邪魅の雫 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
3.48
  • (235)
  • (372)
  • (918)
  • (49)
  • (17)
本棚登録 : 3176
レビュー : 401
  • Amazon.co.jp ・本 (824ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061824386

作品紹介・あらすじ

「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「-自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」昭和二十八年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と。警察も手を拱く中、ついにあの男が登場する!「邪なことをすると-死ぬよ」。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 誰もが自分の見ているものは他人が見ているものと同じだと思い込む
    モノは壊れていくためだけに存在する
    不思議だと当たり前に言うのは、解釈の押し付けである

    本にも書いてありますが、「連続殺人」ならぬ「連鎖殺人」を取扱っています。凶器の伝達と供に、殺意が伝達しています。 

    現代の凶器は「情報」でしょうか。誰かが特殊な犯罪を犯せば、メディアを伝ってそれに触発された誰かが同じ犯罪を犯す。例えば、先日の複数の無差別殺人事件は、その一種ではないかと思います。

    小説の凶器とは違って、情報は無尽蔵に、そして残酷に広がります。現代の流れとして、小さな子供には危険な情報は見せないようにする働きかけがなされていますが、「その情報は危険だ」という判断基準を与えることの方が重要なのではないでしょうか。実体のない情報を覆い隠すことなど、不可能に近いのですから。
     
    21世紀は「情報の時代」。使い方を誤らないようにしなければなりません。

  • このシリーズが大好きです。
    なんつー読みにくい本だ!と思ってたのに、なんでこんなにハマってんだろ。

    個性的な登場人物たちが魅力的だったのが一番の要因だけれど、京極堂の謎解きには毎回はっとさせられる。
    まったく違う視点からの答えは、確かに世の中には不思議なことなど何もないんだと納得してしまう。

    とにもかくにも、早く新刊をお願いします!薔薇十字探偵ものも好物だけども、本編を!本編の続きを!

  • やっとこ読了。

    榎木津の縁談と、
    大磯やら平塚やらをまたにかけた連続毒殺事件が、
    絡んでしまう、お話でした。

    榎木津と京極堂が出てくるまでの、
    事件のあれこれは面倒でたまらなかったのですが、

    今回の見所は何と言っても、

    榎木津の過去!恋愛!ひゃっほい!

    あと、

    「この家に於て、榎木津に関することで発言が許されるのは、榎木津に対する愚痴を聞いてくれと云う頼みと、榎木津の悪口大会に参加してくれと云う誘いだけだぞ益田君」

    ってのたまう京極堂がかわいらしいなと思った、

    あたしの読み方は心底間違っていると思います。

    そして、そんな憎まれ口ばっかり叩き合う面々が、
    最終的には協力し合うというか、
    そういう、チーム的な絆っぽいものを見出して喜ぶっていう、

    もうシリーズの読み方自体を間違えている気がしないこともありませんが、
    このシリーズはずっと追っかけます。

  • 可もなく不可もなく。
    コストパフォーマンスはいいと思う。
    絡新婦の理以降はなんだか盛り下がっていってる気がする。
    つまらないわけじゃないけどそれまでがよすぎたのかな。

  •  山下さんかっこよくなったなあ、とか、関口先生今回よくしゃべったなあ、とか、色々あるんですが、とにかく百器徒然袋(雨)で赤ちゃんを可愛がる榎さんの可愛さに「YOUもう結婚して子作りしちゃいなYO」と思った結果がコレだよ!
     いつにも増してシンプルかつ真相がわかるまではややこしい事件。事態が進展するまでは正直ダレましたが、新たな犠牲者が出てからはスピーディーでした。陰摩羅鬼で真相がわかりやすかったのは、京極堂作品は基本シンプルな事件がいくつも起きて繋がったり重なったり撹乱し合ったりで謎めくのに対し、陰摩羅鬼は事件(出来事)自体は一つだったからじゃないかなあと今更思ったり。
     作中でも指摘された通り、構造自体は蜘蛛と似ているけれど、真相が明らかになったとき発覚するのは犯人の小ささ。まさに邪な雫。ちっぽけなものが人を狂わせてこの惨事。まさか百器徒然袋(雨)の最初の事件がコレの伏線というか前置きだったとは……とりあえず従兄弟殿に合掌。そんなつもりはなかったろうに切っ掛けになっちゃったんだもんなあ。
     生き残った彼女のこれからがどうなるのか、榎さんに伴侶はできるのか、関口先生は作家として成長するのか、タイミング的に次は再び木場さんメインかなあとか思いつつ、いつになるかわからないけど次巻を楽しみに待ってます。

