火事と密室と、雨男のものがたり (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 117
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061824379

感想・レビュー・書評

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  • ー あなたは自分の《力》に気付いていなかったはずよ。〈力》があるからこうやって外に出ないで引きこもってるなんて嘘っぱちよ。あなたは《力》と関係なしに世の中と関わるのを諦めた。その後に自分の《力》に気付いたの。あなたはその時、心の底から喜んだでしょうね。世の中に負けて引きこもってるんじゃない。この《力》のせいで俺は外に出られないんだ。そう自分に言い訳することができるんですもの。 ー

    《力》の存在が意外と事件と関係しているので、《力》の前提がミステリーの前提なんだな。《力》が本物かどうかの検証も必要なので、これは事件解決の難易度が上がるなぁ〜。まぁ、ミステリーの謎を解く気はあまりないので、これはこれで面白い。

    それにしてもいじめられっ子の主人公のうじうじと歪んだ自意識はこれからどうなっていくのか楽しみだ。

    歪んだ碇シンジみたいだな。

  • 二作目。連続放火事件と偽装自殺事件の謎を追うミステリ。「密室」の正体は案外と単純なものなのだけれど、しかし犯人はなぜ雨が降ることを知っていたのか、という謎の答えがこのシリーズならではのものなのですね。まあある程度はタイトルを見ればわかってしまうかもしれないけれど。それは大した問題ではありません。
    八木のこじらせっぷりがなんとも鬱陶しくもあり、しかしそれを自覚しながらも力強く生きようとする姿が潔くもあり。とりあえず、いじめをやっている連中のほうがなんともレベルが低くってどうしようもない馬鹿だなあ、と思えて仕方ありませんでしたが。若いうちはそこまで達観した姿勢にはなかなかなれませんよねえ。うん、頑張れ!

  • シリーズを読むためにわざわざ滅多にしない一作目の再読をしたのに、それがもう二年近く前になってしまい、結局ほぼ内容を忘れての読書となった。まあ、一応本当に重要な部分とかは覚えていたけど…ほんと、自分の記憶力のなさには愕然。
    閑話休題。
    朧げな記憶で前作でもかなり鬱屈した青春心理が描かれていたと思うのですが、今作はもう完全に振り切ってます。
    というかいじめられっ子が二人も出てきて、その経験の描写にかなりのページ数を割いているので読むのが辛いったらない。挙句(まあある種健全な男子高生らしいともいえるけど)性的妄想の描写とかも多く、なんというか、只管鬱々とした気分にさせられます。
    肝心のトリックに関しても、ちょっとあまりにも拍子抜けの真相というか…。と思わせて、まあこのシリーズのキモである〈力〉が関わってきたり、最後の真相とか、振り返るとよくできているんだな、とも思えるのがまた、なんというか。
    正直このシリーズに付き合うのはかなりの体力が必要になりそうですが、なんだか最近講談社ノベルス欲みたいのがすごいのでその流れでがーっと読めちゃえばいいなあと思います。次作は発表時結構話題になった問題作らしいので、浦賀がどこまでやっちゃってくれるのか楽しみにしておこう。

  • 松浦純菜シリーズ2作目。
    chapter 9 の南部のお話は言いたいことも分からず、読むのが辛かった。
    ミステリーとしても微妙。
    事件や雨男の設定は好きなんですが。

  • 松浦純菜&八木剛士の第二弾。
    八木君のモテナイ男にありがちな余裕の無さに,さらに第二の喪男登場で,全編にわたって屈折した感情に溢れるアンチ青春小説。
    後味も悪い。でもこのシリーズ好きだ。

  •  久しぶりに読書。放置していた先月の浦賀の新刊。もっと別のタイトルはなかったのかと思う。まんまじゃん。
     前作『松浦純菜の~』の続編で、《力》を持つ人間の物語。松浦純菜も八木剛士も登場。相変わらず鬱屈した精神を書くのが上手いよなぁ。読んでいてこちらがイライラしてくるくらい。
     ミステリとしてのトリック自体はありきたり。《力》を持つ存在と、独特の精神をもつ登場人物がいるから読めているのだろう。読むにしたがってどんどん松浦純菜の性格が分からなくなってくる。なんか、統一感がないというか。そういうキャラなのかしら。
     小田渚の思考回路が少し微妙。偶然自分の近くで二つ、殺人事件があったからってそこまで怯えるものかしら。たった二つのサンプルじゃ法則は導き出せないと思うけどな。非常に非論理的なことばかり考えているので、もしかしたら人間、彼女のような立場にたたされたら誰でもこんな風に非論理的になるのかしら、とも思う。
     ラストのオチは好き。ちゃんと最後にこういうのがないとな。

    05.08.05

  • うあー、痛い痛い痛い痛い。
    ひたすらイジメで俺はどれだけ傷ついたか、で埋められる本書。
    イジメられる側が悪いわけでもなく、かといって単純に「被害者が可哀相」とも違う。
    やっぱり「痛い」がしっくりくる。

    ところでこれミステリなんだっけ?
    えっと、どこが?

  • 2005年10月3日読了

  • まるで落語の三題噺のような題名で、美少女と雨男と不死身だけどイジメられっ子がでてきます。

  •  「上手なミステリの書き方教えます」を店頭で見つけた時に浦賀和宏に興味を持って、読んでみようと思ったらシリーズ物だったので遡ってみたら、間違えて「火事と密室と、雨男のものがたり」を読んでしまったというまぬけな話。2作目なんですね、これ。 <br><br>
     メフィスト賞ものには本格推理もあれば、そうじゃないものもあるので意外ではないのですが、これは読んでいて正直しんどかった。不死身の力を得ている八木と、雨を降らすことができる南部。いじめられて登校拒否になった者とそうでない者。力一杯、精一杯、「自分が悪いんじゃない」と言う(もしくは思う)んやけど、読んでいて何か引いてしまいます。 <br>
     「それをいっちゃああかんやろ」と思ったり、「分かるんやけどなぁ」と思ったり……で、この作品てそういう読み方をすればいいの? 所々に挿入されるガンダムネタの大半が分かってしまいますが、最後まで読んで、「あ、そうかミステリやった」と思ったくらい結局の所、ホントは本筋が何なのか分からなくなりました。 <br><br>
     「上手なミステリの書き方教えます」 まで続けて読もうと思わなくなったあたりが正直な感想じゃないかと思います。で、かなり辛めですが★一つ。

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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