動機を看破できます。あの関口くんでさえ看破できた事件なので。これは京極堂シリーズの中では一番シンプルな話ではないかと.....この事からやや期待はずれと思う方もいますが、これはこれでなかなかの読み応えのある一冊でした。楽しみ方としては、読者=関口くんとして楽しむが一番かと。最後にスッキリと憑き物も落とされますので。

  • 犯人とある程度の動機は、早い段階で予想がついた。
    展開もそれほど意外性のあるものではないが、関口以外はそれほど暗くないので読みやすかった。
    仏教、儒教と哲学についての論議は興味深く、ストーリーよりそちらのほうが印象に残った。

  • とてもかなしい話だった。犯人の予想は早くからついていたけども、どうしてこんなことをやってしまったのか、彼の言動からはまったく予想がつかなくて、読み進めるうちにその理由を知って、とてもやるせない気持ちになった。彼がやったことはたしかに悪いことであって、でもそれをわからないということは、だれに問うことができるのだろう。はっきりとこのひとが悪いんだという登場人物が百鬼夜行シリーズにはあんまりいないけど、彼はその中でもとても曖昧なライン上にいるひとじゃないかなあと思う。
    関口君が京極堂に対して「救い」というものを求めていたけども、京極堂は人間は人間を救うことなどできないと一刀両断する。この展開だと、わたしも「救い」というものが欲しくなるわけで、でも京極堂のいうとおり人間は人間を救うことなどできないという無力さをはっきりとこの物語の外側から感じ取ってしまった。そのぶんつらかった。

    (752P)

  • 榎さん出ずっぱり!?と興奮したものの、視力が失われてるんじゃん。態度は相変わらずだけど行動に制限かかる感じがずるい…。もっと全面的に出張っちゃって破壊的攻撃的行動で愉快にさせて欲しかった。
    今迄読んだ百鬼夜行シリーズの中で一番読みやすかったし結末が見えやすかった。しかし心の座りが悪くなるのは変わらない。

  • 白樺湖畔の「鳥の城」を舞台に、5人も続けて新婚初夜に花嫁が殺害される。

    単なるミステリではなく、林羅山とハイデッガーの共通性、本来の仏教にはない儒教的習慣を多分に取り入れた日本仏教の特殊性など、ペダントリな要素を楽しめる作品です。

  • 塗仏では、複数の話が絡み合って頭が混乱したけど、これは単純でかなり読みやすかった。

    ストーリーは単純だけど、深い。

    常識とは。

  • 初夜の度に命を奪われる伯爵の花嫁。
    犯人探しは意外と楽。

  • 『百鬼夜行 陽』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/416381230Xを見て、この人誰だっけと参照……のつもりが一気読み。
    筋だけを追った1度目よりも、細部を見られた2度目のほうがずっと楽しめた。
    そりゃそうだ。これはトリックを楽しむ「推理小説」ではない。

    最初に読んだ時はそんなに良くなかった。評価は★2か3くらい。
    薫子と伯爵の質の違う善人度が釣り合わないと感じて、流れに共感できなかったし、探偵の使い方もスッキリしなかった。

    初読の2003年には、まだ世界を把握するために視力がどれだけ大事かってことをわかってなかった。
    自分の話下手以外の理由で言葉が通じないことがあるというのもよくわかってなかった。
    だから榎さんの「使えなさ」にイラっとしたし、最後の「活躍」がしっくりこなかった。(あれは活躍じゃなくてもどかしさの発露だったか)

    今回読み直したら、異質な世界を抱えていることを自覚して適応している探偵は、異質な世界に住まうことに不都合なく適応してしまったために無自覚な伯爵に対比させるために配置されていた。
    一見普通に見えるから、同じ前提を共有しているかなんてわざわざ確認しない。
    わからない人は自分が何をわかっていないのか(わかっていないということさえも)わからないから確認できない。
    常態が不適応な関口はもとより問題なくお見通しに見える榎木津さえも認識違いの説明不足とそれにともなう状況把握の不備にさらされる。
    つまりは、いつでも誰でも多かれ少なかれ違う世界の中にいる。

    流暢におしゃべりできるから日本語を問題なく理解していると思われて教科書用の言葉を教えてもらえずに教育の場からこぼれていくニューカマーの問題を思い出した。http://booklog.jp/item/1/4326250526
    あるいは機能不全家族か。
    言うと差異に気づく。言わないから通じていると思い込める。


    京極夏彦がべらぼうに説明上手なのは、「(言語は同じなのに)言葉が通じないこと」に注目しているからなのかな。

    2012/04/07 再読

  • 途中で犯人が薄々分かってしまうが、仕掛けはシンプルで第1作を思わせてすっきり読める。誰が悪いわけではない、悲しい話。

  • 登場人物や舞台の出し入れがなく、終盤までは退屈であった。「生きる屍の死」を彷佛とする前提をひねったロジックには納得。

  • 京極堂(百鬼夜行)シリーズ7作目。
    前作から長い期間を経ての発売でファンは首を長くしすぎてどうにかなってしまいそうだったのではないか。かくいう私もその一人で発売日が決まったときは興奮して眠れなかったほどだ。
    その期待があまりにも異常だったのだと思う。シリーズ原点回帰ということで、妖怪の性質とストーリーの展開を『姑獲鳥』にかぶせてあるという。それが前作までの畳み掛けるような場面転換とストーリー展開に麻痺した感覚には物足りなく感じたのだろう。発売日に意気揚々と読み始め読了した時には少しガッカリしてしまった。
    その後、期間を経て再読。十分に面白い作品である。さらに『姑獲鳥』への回帰という点を考えると、舞台設定からストーリー展開、トリックにあたる内容までやはり上手いとしか言いようがない。
    刺激的な展開を求めすぎる期待をクールダウンさせてくれる落ち着いた作品である。