  • シリーズで名物ともいえる妖怪についての薀蓄が今回は少なめ。そのせいか、憑き物落としによるカタルシスは若干弱い感じ。が、シリーズものの強みというか、残り数ページで決める人が決めればピシリと締まる。お見事。

  • なんとなく、ずっと心許ない感じ。
    登場人物が皆それぞれ少しずつ後ろめたくて、こちらの構造もぐらつく感じ。
    事件そのものも謎はないのに、すっきりしない、釈然としない。不協和音。
    益田くんも調子が出なくて、相対的になぜか関口くんがまともに見える。
    探偵も探偵として関わっていなく、京極堂も少ししか出てこないしなー。
    個人的本書の読みどころは、青木くんと郷嶋さんが対峙するところだと思います。

  • 恐らく初版以来の再読。
    さて…この胸のもだもだを解消してくれる本編の新刊が出てくれることを願ってやまないのですが。
    もだもだとは、関君と益田の地味な道行きと、郷嶋と青木に鼻血吹くわ、という点です。

  • 8月の最初に姑獲鳥を読んで、ついに邪魅の雫まで読了してしまった!
    どうしよう!楽しみがなくなってしまった!
    夏休みが終わったらいったい僕は何を読んだらいいんだ!!

    最近になって読書をはじめようと思い立ったのだけど、そのとき手に取ったのがこのシリーズで心からよかったと思う!

  • 今回は最後の種明かしにいたるまでがずいぶんとぼやけて
    いる印象だ。榎木津も京極堂もほとんど登場しない上に登場
    人物もやたらと多く、事件の核心からずいぶんと距離を
    置いて回りをぐるぐると回らされている感じ。いつにも
    増しての苦行である。だがそのすっきりしないピンぼけ感が
    クライマックスで一気に焦点を結び、向こう側からこちら側
    へと迫るように立ちあがってくるあたりはさすが京極という
    所。それなりに楽しめたのではないかな。ただ私にとって
    このシリーズの肝は京極堂の講釈であり妖怪談議なので、
    まったくもって物足りないのだが。京極堂のこれでもかと
    いうカタリと探偵のそこまでかという炸裂を楽しみにして
    いるので次はよろしくお願いします(笑)。

  • いやぁ、読んだなぁ、という実感がものすごいです。
    ずっしりと、読後感の気怠さが身を包んでいます。
    京極夏彦は、やっぱりすごいや。

    まず、展開の広げ方ですね。
    風呂敷の広げ方が見事。
    多くの視点を切り替えながら、どんどんと煙に巻いていく。
    この、目眩く、という表現がもっともしっくり来る表現。
    この手法が馴染む人にとって、京極氏の作風は、一種の麻薬に近い。
    読み進む程に茫洋として、呆然とさせられるのですよね。
    世界が霞み、茫洋とした世界に放り出された感覚。
    だからこそ、収束の瞬間にものすごい衝撃を感じられる。
    広げきった風呂敷を畳む時のスピード感。
    世界がとつぜん狭められたかのような、とんでも無い衝撃です。
    そしてその衝撃は、紛れもない快感なのです。

    本作は、その収束シーンが、ちょっと変わってたような感じでした。
    二段構え、とでも言いますかね。全く以て、正確な比喩ではないと思いますが。
    青木が際だってましたねー。
    榎木津が、今一ピリッとしてなかったのが、ちょっと不満足ではありますが(笑)。

