- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061824942
感想・レビュー・書評
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『好き好き大好き超愛してる』は舞城王太郎の恋愛小説です。リンパ腫で亡くなった柿緒とその彼氏で小説家の治の回想恋愛小説となります。
相手に対してどんな表現をしたら、真に自分の気持ちを伝えることができるのか。それが相手が助かる見込みのない病に犯されてるときにはどうしたらよいのか。わざとらしかったり、真に自分の気持ちじゃなかったりしないだろうか。こういった表現をすると相手は受け入れてくれるかもしれないけど、相手が亡くなった後の周囲の人の気持ちを逆なでするのではないか?などなど、表現に対する苦労や考え方があますところなく表現されていると思います。
小説家を主人公にしたところも本作品の面白いところ。かならずしも著者の考えではないかもしれないけれど、その経験や思いは小説家の経験として取り込まれ、そのうえで表現された作品はやはり経験の上に立つ表現なのかなと思います。
そういった意味で、『好き好き大好き超愛してる』は絶対的に恋愛小説であり、舞城王太郎のスタンスも大いに現れているんだと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表題作はわりと感動させられてしまった
途中挿入された話はなんだったのか最後までわからずじまい
最後で回収されるのかと思ったが、単なるアンソロジー?
もう一つのほうはさらに意味不明&やばい
死に際の混濁をどうしたらこんな風に仕上げられるのか -
何だろ、気がついたら独特の世界感にどっぷりと入り込んでしまっていた。読めば読むほどクセになってしまいそうな世界。こんな作家さん初めてだな。
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頁四 引用
「祈りはそのまま、愛なのだ。祈りも願いも希望も、全てこれからについてこういうことが起こって欲しいとおもうことであって、つまり未来への自分の望みを言葉にすることであって、それは反省やら後悔やらとはそもそも視線の方向が違うわけだけど、でも僕はあえて過去のことについても祈る。もう既に起こってしまったことについても、こうなって欲しいと願う。希望を持つ。」 -
タイトル以上にストレートなベタ甘恋愛小説。
少しずるいなとも思うけど、嫌いにはなれない。
(でも、『ドリルホール~』はいらない) -
この必殺技みたいなタイトルにやられた…最初の舞城本としてはこれでいいのかな…印象は縛れそうな解放感かな…夢の修正の話は一番好き 後はね…確かに自分の波長と合わないかもね…
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愛とは祈りだ。
1行目かっこいい。 -
文庫化されてめちゃくちゃショックだった1冊。装丁変わりすぎだよ!なんだあの可愛さ求めたイラスト。何がLoveだよ違うだろ!!
タイトルはもちろんだったけど、紙の断面(?)が真っピンクに塗られていたのにときめいて手に取った本だったので、安っぽくされちゃったのが悲しかった。大好きな砂糖菓子の漫画と同じデザイン。可愛い。
下手な字で色鉛筆使って適当に盛り上げただけみたいな表紙がよかったのに。でも好きなのは装丁だけじゃない。
わけのわからない短編がわけのわからない終わり方でぶつ切り?細切れ?とにかく荒々しく詰め込まれているのに好きって気持ちが前面に出ていて圧倒される。おもしろい作品であらすじは覚えていたとしても登場人物の名前なんてすぐに忘れてしまう私ですが「あかなあああ」って叫びはいまだに覚えてる。あかなの話は異常でキュートで鳥肌が立ちました。いきなりペガサスってなにそれ。もう最高だろ。あとは皮膚の下で光る虫の話が切なくて気持ち悪い絶望でいい。美しいのに嫌悪感、どんどん蝕まれていくからこその美しさ…。解釈なんてしなくていいからひたすら浸りたい危ない世界観の本です。 -
表題作は文庫で読んでたのですがドリルホールインマイブレインが読みたくて購入。アドレナリン全開で読んでてとても楽しめるんだけど、よくわからない。とくに一番最後が。ラブではあると思うけど。また元気のあるときに読み返そうかな
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衝撃的な一冊。
高校二年生の時に読んでから、僕自身の博愛精神にとっての一つの太い柱となっている。
冒頭の言葉が胸に響く。
――愛は祈りだ。
舞城王太郎が去年末からウルトラジャンプで原作として連載しているバイオーグ・トリニティでも、この言葉は重要なキーフレーズとなっているようで、そちらも楽しい。 -
再読。こういう話だったのか!愛の物語だった…!
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わっかんないよ。
私の今の感受性じゃ
深すぎて読み取れない・・
個人的にはイヴとアダムで
戦う話が好きだった。
アニメ化できそう。 -
『好き好き大好き超愛してる。』
なんという破壊的なタイトルでしょう。
確実に『世界の中心で愛を叫ぶ』の読者層をさらおうとしていますが、油断しているととんでもないトコにさらわれます。
恋人が癌で死ぬという定番ともいえるモチーフをつかいながら、恋愛に関するあらゆる要素が描きつくされます。それは会話であったり格言であったり詩であったり物語であったりといろいろですが、あらゆる表現を駆使してあらゆる恋愛の可能性を描ききろうとする舞城さんの真摯な姿勢には涙以上の感動を覚えます。
これほどレビューが困難な作品に出会えたことを、心から感謝します。 -
【ドリルホール・イン・マイ・ブレイン】
『その女の子は肌が白くて短い黒髪が癖っ毛で、丸い目はまるでどっかの秘密の楽園に生る、世界を征服するための葡萄の実のようだった。世界をケーキみたいに切り分けそうなくらいに可愛い子だった。』
『僕たちはお互いにとって絶対に正しい相手なのに、どうしてこんなふうに不完全なんだろう?』
『世界って美味しいじゃん ー ほんのりマンゴーみたいな味がすんね』
『腎臓は二個あって、一個減っても大丈夫。』
『あかなの持つ、人より余計な長い角と、僕の持つ、人より足りない深い穴。余剰と欠損。あかなと僕は凸と凹だった。』
『世界が終わるなら終わっていい。俺が死ぬなら死んでもいい。でもその前に俺は俺のちょっとだけ確かめたいことを確かめてやる』
『僕のあかなに対する愛情はもう昔のような思いやりとか優しさを欠いてしまっていて、すでに愛情とは呼びにくいものに変わってしまっているのだ。』
『僕とあかながこれからどんどん親密になっていくことが僕には判っていた。それは世界に約束されていた出来事だった。』
『これは我々にとっても君にとっても全人類にとっても一発勝負の賭けなんだ。放っておいたら世界はあと数分で終わる。とりあえず賽を降ろう、村木君。どんな目が出るかは、どうせサイコロが停まったときに判る』
『敵に変化してしまったあかなに声を届けるにはこうするしかない。こうするしかないから、こうしたら届く。』 -
2012年4月13日再読。
「好き好き大好き超愛してる。」改めて読み返すとやっぱりちょっと青臭い主張が前に出過ぎかな、という感じもする。「セカチュー」とかが流行る中でこういう作品を敢えて書こうとしたっていうのは、いいと思うけど。
「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」
どんな作家でも短編で好きな作品は、と聞かれたら間違いなくこれは5本の指に入ると思います。傑作。
なんてエロティック! -
奇異。訳の分からない方向に行きすぎてしまった。
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タイトルの超明るい浮かれてる感じが好きで読んでみたら、
内容はちょっと意外なものだった。
芥川賞候補となった時に、石原慎太郎氏が「タイトルを見ただけでうんざりした」と評されたそうで、私と正反対な訳です。