  • 白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」は、主の五度目の婚礼を控えていた。過去の花嫁は何者かの手によって悉く初夜に命を奪われているという。花嫁を守るように依頼された探偵・榎木津礼二郎は、小説家・関口巽と館を訪れる。ただ困惑する小説家をよそに、館の住人達の前で探偵は叫んだ。――おお、そこに人殺しがいる。百鬼夜行シリーズ第八弾。

  • もう覚えてない。関口ヒーロー化。

  • 中盤で話がなんとなく読める。
    ただそれは残念な点でもなんでもなく、だからこそずっとこの物語の悲しい雰囲気に浸っていられるのかと思った。
    人の感じ方という話は、姑獲鳥の時にも出てきたけれど今回は、常識を知る頭に体がついて行く姑獲鳥とは全く違う、概念、常識、いやもっと何かちがうこと。
    だからかなあ、今までのシリーズの中で多分一番受け入れやすかったです。根本が違うだけなのか、とそこが分かれば理解は出来なくても納得出来ました。

    どうでも良いですけど榎木津さんの、関口くんへのタツミ呼びにびっくりしたのわたしだけでしょうか。
    榎木津さんと関口くんが一番一緒に居た巻です。

  • 関口さんが頑張ってました。
    伯爵の場合は極端ですが、だれしも自分の中の世界で生きているものですよね。
    自分が当たり前だと思っていることが必ずしも他人もそうだとは限らない。

  • 京極堂シリーズ第7弾です。
    死という非常に興味深い事柄を題材にしています。
    今回の私は珍しく早い段階で犯人が分かってしまったのですが、それでも最後まで楽しめました。
    私の大好きな榎さん大活躍でとても楽しく読めました。
    榎さんが変人でかっこよくて良い味出しています。

  • まさかのタツミが大活躍なんてー誰も教えてくれなかったからこうなっちゃうなんて箱入り息子も考えものだわ
    伯爵と京極堂の論語の問いかけがかっくいい。そんで林羅山おもしろいな!

  • 白樺湖畔に建つ壮大な洋館。主の名は由良昂允(ゆら_こういん)。戦後になるまでは伯爵の称号を持つ人物。彼は5度目の婚礼を控えていたが、過去の花嫁は何れも初夜が明けた朝に何者かによって命を奪われていた。花嫁を守るよう依頼された探偵・榎木津礼二郎だったが。体調を崩したか熱により一時的に視力を失っていた。探偵の付添いを頼まれた小説家・関口巽はただただ困惑し狼狽するばかり。だが、眼が見えないはずの探偵は、館の住人たちの前で叫んだ。
    ―「おお!そこに人殺しがいる!」

    知人から余程薦められたから等の理由がない限り、新作の(純粋な)ミステリ作品に手を出すことはないのだが、これだけは別(「姑獲鳥の夏」から全てノベルスで読んでいる)。前作「塗仏の宴」(ノベルス版)が出たのが98年だから、京極堂の長編作品としては5年ぶりになる。

    人気シリーズの上、ミステリを読みつけない人間なので余計なことは書かないでおこうかと……予想してたよりもかなーりグロい。想像すると、だが……とだけ。
    ミステリとしての出来がどうなのかは知らないが、自分としては予想以上に楽しめた1作。でも長い。
    持ち歩いて電車内で読むにはチト辛かったw

  • 2003年10月27日読了。以下、過去の日記から抜粋。

    久しぶりの京極堂シリーズ。
    前回の『宴』があまり好みではなかったので、
    今回は期待半分、不安半分。
    軍配は・・・まぁ期待通りといったところかな。
    ただ、いろいろな場でいろいろな感想が言われるとおり、
    ちょっと単純? 私ですら犯人がわかったもの。
    でも、京極氏の小説はストーリーを追うだけでなく、
    盛り込まれた雑学的要素も面白い。
    知っている名前や事実が出てくると「おっ」と思うし。

  • 信州だったか、ちょっと場所忘れたけど
    華族の屋敷で起こる事件の謎を解く!

    途中からオチはわかってきていたものの。
    えぇーーー!って感じでした。
    毎度のことだけど、京極堂は謎解きとかより
    間の蘊蓄読むのが楽しい、みたいなとこがあるので
    ま、いいかな、と思っている。

  • 京極堂シリーズ。今回の主役は関口さんでした。
    ラスト近くの関口さんの言葉が切なかった。
    関口さんが頑張る巻です(>_<)

  • けっこう真相に近いところまで推理(推測?)が及んで嬉しかったかも。「なんでこれ違うんだろ? 誤植?」とか思っていたあたり、完全とは言えませんけど。後になって思えばそれこそがすんごく重要な部分でしたねえ。
    序盤から榎木津どうなっちゃうんだろう、って思いながら読んでました。あの状態は予想できませんでしたよ。しかも真相「だけ」見えてても読者には全然分からないってば(笑)。いつになくスリリングな状況だったかもしれません。
    なかなか悲劇的な結末ではあったけれど、この結果をしっかりと受け止めさせるあたり、京極堂の「憑き物落し」はやはり凄いですね。

著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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