邪魅の雫 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3176
レビュー : 402
  • Amazon.co.jp ・本 (824ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061824386

感想・レビュー・書評

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  • 著者のサイン入り本を持っていて、家宝。榎木津が増田の名前を呼ぶところで身悶えた。

  • 高精度で次の行動の予測できちゃう人って実際いるよね。半分くらい開示されていたが故に謎を纏っていた事件の流れが、真相が繙かれて見ればただ一人に結び付く、というギリギリのスマートさは嫌いじゃない。関係者全員不幸な中でも、最後の榎木津の台詞が泣き笑いを誘う。そりゃあ切ないよなあ。

  • 本格ミステリ大賞候補(2007/7回)

  • やっと読み終わった。いままでのシリーズの中ではやはりイマイチ感が残る。

    毒殺による連続殺人。それぞれがバラバラになっていて、最後にどのような形で収束するのかがポイント。いつもの京極堂による憑き物落としが出るのだが、いつもどおりあまりに悲しい最後でした。

  • 関口が結構喋っていて感動した。でも、関口はまた事件後鬱になるんだろうな。
    山下が大活躍していた。十円禿があっても今の山下の方がかっこいいと思うよ。
    あと大鷹うぜえと単純に感じた。『百鬼夜行 陽』でも合わなかった。

  •  榎木津の過去編。薀蓄成分はやや控えめ。坊さんのお話の三分の一程度だろうか? では誰がストーリーを回していくかというと、主に青木と益田。関くんはピンポイントで登場し、中々に骨のある一面を見せています。彼、自分のためではなく誰かのためになら必死になれるのね。行き過ぎれば自棄にも繋がる――鬱症状を持つ方の一側面ですね。夫婦仲がちょっと心配だが新作で触れられるんでしょうかね? 青木と某公安のやり取りは、テレ朝の刑事ドラマを見てるかのスリリング感がありました。刑事物の醍醐味。――最後まで読んだ末に、人を突き放すには勇気が要るということを私は学習しました。大切な人間を傷つけぬよう振る舞うのにも。

  • 榎さんが出ないけども榎さんの話、というのかなあ。今回の話はこのシリーズ特有のおどろおどろしさというものがあまり感じられなくて、いつものような感じはしなかったのだけど、それでもやっぱり興味深く読めたのは榎さんの内面を少しでも知ることができたからってことなんでしょう。榎さん、意外と常識人だったんですね(どういうイメージを持っていたのかという話)
    物語の筋がはっきりとしていなかったように感じるからか、最後の最後までなんだかなあといったふうに読んでいたのだけど、最後のシーンでこのために読んでいたのだと気付いた。それもどうなんだという話なんだけども。連鎖的に起きる事件の裏側にはひとりの人間がいたわけだけど、その展開だと絡新婦と比べちゃうよね。
    個人的に、関口君が人間関係を鞄に例えていたところがとてもよかった。あれを読むと、関口君の人間関係のおもしろいところがわかる。
    あと、関口君と益田くんって、奥のところは似通ってんじゃないかなあ。関口君と榎さんの関係が垣間見れてよかった。

    (824P)

  • なんだか、勝手がちがう。煉瓦本というのだったかな、ノヴェルズの体裁で厚さが4センチ強。厚みはいつもと同じなのに、手にした感触が軽いのだ。舞台が大磯、平塚という海に面して開かれている土地だからというわけでもないだろうが、禍々しさも足りない。ひとくちでいえば物足りない。世界が濃密に構築されていない。

    一番の原因は、役者が揃っていないことだろう。榎木津や木場修といった濃いキャラクターがちらっとしか顔を見せず、狂言回しを務めるのは、木場修の後輩で青木という刑事と以前は刑事で今は榎木津の下で探偵をやっている益田。関口も登場するが、それまでの巻き込まれ形のキャラクターはすっかり影をひそめ、傍観者としてお付き合い程度の登場だ。これでは、話が面白くなろうはずがない。

    事件は青酸カリに似た毒物による連続殺人だが、犯人と目星をつけた人物が次々と毒殺されていくのに、警察は何一つ効果的な対策をとることができない。青木と益田はそれぞれ京極堂を訪ねることで、事件の周縁部には達するのだが、後手後手に回る裡に6人もの人物が殺されてしまう。最後はいつものように京極堂が登場し事件は解決するのだが、京極堂の憑き物落としも心なしかあっさりしているような気がする。

    凶器が毒物だけに事件の背後に帝銀事件や七三一部隊の影がちらつくが、事件の核心はそれらとはちがうところにある。キイワードは世間。人間が何人か集まればそこには世間ができあがるが、同じ人物が関係していても相手が変わったり場面が変わったりすれば、そこにはまた別の世間が作られる。それらは決して社会を構成することなく、そこだけに作られた小さな世間でしかない。しかし、人はともすれば狭小な世間を世界と勘違いし、愚かな行動を起こしてしまうものだ。

    相変わらず、時空を超越したかのように「受容理論」を引用して書評について講義する中禅寺秋彦のテクスト論やベルクソン譲りの時間論、それに柳田國男張りの「世間」話についての長広舌が、ともすれば平板になりがちな刑事事件の解決に新しい光を導き入れ、京極夏彦らしい世界を垣間見せるのだが、それらは事件を解釈する際の蒙を啓く助けにはなっても、事件を解決するものではない。事件を一気に解決するには、「探偵」が必要なのだ。その探偵榎木津が、理由はあるにせよ、いつもの生彩を欠いていては、事件はいつまでたっても解決しない。京極堂が探偵の代理を務めるなど笑止である。

    犯人及び関係者のモノローグを多用し、よく読めば、事実にたどり着けるような配慮はなされているが、「殺人」の動機も微妙だし、人物関係が不必要なまでに錯綜しすぎていて、読み終えた後でもすっきりしない。京極堂に言わせれば、こちらの頭が悪いからだろうが、これまでの京極作品には、こんな読後感は持たなかった。どんなに入り組んだ事件であっても、中禅寺の登場によって快刀乱麻を断つようにすっきりしたものだ。それに、これは評者個人の感想だが、読後、読んでいる者にも憑き物が落ちたような独特の清涼感があったものだが、今回の作品ではそれが感じられなかった。次回作では個性的なキャラクターが活躍することを期待したいものだ。

  • 相変わらず分厚いなあ。今回は毒をめぐる話。連続して起きた毒殺事件をいつものメンバーが追う。そして最後はいつもの通り京極堂が締める。これまでのシリーズと比べて少しスケールが小さいか。明確な動機を持った犯人がいないというのも入り込めない要因かも。閉塞感や幻惑感なんかが薄い感じだな。

  • 京極夏彦作品3つ目。

    これは、私としては「京極夏彦らしい作品」って言えないものだったなぁ~って思ったの。
    ストーリー的には面白かったんだけど、
    帝銀事件のことや731舞台のこととか興味をそそる話も出てきたし。。。
    でも、イマイチそこらへんの推理小説みたいなチープさが漂ってた気がしないでもない。。。

    なんか、こう奇妙さがもっと欲しかったなぁ~。って思うのよ。

    PCで検索してみると、やっぱり京極ファンには不評だったみたい。



    それでも一気に読んじゃったけどね。
    次に期待!

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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