凍りのくじら (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2296
レビュー : 431
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061824584

作品紹介・あらすじ

藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。残された病気の母と二人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く"少し不思議"な物語。

感想・レビュー・書評

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  • 頭がよくて芯が強い芦沢理帆子、こういう女性大好きです。頭がよいというのは勉強ができるという意味だけではなく、状況を理解して空気が読めるという様なところ。
    作中で里帆子が「覚めてるね」と言われるシーンがあって、普通だったら「冷めてる」って表現されそうな所を「覚めてる」。なるほど…って感じでした。

    物語の一章毎に付けられた小タイトルがドラえもんの道具。これがまた内容と上手くハマっていって良かったです。理帆子が、SFという言葉を「S:スコシ」「F:フシギ」という概念に置き換えて、それぞれの個性を「スコシ…ナントカ」って見ていく感性も面白かったです。

    今回で辻村さんの作品は5冊目。何か仕掛けられているんじゃないかと期待して身構えていたせいか、割と早い段階で気が付く箇所が多々あって予想どおりの結末でした。
    伏線に気付いて読んでいくのも楽しい読み方のひとつですが、やっぱり最後に種明かしされた方が感動の振り幅は大きいですよね。

    辻村作品、次回からは何も考えずに読みたいと思います。

  • やっぱり辻村深月さんの本は面白い!「ドラえもん」が好き過ぎるとこんな小説にもなるのですね♪ 幸か不幸か各章に出てくる道具のうち数個しか知らないけど知ってるつもりになってしまった 笑。主人公の理帆子がお得意だったスコシナントカ遊びも癖になりそう だと思いながら読了した少し不真面目(SF)なオジサンでした♪
    たまたま出先で某幼稚園のドラえもんバスに出逢いました!やっぱり 少し不思議(SF)な辻村深月さんの本です。

  • 自分の個性を「少し・不在」と定義する女の子のSF(少し不思議)なお話。
    冷たい校舎~に引き続き、このお話も少女の内面がしっかり掘り下げられてて、その成長もゆっくりと丁寧に描かれています。

    理帆子にも若尾にも自分の中に通じるところがあって、読みながら地味にダメージを受け続けましたヨ…。
    みんなと自分は違う、みんなの中にいてもどこか覚めた目でその中にいる自分を見ている。
    そういうとこ、ちょっとわかります。
    一生懸命に生きてる実感がする人が眩しくて、気後れしてしまう気持ちも。

    自分だけが頭が良い、人とは違う、理帆子はそう思って周りのみんな少し馬鹿にしているけど、それでも周りの人たちはみんなどうしようもないほど理帆子を愛している。
    写真集に添えられたお母さんの言葉に泣き、
    郁也が理帆子のために彼女が一番好きなドラえもんの曲を練習していたことに泣きました。
    理帆子がみんなのことを好きだったと認めたラストシーン、良かったねえ…。

    別所くんの正体は途中で何となく勘付いてはいたけど、写真撮ってるのが誰かわからない描写は読んでてちょっともどかしかったなあ…。それだけが難点か…。
    でも、彼がドラえもんの道具を真似して理帆子を救ってくれたラストはすごく好きです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「その成長もゆっくりと丁寧に描かれています」
      それが、とっても素敵ですね。
      「その成長もゆっくりと丁寧に描かれています」
      それが、とっても素敵ですね。
      2013/01/18
    • 柳。さん
      コメントありがとうございます!
      辻村さんは心理描写がものすごく丁寧なところが魅力ですよね(*´▽`)
      コメントありがとうございます!
      辻村さんは心理描写がものすごく丁寧なところが魅力ですよね(*´▽`)
      2013/01/22
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「心理描写がものすごく丁寧」
      そうですね、抑えられた色々な感情が、無理なく納得出来るのが素晴しいですね。。。
      「心理描写がものすごく丁寧」
      そうですね、抑えられた色々な感情が、無理なく納得出来るのが素晴しいですね。。。
      2013/01/28
  • 辻村深月『凍りのくじら』
    冷めた(覚めた)性格、誰とも上手く付き合える術、これってすごく特権。でもそれが仇になって誰にも心を開けないっていうのは分かります。なぜなら自分もそういう面があるから。

