空の境界 上 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3185
感想 : 330
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061823617

作品紹介・あらすじ

二年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる"直死の魔眼"。浮遊する幽霊の群れ。人の死を蒐集する螺旋建築…。この世の存在のすべてを"殺す"、式のナイフに映る数々の怪異。非日常の世界は、日常の世界と溶け合って存在している-。-あの伝説の同人小説の講談社ノベルス化が満を持して成就。

感想・レビュー・書評

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  • 中高生の時に読んで夢中になったが、今は概念的過ぎてきつく感じる(理解が)。

    作品全体の明度が低く落ち着いており、独特の世界観がかっこいい。
    主人公の記憶が欠落しているのと、時系列ばらばらなので、最後まで緊張感を持って読める。

  • やっぱ奈須きのこって天才やなって。
    読むの三回目くらいやったけど、久々に読み返すとトーコさん言ってること難しくてまだまだ読み込みが足らんなと思う。
    矛盾螺旋はやっぱり最高だ

  • 学部生の時,本当によく読んだと言える小説は,本書において他にない。まあ,塾講師の仕事が忙しかったというのが一番の理由ですが,それ以上に個人的に,思春期から青年期への橋渡し的意味合いがあった本だったなあと思います。

  • 型月の世界。
    じわりじわりと味が来ます

  •  今まで読んだ小説の中で一番好きな作品。この作品をきっかけに『奈須きのこ』という作家を知り、自分の中の何かが狂っていったのであった……(いい意味で)。
     自分の口から語るのは憚られるくらい大好きな作品ですので、詳細は書きません。あえて書くなら、一章を読んでも『何か格好いい』とか『雰囲気ええなあ……』とか『俺の厨二センサーよ、鎮まれッ……!』などという症状が現れず、それどころか『日本語でおk』となってしまった方は、残念ながら回れ右。一章に関しては「あえて」読み難さを残した作品ではあるのですが、作品の空気が合わない人にはとことん合わないでしょう(自分などはその最初の一ページで胸を撃ち抜かれた典型ですが)。
     ちなみに文庫サイズで全三巻になったものも発売されていますが、個人的には講談社ノベルスの方が好きでした。何と言っても読み易いです、ええ。

  • 交通事故で死に限りなく近づいたことにより、少女は直死の魔眼(万物の綻びが視える)を手に入れた……。
    中二病といわれてしまえばそうかもしれない、しかしこの作者のすごさは設定の裏付けにある。例えば「死の線」について(生物はどれも不完全だから生まれ変わって完全になりたいという願望がある→生きる意志とは別に、死を望んでいる→死の線が存在)。徹底された設定により、この世界観の中ではおよそ矛盾が生じない。
    式をはじめとする異能者たちと世界のあり方を記した物語だが、おそらく作者が真に伝えたいのは誰もが「拠り所」を必要としているということ。
    独創的な視点で紡がれていく世界観に追いつかず、ページの往復を繰り返すことになるだろう。上手くはまれば、これ以上にない出会いとなるが、合わない人は途中で投げ出すことになる。それでも読みたいというならば是非もない。奈須きのこの世界に挑戦してみるといい。

  • 「傷は耐えるものじゃない、痛みは訴えるものなんだよ、藤乃ちゃん。」

  • 異能バトル小説。2000年ごろの流行に乗った感じ。ただ今読んでも面白い。主人公の異能力がちょっと説明をよく読まないと分りにくいけど、これも当時の流行、意味の場の共有が合ったのではないかと思う。

  • 二年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式。記憶喪失とともに手に入れたのは、物の死を視る眼だった。あらゆる物を殺す力は、似て非なる怪異たちと巡り会う。正常と異常の境界で紡がれる新伝奇小説。

    同人版で発売された当時ぶりの再読。内容がちょうどよく頭から抜けていて、楽しめつつも初見のように惑いながら読んだ。章ごとに時系列がバラバラ。ちゃんと読まないとわからない仕掛けも最初から張り巡らされていて、ついて来れない奴は置いていく!と言わんばかりの展開。

    物の死を視る眼、魔法と魔術など一見すると中二病っぽいキーワードだけど、圧倒的な知識で組み上げられた世界観、哲学性には唸らされる。年齢を重ねた自分でも読みにくさを感じる。それを補って有り余るほどの密度と魅力は凄まじい。難解さをわかっていてもお薦めしたくなる作品ではある。

    異能バトル、伝奇小説、哲学、ミステリ、サスペンスなど、様々な要素を凝縮させたブラックコーヒーのような味わい。改めて今読み直すと、ブギーポップからの影響を感じたり、矛盾螺旋のマンションは館シリーズっぽくて面白いとか思った。

    最後にお気に入りの言葉を引用して終わります。セリフの投げかけがナイフのように鋭くて好き。

    「だがもし君が罪の意識でどちらかを選ぶのなら、それは間違いだぞ。我々は背負った罪によって道を選ぶのではなく、選んだ道で罪を背負うべきだからだ」

    「子供の頃は自分しか見えないから、他人のどんな悪意だって気付きはしない。たとえ勘違いだとしても、愛されてるっていう実感が経験になって、誰かに優しくできるようになるんだ」

    「馬鹿だな、君は。いいかい、傷は耐えるものじゃない。痛みは訴えるものなんだよ、藤乃ちゃん」

    或る一つの無駄を愚かと蔑み、或る一つの無駄を芸術と持てはやす。一体、その境は何処にあるというのだろう。
    境界は不確かだ。定めるのは自分だというのに、決めるのは外側になっている。なら初めから境界なぞない。世界はすべて、空っぽの境界でしきられている。だから異常と正常を隔てる壁なんて社会にはない。
    ──隔たりを作るのはあくまで私達だ。

  • 実は初めての奈須きのこ作品。頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。美しい言葉運びで彩られた鮮やかな描写と陰鬱な心象に心奪われ、同時に自分との才能の差を思い知らされたというのが率直な感想。スゴすぎる。

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著者プロフィール

ゲームシナリオライター・小説家。ノーツ所属。シナリオを手がけた主なゲームに『月姫』『Fate/stay night』『Fate/hollow ataraxia』など。小説作品には『空の境界』『DDD』『月の珊瑚』などがある。

「2022年 『空の境界 the Garden of sinners(11)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奈須きのこの作品

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