魔術王事件 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (778ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061823983

感想・レビュー・書評

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  • 物量に定評のある著者の
    本気出してきやがった(誉め言葉)な作品。

    ずっと犯罪者のターンだからな!!
    しかもあることのせいで被害者激増な。
    何していやがる。

    国内版人狼城といっても過言ではないね。
    なぜかというと犯行の廃棄にXXX(!!)が
    やはり隠されているからです。

    そして含みを残すような犯人指定が
    なされていますが真の意味は
    完結しないとわからないんじゃないかしら?

  • 名探偵が快刀乱麻を断つごとく、事件を鮮やかに解決するたぐいの小説は好きなので、普通に面白かったです。ページ数も多いが読みやすので、本の厚さはあまり気にならないです。でも、そろそろ探偵(二階堂蘭子)が現れてもいいかなぁと思う部分はありましたが。二階堂氏の他の小説でもそうなのですが、現場の描写がグロテスクなので、これが辛い時もあります。
    シリーズの他の作品も読んでみようと思います。

  •  二階堂蘭子シリーズ、よくよく考えると初めてでした。順序通り読むべきシリーズなんですよね。そういう点では感想として駄目なのかもしれない。

     昔ながらのほの暗いどんよりとしたミステリが読みたくなって手を伸ばしたら、予想以上にどろどろとした猟奇殺人の話だった。北海道の由緒ある宝生家、家宝の宝石、予告状を置く殺人鬼などなど、おいしいネタがごろごろ転がされている。
     主役の二階堂蘭子が本事件に現れるのは半分読み終えた頃で、それまでは本事件の被害者である芝原悦夫や、警部坂下の視点で進む。マジックショーで本当に切断され殺される女性、死ぬ間際まで追い込まれて行く悦夫、バラバラにされた人体……などなど、とにかく事件が凄惨で読んでいて辛くなる場面が多々ある。
     それだけならまだ良いが「本当に不可思議なことばかりなのだよ」と、警察が読者よりも愚鈍でそちらのほうが逆に不可思議だった。二階堂蘭子が現れ後半はほとんど事件の謎解き会に消費されるが、細かいトリックが解明されるぐらいで、犯人はだいたい予想がつくだろうから、そこまでの驚きはない。

     婚約者を殺された悦夫や、坂下がひたすらがんばっているのが健気で良かったが、事件そのものとしては謎があまりないままだった。
     やはり順番に読んでいれば少しは楽しめたのだろうか。すぐにとはいかないがまた、機会を見て二階堂蘭子シリーズを一から楽しんでいきたい。

  • シリーズ探偵、二階堂蘭子によるエドウィンドルードの謎の解決編があるというので手に取りました。(それについては分厚い物語の最後の数ページの余談だけだった)

    それはさておき本編は、けれん重視の怪人が起こす事件で、乱歩を彷彿とさせるドロドロでレトロな世界観。舞台は函館で、幕末の旧幕府軍に関する部分もあって、どちらも興味があるので勢いよく読めたけど…、あまりに凄惨だったのと、終盤まで探偵不在で事件だけが起き続け、さらには怪人との決着は次の戦いへ持ち越しになるので(シリーズのこの巻だけを読んだ私には)、長かっただけに拍子抜けでした…。

    気になっていたエドウィンドルードの解決編は、本編とリンクするのはうまいなと思ったが、肝心のエドウィンドルードのストーリー解釈に疑問が…

  • 項数読んだことへの達成感!
    惨殺シーンが一番面白かった。
    私の中では黒蜥蜴のところがピーク。
    しかし、序盤からどう考えても怪しかった…残念。
    解決編で事実を明かし、とりあえずよかったね。なのがどうもすっきりしない…
    次々に怪奇な事件が起こるわけではなく、事件!捜査、考察…事件、捜査、考察…でテンポもくどく感じた。
    とにかく、頑張って読めた達成感!

  • 自分は推理小説を推理しないで読むスタイルなんです。一切推理をしないで読んで、それまで自分の信じていたものが根底から探偵役にひっくり返されるそのカタルシスみたいなものを楽しんでいるんですが・・
    だから、特に推理してないにも関わらずある程度真相がわかっちゃったりするとかなり興ざめなんです。

    これはそんな感じの一冊でした。
    なんでみんなこの人を怪しいと思わないんだろう?・・いやいやまさかきっとびっくりするような真相があって別の人が真犯人・・・と思って読んだらやっぱり自分の想像通りで。。
    文章も、ひたすらに魔術王がいかに残酷か蘭子がいかに優秀かという部分がやたらと目立って「もうそれはわかったから」という気分に。お互いを違う角度で褒めあってるだけみたいな。うーん。

    しかし同じような推理を構築しても、女性が探偵役だとなんでかちょっと嫌味っぽく感じるのはなぜなんだろうな?そう感じさせない女性探偵役のシリーズ小説って結構少ない気がする。

  • 再読。
    ラビリンスVS蘭子の所謂"ラビリンスサーガ"の一作。
    物語の内容量云々の前に、からくり屋敷の構造にわくわくしてしまう。
    蘭子が出てくるまでが長いと感じてしまった。
    その事情は再読なので分かってはいましたが、こんなに登場遅かったっけ?
    同時進行の『双面獣~』は個人的にきっつい作品なのですが、一応再読します。

  • 2段で778ページの長編。いくつかの密室もあり、動機や思いがけない
    犯人など、長いが面白く読めた。途中、チョットだらけたが。。。。

  • 蘭子シリーズ、対ラビリンス物再読中。
    やっぱしミステリにおける「よさげな人」はあやすぃのだw

  • ここに一つ伝説が登場した。
    ――奇術 (きじゅつ)とは、人間の錯覚や思い込みを利用し、実際には合理的な原理を用い てあたかも「実現不可能なこと」が起きているかのように見せかける芸能。――
    ミステリとは奇術である。人を騙し、最高のトリックにて人を歓喜させる。しかし、このミステリは奇術ではない。これは魔術である。
    ――魔術(まじゅつ)とは、. 人間の意志を宇宙の事象に適用することによって何らかの変化 を生じさせることを意図して行われる行為、その手段、そのための技術と知識の体系、 およびそれをめぐる文化である。――
    体系に則り、事件を解決する蘭子は犯人を推測し完成させる。そう本当の魔術師は蘭子なのかもしれない。魔術師VS魔術師。

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著者プロフィール

1959年7月19日、東京都生まれ。中央大学理工学部卒業。在学中は「手塚治虫ファンクラブ」会長を務める。1990年に第一回鮎川哲也賞で「吸血の家」が佳作入選。92年に書下ろし長編『地獄の奇術師』を講談社より上梓し、作家デビューを果たす。江戸川乱歩やJ・D・カー、横溝正史の作品を現代に再現したような作風は推理界の注目を大いに集め、全四部作の大長編『人狼城の恐怖』(1996〜99年。講談社ノベルス)では「1999年版本格ミステリ・ベスト10」第一位を獲得。アンソロジー編纂や新進作家の育成にも力を注ぎ、2000年代は合作ミステリの企画も多数行った。SFの分野にも精通し、『宇宙捜査艦《ギガンテス》』(2002年。徳間デュアル文庫)や『アイアン・レディ』(2015年。原書房)などの著書がある。近年は手塚治虫研究者として傑作選編纂や評伝「僕らが愛した手塚治虫」シリーズの刊行に力を入れている。

「2022年 『【完全版】悪霊の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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