    全くの余談なのですが、本作を読んで、一つ直感的に感じたこと。
    京極氏と、清涼院流水氏の作風って、実はそっくりなんじゃないかと。
    いや、巫山戯たことを抜かすでない、とか怒られてしまいそうですが。
    似てるのは本の厚さだけじゃないか、とか言われそうですが。
    いやいやどうして、手法そのものも、似てるような気がするのですよ。
    違いは二点。
    収束の鮮やかさと、そこで使われる手法の不偏さ、というか説得力。
    その二点が、京極氏が素晴らしく巧いという、それだけなのじゃないかなぁ、と。
    ま、清涼院氏のは、後味悪すぎ残尿感ありまくりで、あまり好きじゃないんですが(笑)。
    まあ、すごい小説だってのは認めるのですけれどねー。

    大きく脱線しましたが、本作も、相変わらずの傑作でした。
    ここまで、読書の満足感が味わえる作家さんというのも珍しいです。
    煙幕に包まれて、見渡す限り真っ白な風景から、一気に開ける感覚。
    これが、ミステリィの醍醐味なんだよなぁ、と思うわけです。はい。

  • 粗筋を全く覚えて無くて、再読。なんか散発的な事件だし、盛り上がりも無い。こりゃ、覚えてないわ〜。結果的に連続殺人事件だけど、偶然過ぎる。京極堂シリーズってだけ。

  • 榎さんの事件!もう誰が誰だか分からなくてシリーズの中では一番難しかった。
    でも関口くんが白樺湖事件のおかげで少し回復してるみたいで安心した(本気で心配だった)

  • 今回は榎木津も京極堂もかなり後の登場。そして傍若無人じゃない榎木津、人間味溢れる榎木津が見られます。ちょっと寂しいけど…。とにかく登場人物が多くて、関係がややこしく、理解するのが結構大変。あと、各章の冒頭を揃えてあるのがスゴイな、と。

  • 京極堂シリーズは最初の2作が衝撃的だった。それに比べると本作はだいぶ毛色が違う。ただ相変わらず饒舌で話は長く複雑で理解しがたい。

    榎木津がいつになく人間的で、ラストなどは今までの彼からは想像もできない。

    従来の京極堂を期待するとはぐらかされるかな。

  • 帝銀事件の話が出たあたりで、やっと京極堂登場てな~。
    序盤で“今井橋”とか“南行徳”とかの地名が出てきて
    びっくりしましたわー。

  •  あーもう、なんて嫌な人なんだ!という感想でした。
     再読なのでわかってはいたけど、それでもやっぱり嫌な人です!榎さんはなんであんな人と付き合っていたのか。茜さんと同じくらい嫌いです。
     私は関口くんのファンですが、それでもちょっと切ない気がしました。ある意味純粋な動機。ややこしい理由ではない。きっと私も理解できてしまう。そう思えるからこそ嫌いだと感じました。変な感想ですね。
     さて、嫌な気持ちは次に読もうと思っている「百器徒然袋 風」に吹き飛ばしてもらいます。

  • これでも11年前の作品になるのか。しばらく読んでなかったのだなぁ。

    とりあえず章の始まりが殺したのどうのの書き出しでうんざりしたこと。

    犯人が一人ではないこと、前の犯人を殺した次の犯人がその次の犯人に殺されるというのは読めた。

    女は結局一人なのも読めた。

    榎木津がいいとこどりしてずるいと思った。
    もっと主役かと思ったのにそうではなかったのが残念。

    やたら前の事件の話が出てくるので全部繋がってるのかと思ったし、読み直すのは面倒だとも思った。

    次の作品どうしようかなやみ中。

  • 事象が、発信・伝達者や受け手により変容していく。
    それにより、殺されるべきでない人々が殺される。

    加害者と被害者の関係・全体像をつかむのに大変だった。

  • 世界と世間と社会。
    いつもながら、語られる薀蓄には妙に説得力がある。
    妖怪が登場していないせいか、読み易かったのだが時代が現代のような感覚だった。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14392791.html

全401件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

京極夏彦の作品

邪魅の雫 (講談社ノベルス)を本棚に登録しているひと

ツイートする