空の境界 上 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3217
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061823617

作品紹介・あらすじ

二年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる"直死の魔眼"。浮遊する幽霊の群れ。人の死を蒐集する螺旋建築…。この世の存在のすべてを"殺す"、式のナイフに映る数々の怪異。非日常の世界は、日常の世界と溶け合って存在している-。-あの伝説の同人小説の講談社ノベルス化が満を持して成就。

感想・レビュー・書評

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  • 以前から直死の魔眼というワード自体は知っていたがその元が全然知らなかった。

    ラノベかと思いきや重量感もあり、描写も丁寧に描かれており非常に読み応えがあった。感覚的に京極夏彦を読んだ時と似たような読了感があった。

  • 中高生の時に読んで夢中になったが、今は概念的過ぎてきつく感じる(理解が)。

    作品全体の明度が低く落ち着いており、独特の世界観がかっこいい。
    主人公の記憶が欠落しているのと、時系列ばらばらなので、最後まで緊張感を持って読める。

  • やっぱ奈須きのこって天才やなって。
    読むの三回目くらいやったけど、久々に読み返すとトーコさん言ってること難しくてまだまだ読み込みが足らんなと思う。
    矛盾螺旋はやっぱり最高だ

  • 学部生の時,本当によく読んだと言える小説は,本書において他にない。まあ,塾講師の仕事が忙しかったというのが一番の理由ですが,それ以上に個人的に,思春期から青年期への橋渡し的意味合いがあった本だったなあと思います。

  • 型月の世界。
    じわりじわりと味が来ます

  •  今まで読んだ小説の中で一番好きな作品。この作品をきっかけに『奈須きのこ』という作家を知り、自分の中の何かが狂っていったのであった……(いい意味で)。
     自分の口から語るのは憚られるくらい大好きな作品ですので、詳細は書きません。あえて書くなら、一章を読んでも『何か格好いい』とか『雰囲気ええなあ……』とか『俺の厨二センサーよ、鎮まれッ……!』などという症状が現れず、それどころか『日本語でおk』となってしまった方は、残念ながら回れ右。一章に関しては「あえて」読み難さを残した作品ではあるのですが、作品の空気が合わない人にはとことん合わないでしょう(自分などはその最初の一ページで胸を撃ち抜かれた典型ですが)。
     ちなみに文庫サイズで全三巻になったものも発売されていますが、個人的には講談社ノベルスの方が好きでした。何と言っても読み易いです、ええ。

  • 交通事故で死に限りなく近づいたことにより、少女は直死の魔眼(万物の綻びが視える)を手に入れた……。
    中二病といわれてしまえばそうかもしれない、しかしこの作者のすごさは設定の裏付けにある。例えば「死の線」について(生物はどれも不完全だから生まれ変わって完全になりたいという願望がある→生きる意志とは別に、死を望んでいる→死の線が存在)。徹底された設定により、この世界観の中ではおよそ矛盾が生じない。
    式をはじめとする異能者たちと世界のあり方を記した物語だが、おそらく作者が真に伝えたいのは誰もが「拠り所」を必要としているということ。
    独創的な視点で紡がれていく世界観に追いつかず、ページの往復を繰り返すことになるだろう。上手くはまれば、これ以上にない出会いとなるが、合わない人は途中で投げ出すことになる。それでも読みたいというならば是非もない。奈須きのこの世界に挑戦してみるといい。

  • たまたま、図書館で見付けた本。
    題名と表紙の絵、そして裏表紙の「あらすじ」にあった「伝説の同人小説」という文言から、興味が湧いて読んでみようかと思い借りた。表紙の絵から当然、ライトノベルだと思っていた。が、途中で普通のライトノベルではないなと感じ、読み終わって最後の笠井潔の「解説」を読んで、この小説は「伝奇小説」と知った。でも、「伝奇小説」ともちょっと違うような気がする。イメージ的に。
    この小説は、説明が多く長い。例えば、自殺の際の「遺書」に関しても、また「無痛症」患者の「生きている実感」についても、主人公の二重人格と殺人衝動やその他の事に関しても。この「説明」の内容は、「普通の小説」ではちょっと無理すじだが、「伝奇小説」では無理の無い理屈。ただ、場合によっては屁理屈になっている。
    とは言え、この「説明」「理屈」が、この小説の基になっている。つまり、登場人物の存在理由から登場人物の能力、その能力による怪奇現象、事件、出来事(殺人、暴力、自殺その他諸々)がこの「説明」「理屈」で理由付けられている。そして、この「説明」「理屈」が、結構面白い。
    また、「ライトノベル」的な要素もある「伝奇小説」だから奇怪的、ホラー的、猟奇的な描写も当然あるが、アクションシーンもあり、圧倒的に強い主人公と、もしかしたら主人公より強いかもしれない敵。主人公に徹底的に惚れ込んでいる人のいい相棒。「説明」「理屈」で、出来事を解説してくれる魅惑的な女性所長。などなど数は少ないが魅力的な登場人物も良い。
    ただ、「伝奇小説」と唱うのであれば、幻想的、耽美的な描写がもう少しあっても良かったかなと思う。勿論、谷崎潤一郎の背筋が凍るような美しさ、江戸川乱歩のような毒々しい美までは要らなくても、半村良の「伝承に基づいエロチズム」くらいは。
    まぁ、いろいろ突っ込み処はあるが、結構面白い小説だと思う。

  • 「傷は耐えるものじゃない、痛みは訴えるものなんだよ、藤乃ちゃん。」

    自己の中に他者を持っていたから、人間が醜い物だと知っていた。

  • 異能バトル小説。2000年ごろの流行に乗った感じ。ただ今読んでも面白い。主人公の異能力がちょっと説明をよく読まないと分りにくいけど、これも当時の流行、意味の場の共有が合ったのではないかと思う。

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著者プロフィール

ゲームシナリオライター・小説家。ノーツ所属。シナリオを手がけた主なゲームに『月姫』『Fate/stay night』『Fate/hollow ataraxia』など。小説作品には『空の境界』『DDD』『月の珊瑚』などがある。

「2022年 『空の境界 the Garden of sinners(11)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奈須きのこの作品

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