- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061823662
感想・レビュー・書評
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不評は承知で読んだ。
そんな自分の感想「論外」。
まず、わけもわからず見知らぬ場所へ連れてこられた善男善女であるはずの登場人物たちの反応が、あまりにもおかしい。
開かない玄関ドアからわずかに見た外界に、日本ではありえない熱帯の鳥→知らない間にアフリカかアマゾンに連れ出されてしまった! たとえここから脱出できたって、そう簡単には帰れないじゃん。どうしよう!?
…そんなわけがない。
常識的なおとななら、人ひとりを本人の意志によらず国外に連れ出すのはかなり困難、ではなく「まず不可能」だと考える。いや、考えて「しまう」。実際にはそんな固定観念を覆す超トリックがほどこされていたのだとしても、一般市民であるはずの登場人物たちが何の説明もなく、こぞってその思い込みから自由なのは明らかにおかしい。
他にも、誰とも会わず何も確認していない状態で、ただ玄関ドアが開かず、自分がいたのと同じような部屋があと六つあるというだけで「我々七人は何者かの悪意によってここに閉じ込められてしまったのだ。危険だ」とか、だから「建物内を可能な限り詳しく、しかし怪しげな装置には手を触れぬよう充分注意して調査しなければならない」とか、顔合わせ早々「自分たちは運命共同体だ」とか、かと思えば「話すことは何もない」と妙に互いを警戒・敵視するとか、「果報は寝て待て? のたれ死ぬのがオチだ!」としょっぱなから「死」を意識したりとか…タチの悪いミステリ・マニアじゃあるまいし(そういう設定の人物は皆無)、おいおいそりゃないだろう、のオンパレード。
これが「人間ガ描ケテナイ」ってやつか、と反ミステリ派のお題目を唱えたくなった。
またもう一点、本作ならではの趣向として「同じように閉じ込められた連中がもう一組おり、そっちの事件の謎も解かなければならない」というのがあるが、その「向こうの連中」に関する描写がほとんどない。
つまり本格パズラーはもとより志向していないということで、それはそれでかまわないのだが、それにしたって書かれなさすぎ。二組は二つの事件解決において競わされており、敗れた側にはチーム全員の死が待っているのに、あまりにも描写がなさすぎて「今向こうはどうなってる? どこまでわかっている!?」というドキドキが微塵もない。「向こうの連中」は、通信機越しに接触する一人を除いて完全空気。それなら時間制限でも設けて、「○時間以内に正解にたどり着かないと、全員殺害」としたらいいじゃないか、と思える。
それではダメな理由というのは、一応ある。あるのだけれどこれが本当に「一応」で、トリックのためだけの不自然きわまるこじつけ設定という感じ。
そしてそのくせ、肝心のトリックがしょぼい。大半の読者は——というのもこんな「いかにも」なミステリを手に取るのは、まず間違いなく「タチの悪いミステリ・マニア」がほとんどであろうから——完全的中でこそなくとも、ある程度まで真相に肉薄できたのではないだろうか。あえて言わせてもらえば、「いまさらこれか」。
たいていのトリックは出尽くしたとされて久しい昨今、前例があるイコール×、と言いたいのではない。「いまさらこれ」をやるならやるで、せめて古い革袋に入れる酒は、それなりに新しい良いものをと願いたいのだ。本作の場合は残念ながら、そこがあまりにもしょぼかった。
2010/8/15読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
設定としては好きな部類なので期待して読んだけども、正直パッとしない印象。
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夏の館と冬の館
双方で起こる殺人事件を先に解決した方に賞金…
設定は良かったけれど、解くべき殺人事件そのものがつまらない
登場人物全員、特に主人公に共感できないままラストを迎える
トリックは最初から分かっているが
犯人までの道筋が突然すぎる
ただただ消化不良の一言 -
「コズミック」などメフィスト賞には曲者が多い。期待して読む。
新本格ならではの強引きわまる舞台設定・状況設定。寝ている間に月面に拉致されていた、なんて話が書かれてもおかしくない。
主要人物を含め、感情移入できるキャラクターが乏しい。
銅像のヒントはフェアプレーなのだろうか。正解にたどり着く手掛かりが少なかった気がする(敗者の弁)。 -
※2005/12/2のblogより転載
生命保険会社に勤める駒形祥一は、朝目覚めるとそこが自分の部屋ではないことに気付く。そこは、夏の館と呼ばれる得体の知れない建物で、同じ境遇の人間が他に6名集められていた。
彼らが集められた理由、それは謎の主催者が推理ゲームを行うためのプレーヤーとしてのことだった。
夏の館と同じ設定の冬の館のプレーヤーたちと、これから始まる推理ゲームで勝利を得なければ、生きてこの館から脱出することはできない。
ゲームの内容は「これから起きる殺人事件の犯人を当てなさい」。
勝利の条件は、相手よりも先に夏、冬の館に放たれた殺人鬼を当てること。回答の機会は、1回のみ。間違えても死が待っている。
当然の事ながら、殺人事件の被害者はプレーヤー。
自分の身を守りながら、一刻も早く、しかも正確に犯人を見つけ出さなければならない。
思ったよりもスラスラと読めました。
設定は面白いのですが(ありえない状況なんだけどそれは小説だから ^^;)、登場人物の描写が数人に限られているため、事件の謎解きに深みがないようにかんじました。
実際に殺人トリックはほぼ無いに等しい。設定と、メイントリックが浮かんだ段階で満足してしまったんじゃないかとうかがい知れる内容かな。
確かに悪くは無いんだけど、もっと面白くなるような素地があるだけに残念な印象が残りました。
既にドラマ化されているようなので、一度見てみようかと。でも近くのショップではレンタルしてんのかな!?
なにせ田舎なものでして。 -
今や珍しくもなくなってしまったデスゲームもの。
著名作品で似たトリックがあり、気付く人も多いのでは -
推理ゲームは鉄板ですがやっぱいいですね。デスゲーム系でもあるかもしれないけれど、ホラー要素は薄め。デスゲームのかたちを借りたミステリーって感じだった。
始終全く謎が解ける気配がなく、何の手懸かりもなく、本当に大丈夫なのかこれと思ったけど大丈夫だった。
推理はちょっとこじつけって感じがしたけれども一応ちゃんと結末があってよかった。後味も悪くない。
軽く読めるエンタメ小説。 -
極限推理コロシアム
どのレビューを見ても
やっぱり同じ感じなのですね
設定はなかなか
何と言うか……ライアーゲームなのですよね
読み終わってからドラマ化したと言う事でそちらも見て見たのですが
BGMとか加わると益々ライアーゲーム!!1
同じ設計の建物で、しかも遠く異国にそれぞれ7人が閉じ込められて
と、言う時点で「これはもしかしなくてもそう言う事なのでは?」と思ってしまう人も多いハズ
証拠?の出現と当てはまる容疑者でダメ押し。なのですよね
本格ミステリーと言うよりはサスペンス。と言うかライアーゲーム。やっぱりそこに落ち着くのですよ
突然集められた見ず知らずの7人×2
ゲームクリアで一千万
もしかしてドラマのが見やすいのでは……?
著者プロフィール
矢野龍王の作品