    この作品の個人的クライマックスは2場面。
    母から理帆子へのラブレターと、別所あきらの正体を理帆子が気付いた場面。
    いい作品です。

  • 「スロウハイツの神様」と、どちらを先に読んだらいいのか、意見が分かれる本。

    順番的には、この作品を先に読んだ方が、スロウハイツの神様をもっと楽しめたんじゃないかとは思います。

    スロウハイツでスーを救った写真家の話し。五十嵐くんと若尾を重ねながら読んでる人も多いと思う。

    ただ、前半を読むのが本当につらい作品でした。主人公は精神年齢が高く、周りを見下しながら生活を送っているのに、自分の考えを感情より優先させることができず、不快な描写が続きます。

    面白くなってくるのが250ページあたりからなので、そこまでに読むのをやめてしまう人も少なからずいると思われる作品です。

    なので、挫折のしにくさと言う点では、スロウハイツから入るのも一案かなと。

    ただ、最後まで読むと、読んでよかったと思う本。

    特に、ドラえもんをよく読んでいたミレニアル世代には嬉しい仕掛けがいくつかあり。

    別所あきらの好きな道具が「タイムマシン」って言うのも伏線になっているし、主人公が先取り約束機の説明を挟むのも、多分伏線になっている。全体的な話として、「のび太の大魔境」と重なるところも多いです。

    考えれば考えるほど、タイトルが素晴らしい。

    周りを流氷に固められて、身動きできなくなっていくクジラを、現代の人は助けることはできないんだけど、かつてそれを助けたいと思った写真家は、22世紀から道具を持ってきて、今度は助けることに成功します。

    あと、ドラえもんマニアだった僕も知らない道具が2つ出てきたけど、主人公が名前を思い出せない道具も2つ名前を覚えていたので、マニア度としては五分だったかな。

  • ああ・・・またやられた。
    辻村マジックだ・・・・。

    読み終えた瞬間の感想。
    そしてもう一つ心の奥から「ああ、良い話じゃないか。」と、
    しみじみ思った。

    良い話として一括りにしてしまって良いものかどうか、良い話としてまとめるには主人公理帆子のかかえた物はあまりに深いものではと思うかもしれないが、それでも理帆自身が
    「暗い海の底まで光を届けたい」
    と言っているだけ彼女は成長して乗り切ったと思う。

    多感な高二の時に母親を癌で今にも亡くしそうになりつつ、
    母親との距離も上手くとれずに父親も居ない毎日。
    少し・腐敗した元彼の存在と仲良くはしゃげる上辺だけのトモダチ。
    その全部の環境から、理帆を取り巻く世界のやるせなさが物語全体に漂っていて、そしてクライマックスへと繋がっていくのだけれど
    もう最後は堪えきれずにボロボロ泣いた。

    本当に父を愛していたのか疑う理帆。
    それでも親がどう恋愛をしてきたか細部まで知ることはないように、それはなかなか垣間見ることの出来ない物だと思う。
    でも母が死ぬ間際まで手がけた写真集。
    そこに並べられた赤裸々なラブレター。
    そして娘理帆への想い。

    これだけでも素敵な話になるところをさらに素敵な物語へとさせた郁也の存在。
    (これがまた名前探しの放課後に繋がるのだけれど・・・・)
    別所さんがそして最後の最後で理帆を救ってくれるシーン。
    テキオー灯を当て、その効力を説明し、その光を浴びた理帆はどう言うことなのか・・・それがじんわりと分かった瞬間鳥肌と涙がまた溢れた。

    一場面一場面が素敵に再生されるような、
    昔ね・・・・と、いつかおばあちゃんになった理帆子本人から夏の昼下がりに聞きたくなるお話。

  • 高一の夏に読んで、ラストの光に照らされるシーンで鳥肌がたった。
    母の手がけた写真集、父の帆の字に込められた思い。
    ドラえもんの道具や、SFの遊びがうまく機能して、見事としか言いようがない。

    少しふしぎで、すごくすてきな物語り。

  • 辻村深月作品の中で一番初めに出会い、一番好きな小説。
    少し不思議で最後は癒される。

  • カメラマンの娘とそれを取り巻く人間関係のお話

    理帆子の個性が少し自分と似ているところがあったから、興味引かれた。人を馬鹿にするところは違うけど、あまり自分の本性をさらけ出さないとことか、あまり他人に執着しないとことか・・・。
    若尾はちょっと怖かった。

    別所の本性にちょっとがっかりしたのと、ドラえもんの道具が出て来すぎなので、減点

    でも、著者の作品はまた読んでみたい

  • 図書館にて借りました。

    藤子・F先生が好きな女子高生のお話。
    「S・F」=少し不思議。

    私は何だろ?

    少し・ずぼら(笑)

    ドラえもんがいっぱい出てきて童心に還りました(^^)

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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