山ん中の獅見朋成雄

  • 講談社 (2005年12月1日発売)
3.23
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784061824676

みんなの感想まとめ

自己受容と他者との関わりをテーマにしたこの作品は、主人公が抱える独自の「爆弾」を通じて、成長と葛藤の物語を描いています。神話的な世界観は、単なる幻想にとどまらず、主人公の内面の変化を鮮やかに映し出して...

感想・レビュー・書評

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  • 鬣のある主人公がオリンピックスカウトを蹴って書道を極めようとしていると山の中にいる馬に導かれた先で師匠が殺されかけていて犯人探しをしていると謎の館にたどり着きそこで女体盛りでカニバリズムしたあとに人を殺したけど罰されず代わりに女体職人になりなんだかんだあって脱走して女の子といい感じになりハッピーエンド、というあらすじだけ書くといつもどおりのカオスな舞城に見えるが、同じ「カオス」でも『煙か土か食い物』から『九十九十九』までの間にあった強い求心力でどんどん先へ先へと進んでいくようなタイプのカオスではなく、むしろその逆の穏やかなカオスだった。 
    起承転結は一応あるのだが、それらが特に必然性によって繋がっていなくて、それは言い換えると一つのテーマによって作品全体が貫かれているわけではないということだ。作品全体がアイデンティティというテーマの周辺でゆるく繋がっている。この脱力した感じは、過去の舞城作品にない新境地だ。
    丁寧な作りの文芸作品のような読後感だが、その読後感を構成しているのは殺人だったりカニバリズムだったりと奇抜な素材なので、これらの素材でどうしてこの読後感にたどり着くんだ?となる、不思議な小説。でも悪くない。
    テーマがそこまでしっかりしていない、というのが言うなら逆説的本作のテーマだ。

  • ふつうにグロテスクで、擬音がたくさん。

  • この小説の世界観を、裏表紙の紹介文にもあるように「神話的世界」で括るのは容易いし、それも一つの要素ではあると思うのですが、それだけでは言い表せないものが多数内在している印象。
    途中まではなんか綺麗な話だなー舞城作品っぽくないなーと思っていたのに、中盤からいつものグロテスクな要素やら狂気やらが顔を出し始めて、終わってみれば前半の「綺麗な話」も舞城ワールドの一環だったのに気づきました。
    また、文体は例のごとく改行少なめなのですが、文章がつるつると麺類でも食べるかのように頭の中に入ってきて、その感覚がとても気持ち良い。
    色々な意味で面白い小説でした。

  • 鬣(たてがみ)を持つ中学生・獅見朋成雄が駆け抜ける、日本的な美と狂気の異世界。
    割れる頭蓋骨、横たわる裸体、カニバリズム……って不健康極まりないアレやコレやを、実に健康的に描き倒す手腕。これぞ最上の娯楽、と申し上げても過言ではありますまい。

    作中の生も死も暴力も全部「記号」だから、あっという間に色んな事が起こって終わってまた始まって、しかも何1つとして解決はしない。しないけど、主人公が抜群の適応能力で「はい次、はい次」ってバンバン流しちゃうから、読者としてもなし崩し的について行くしかない。
    そして、こんなに突拍子もない出来事ばっか起こるのに、主人公の中に在る唯一の問いは「僕ってなんなんだろう」的な、青臭いと云えば青臭すぎるアイデンティティの一大事。
    誰しも覚えのある問いに、どうにか答えらしきものを見出すラストシーンは、もう何となく納得せざるを得ません。まさに青春小説。

    この度、8年振り2度目の通読。
    初読時は完全においてきぼり食らってポカーンだったけど、その後も氏の著作を拝読する事で私の「舞城脳」が鍛えられたのか、実にスムーズに読み終えられた感じ。『ディスコ』上中下に比べればねえ。

    モヒ寛と西川様の問答が超かっこいい。

  • これまた不思議な話。
    登場人物の名前も変だ。

  • 効果音?擬音感がものすごい。
    主人公が自分に正直で(たまにドキッとさせてくれるが)気持ちよい

  • ただでさえ言葉にものすごいこだわりを持っている舞城王太郎だけど、この『山ん中の獅見朋成雄』は1番こだわっている作品だと思う。というのも、なんと漢字、ひらがな、「」、×など文字の種類ごとに使うフォントが変えられている。
    そしてもうひとつ、多様な擬音が使われているのも特徴。しゅりんこき しゅりんこきとか妙に癖になる。

