子どもたちは夜と遊ぶ (下)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1418
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061824300

感想・レビュー・書評

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  • 2022/02/24読了
    #辻村深月作品

    「i」が一体誰なのかと予想しながら
    読み進めてみたが、
    それは反則だわ〜、と言う感想しかない。
    ちょっと消化不良感が残る。
    あと、辻村作品だけに
    やっぱりハッピーでは終わらないんだね。

  • 半分くらいで犯人ばれちゃって、あと半分どうすんのかなぁなんて思ってたらないちゃった…
    この後どうなるかとか、どんな会話とか、余韻がすごい深くてスッキリしないこの感じが、読んだな、って思わせてくれた。

    順番に沿って図書館で借りて読んでます。
    同じタイミングで読んでる人がいて、順番待ちしながら次の作品って読んでいってるので、だれかわからないその人の存在がほっこりします。
    なにいってんだろ

  • 痛ましい物語だった。
    そして、細部は容易に予想させておいて
    最後の最後でそれを根底から見事にひっくり返す、辻村深月の大胆さ!

    人と繋がりたいのに、愛する人と手を繋ぐことすら
    苦痛として受け止めねばならず
    残酷な殺人ゲームを続けてでも
    「兄であるはず」の「i」を追い求めずにいられない「θ」。

    自らを完全否定し、闇の中で二度と目覚めたくないと願い、
    生餌となって喰い尽くされることを夢想しながらも
    「θ」を生き永らえさせるために罪を犯す「i」。

    人として生きたいθと、消滅したいiとの
    まさかの立場の逆転に戦慄し、涙が止まらない。

    そして、愛する人の罪を知りながらも、
    「ゲームを中止して二度とθに戻らないと誓うなら
    全てを忘れ、二度と思い出さない」と約束した月子。

    命を削るようにして、証拠写真を飲み込んでまで守ろうとした彼を
    (たぶん)自らの意志の力で、本当に記憶を喪失してまで
    きっちりと忘れ、思い出さないまま見送る月子が、哀しい。

    重ねてしまった罪は到底許されるものではないけれど
    柔らかな健全さで、陽光のように周囲を包み込む狐塚に憧れ、
    細い両腕を差し伸べるように、闇を貫いて
    まっすぐに自分を照らす月子の想いを浴び、
    不器用でやさしい恭司の鉄拳で「月まで飛ばして」もらうことで

    θが消滅して、iが淋しくひとり残ったのではなく、
    iの中に、きっと生まれながらにしてあったθという人間らしさは
    手首を折ってまで逃亡し、心を込めて月子の手をとって
    「生きることに手を抜かない」と誓う、ひとつの全き人格として
    ちゃんと結実したのだと、祈りを込めて信じたい。

  • うーん、、、ふた捻りくらいはあったけど、上巻の結末での予想通りというか。ボリューム多く、かなりの長編ですが、ミステリとしては凡庸かしら。
    恋愛心理と友人同士のマウント・駆け引き。このへんの描き方は、女流作家らしく流石だなぁと思うのですが、なんか登場人物に共感できないのは、何故でしょうか。
    後の小説を見ても、無理に人死にを描かない方がこの作者にはあっているかもなと感じた。
    日常から非日常に転がり落ちるモラトリアム群像劇としては、私は西尾維新のクビシメロマンチストのほうが共感できた。好みはそれぞれだと思うが。

  • 「人間には誰でも、大好きで泣かせたくない存在が必要なんだって」

    とはいうけれど、起きてしまった事件はとにかく暗くダークな現実
    女同士の歪な友情、愛することと恋すること、過去の怨恨、妬み、家族…一度ほどけた結び目からスルスルと解き放たれる真実

    これ読んでる間は毎晩連続殺人の夢をみた、あるときは殺される側で、あるときは殺す側で…どっちもイヤな夢だった

    なんとも切ない“痛みを共有しながら二人で興じる対世間の殺人ゲーム”、でも大好きな世界観

    児童心理学の秋先生の存在が人間として際立っている

    映画『真実の行方』のエドワード・ノートンの迫真の演技を思い出した

    ところで、秋先生は一体なにを囁いて男の子を消してしまったんだろう?

  • 月ちゃんは浅葱君のこと「童話に出てくる王子様のよう」
    浅葱君は月ちゃんのこと「施された濃い化粧まで含めて月子の印象は姫だった。」と思ってます。王子様と姫って2人ともロマンチックで胸キュンです。

    読み返しても楽しめるし辻村さんの小説は好きです。一番の悲劇は浅葱くんが鈍かったことです(笑)

  • 登場人物の中にiがいたのに気が付かないように伏線が張り巡らされていたり表現が巧かったりして、確かにそうだ!あの人だったんだ!と最後叫ぶような、そんな展開をワクワクしながら待っていたので読後少し残念な気持ち。

    あーぶくたった、すごく懐かしい。
    遊んだ記憶がバーっと蘇って、歌が頭の中にずっとぐるぐるした。むしゃむしゃむしゃって友達の頭をワシワシしたな。戸棚のところの記憶は曖昧。とんとんとん何の音?でみんなクスクス笑ったよね。何十年も思い出さなかった記憶が蘇ってきたことが凄い。

    ただ、この本でほんのり怖いイメージが付与されたような。

  • 多重人格というところは予想通りだったけど、それだけで終わらないのが辻村さんだなぁと。
    孤塚と月子の関係はなんかおかしいとは頭のどこかで思ってたけど、ほとんど騙されてた…。すごい。
    多視点で語られてるはずなのに、いつのまにか浅葱の視点で物語を見ていた。兄弟だと知る場面を読んでいたときに受けた衝撃と切なさよ。
    そして最後の恭司。月子が記憶を戻さない限り、あなたも会えなくなっちゃうのよ。
    浅葱は一人じゃなかった。もっと早くそれに気付いてたら犠牲者は少なくなったのにって思うけど、2つの目の人格が存在する以上、根本的な解決にはならなかったのかな。本当に彼の過去を恨むばかりですね。
    あぁしんどい!!(良い意味)

  • 辛い記憶を自我とかけ離れた無意識の中に放り込み、そこからひとつの人格を作り出すことでしか浅葱は生きていけなかった。辛い。
    エピローグ「月子と恭司」では不覚にも涙が出てしまったよーーー。たくさんの人が死んで、苦しい話が続いた中で少しの光が見えてよかった。

  • 誰がiなのーーーーとずっと気になって一気に読み進めていたら、まさかの浅葱だった。たしかに、壮絶な経験をしたり現実から離れたい願望が強いと、自分の中に新たな人格を生み出してしまうことがあるっていうのは知っているけど。少しがっかりした。でも上原愛子が突如出てきたことにびっくりと驚き。
    でも悲しいな。幼少期に受けたDVも、その後の性的虐待も、大人になるにつれ人間らしい感情を持っていく過程も。人に愛されたいと強く渇望する悲しい人。愛してくれた人を勘違いで殺めてしまったこと。なんか全部悲しいな。
    秋先生と恭司のことを怪しいと思ってたけど、ただの洞察力と推理力が鋭い大学教授と、身の上に影のあるルームメイトなだけだった。キャラが強い。
    月ちゃんが記憶を失ってしまって、浅葱が会いに来た最後のシーンも切なかった。もう2人は一生会うことはないし、月ちゃんは浅葱のことを思い出すことはないかもしれないけど、最後に会えてよかった。浅葱はこれからどうするのかなぁー
    しのと月子の女同士の関係性も興味深かった。相手の優位に立ちたいと感じる心。
    本格ミステリーみたいな感じですごくハラハラしたり展開が気になる小説でした。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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