    物語はというと、主人公は鬣(たてがみ)をもった少年・獅見朋成雄。モヒ寛の頭を割った犯人を追い成雄は木々のトンネルを抜けた向こうの世界に行ってしまう。トンネルの開けた先は、人間の肉を美しい女性の裸体の上に乗せて食べるという「ヒトボン」の宴会が繰り広げられる別世界だった。
    しかし、成雄はこの女体盛り+カニバリズムという最恐タッグに対して抵抗もせず、すんなりと馴染んでしまう。鬣を生やして足の速い成雄にとって、「人であって人でなく、人でなくて人である」というヒトボンは自分に近いものに感じられたんだろうか。

    異様な世界に馴染んでしまった成尾はヒトボンにも毎回出席し、ヒトボンの皿になる女性の肌の手入れをする「風呂番」の役目まで与えられる。江津子の風呂番をするところは谷崎潤一郎の「刺青」にも近いものを感じるくらい色気がある。

    ネットで『千と千尋の神隠し』と似ている、という意見が多くあって「なるほど~」と思った。確かに異世界に行くところとか、名字を無くすところとか、考えると共通点が結構ある。
    成雄も千尋も異世界に行って帰ってくるけど、元の世界に戻ってきたからって本人たちも元通りになったわけではない。でもその違いは、本人がわかってればいいんだと思う。

  • トンネルを抜けたら別世界という設定は「千と千尋の神隠し」のよう。鬣を持った人とは明らかに違う容姿の主人公が自分自身を受け入れ、他者と向き合う姿が走り抜けるように描かれている。

    特に結末、愛しい人を抱いて走り去るシーンは、彼自身が鬱屈とした一種のモラトリアムから脱却するようで爽快だった。


    舞城が青春群像劇を描くとこうなるって感じ。
    言葉のリズムとスピードに、ライドオン!

  • 舞城作品のいわゆるドライブ感を堪能できる作品。
    段落が少なく、フォント、レイアウトにも気を配り、圧倒的な物量ながらスピードとテンポで読ませる。
    整合性や理屈は全て置き去り、成雄の物分りの良さ、適応力の高さなど漫画的でありながら、無茶苦茶という作者の特徴満載。
    意味の有無、メッセージ性など文学性はなく、またキャラクターや事件、事象への感情移入度もエンターテインメント性という観点からは欠けていて、どちらの愛好者からも敬遠されるかもしれない。
    舞城作品はそれはそれとして、理解や感動という範疇を超えたところにある、と思い知らされる。
    文学賞とはそもそも無縁な作風。

    創作する側から見ると、圧倒的文字量と最後まで落ちないテンションはすごい能力だと思うが、到底真似できる気がしない。

  • 舞城にしては珍しくはっきりとしたメッセージのある本。アイデンティティ。嫌いではない。あと、擬音がすばらしい。何十年ぶりかで墨のにおいを思い出した。

  • 相変らずのまいじょー文体。
    他のまいじょー作品に比べれば、確かに目立たない。

    けれど、目立たないからといって駄作なわけでは決して無い。
    読めば分かる

  • 2006年2月18日読了

  • ぶっとんでてスカっとします。ストレス溜まった時に読むといいでしょう。

  • 擬音が面白かったです。表現にたまに ? ってなったけど、最終的にすっきりできました。
    ウサギの本名がわからないから、またそれも良かった。ってかウサギって煙灰食べ物の・・・?(まさか)

  • 受験が終わっていちばん最初に市営図書館で借りて読んだ本。鬣に「?」てきたけど面白かった。でもはじめとおわりは微妙・・・。(2007.3.14)

  • モヒ寛いいなぁ。モヒ寛。変人書道家と遂には人殺しの男の子なのに友情がとても健やかできれい。舞城せんせいのこういうところが好きだ。

  • 一番言いたい事は何なのか、がよくわからなかった。淡々と物語が進んで行き、淡々と終わった印象。ぶっとんではいましたが。

  • なんかよく分からないけど面白かったという感じが正直なところ。

  • もー訳が解りません!
    舞城さんは好きですが、つっ走りすぎてついていけない時もあり、この本では殆どでした

  • 前半までは中々楽しかったのだが、途中で飽きてきた。最後まで読む気を引っ張ってほしい。

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著者プロフィール

1973 年、福井県生まれ。2001 年『煙か土か食い物』で第 19 回メフィスト賞を受賞しデビュー。03 年『阿修羅ガール』で第 16 回三島由紀夫賞を受賞。16年『淵の王』で第 6 回 Twitter 文学賞で第 1 位に。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。

「2026年 『短歌探偵タツヤキノシタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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