死都日本 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061825611

作品紹介・あらすじ

20XX年、天孫降臨伝説で有名な宮崎県の霧島火山に噴火兆候が現れる。普通の火山活動と思われたそれは、やがて驚くべき霧島の正体をあばきはじめた。高まる緊張。募る不安。そして迎えたXデー…。多くの人々の災害観を圧倒的な筆力と、怒涛の論理展開で覆し、火山学者に激賛された第一級のクライシスノベル誕生!第26回メフィスト賞、宮沢賢治賞奨励賞、日本地質学会表彰受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ダイナミックなスケールで圧倒される、噴火発生前から後にかけての物語。舞台は鹿児島だけに留まらず、東日本、全世界へと発展していく。様々な視点から描かれた噴火影響に、神話の解釈もプラスされて、納得というか理解というか、ストーリーはスムーズに読める。

  • なかなか緊迫感があってよかった。地震や火山の説明が少し退屈であった

  • 火山噴火が起きた場合の混乱を描いたクライシスノベル。地学的に実際起こりうることらしいというのが恐ろしい。
    特に舞台となった宮崎など、火山周辺で生活している人や地学の知識がある人は興味深く読めそう。
    ただ超のつくほど文系な自分…。物語としては文の稚拙さやコレはないわーな設定、話し言葉が気になって入り込めず、読んでて辛かった。個人的には物語の形を取らず、筆者の想定をまとめた災害シミュレーション本として読みたかった。

    終盤何もかも失った後の日本の復興プランを描くシーンでやっと共感できた。このあたりが筆者が一番言いたかったことではないかなと思う。

  • 火山の大噴火を、巨大地震と大津波に置き換えれば、そのまま3.11の悲劇に繋がりそうなリアリティが迫ってくる。ただし、完全なる人災である原子力発電所から放射能がダダ漏れ、という描写はさすがに小説にはありません。

    和製災害パニックものとしては「日本沈没」が筆頭と思いますが、こちらもちゃんとエンタメしていながらも、科学検証など緻密な描写でグイグイ惹きつけてくる、一気読み出来る作品。
    科学シミュレーション、パニック、災害 というキーワードに興味を引かれたら、読む価値ありです♪
    賞も取ってるのに意外と知名度低いのはなぜだろう?

  • 日本で巨大噴火が起こったら…というif小説
    主人公が噴火現場から生還し大混乱の現場で再開する等
    出来すぎだっ!と思うところも多々ありましたが
    噴火の恐ろしさやどういったことが起こるのか
    またその際どのような行動や蓄えが有れば良いか等
    参考になる部分も多々有りました。

  • ブログにも書きました:
    http://zuruzuru-ikiru.blogspot.com/2011/11/blog-post.html

    クライシス部分はやや冗長。阿鼻叫喚の地獄絵図をもっと克明に筆圧込めて書けば楽しかったはず。
    ポリティカルフィクションの部分は途中までは良くできているけど、むりやり総理大臣の演説で良い方向に丸め込むラストはいかがなモノか。

    とはいえ、東日本大震災以降の日本をバックグラウンドにして読むと、民主党政権の成立、原発の大量建設の危険性、土建屋国家の危うさなどをきちんと指摘しているところが身にしみる。

  • 私たちはこんなにも恐ろしい国に住んでいるのか、と感じる一冊。
    数万年前に起きた、今の日本の地形を作った火山の破局的大噴火。
    そんな大規模な噴火が現代の日本に起これば、日本はどうなるのか。世界は、人間は、、、、

    その発生メカニズムや被害、混乱、影響・・・
    実際に起こるのではないか、また起こったことがあるのだろうかと感じるほど生き生きと、リアルに、精密に描かれている。

    地学に関する知識がなくてもわかりやすく解説されており、ぐいぐいと引き込まれ、読み進めていってしまう。
    並大抵のホラーよりよっぽど怖い!

  • 宮崎などを舞台とした作品です。

  • 怖いのは東海地震だけじゃなかったのね〜。エンタテーメントしてるし説得力ある内容でございます。

  • 火山の恐ろしさをまざまざと描いた、災害小説の傑作です。

    あらすじ
    宮崎県の霧島火山で噴火の兆候が認められる。
    防災工学の研究者にして「火山屋」の黒木は政府の要請を受けて、極秘の噴火対策チームに加わることになる。
    噴火への対策が進んでいく中、予測よりも早く噴火が始まってしまう。そしてそれは当初の想定をはるかに越える、日本を破滅に追いやる「破局的噴火」であった・・。


    怖い小説です。であるがゆえに面白い小説です。
    フィクションではあるのですが、火山学・地学的に裏付けされたその描写は、火山を多く抱えた日本人にとって、描写される以上の恐怖を感じさせてくれるでしょう。

    我々の知る噴火・溶岩の怖さの数倍上を行く脅威。
    特に火砕流が海を渡り対岸を蹂躙するシーンでは、心底ゾッとしました。溶岩といえば海に流れ込むシーンしか思い浮かばないのですが、そんな楽観を軽々と飛び越える火砕流の怖さ・・。
    淡々と描かれる、噴火が街を、人を飲み込んでいく様子がその怖さをさらに引き立てます。

    そんな状況でありながら、小説自体が暗く重い印象を与えないのは、登場人物がどこかコミカルで憎めないキャラであったり、首相が誠実で決断力に富む人物であったり(苦笑)と、小説的に誇張された部分ゆえでしょう。
    そのおかげでエンターテインメントとしても十分に楽しめる作品になっていると思います。

    「実在する恐怖の大王をご覧ください」との著者のコメントにふさわしい、「恐ろしく」て「面白い」傑作です。

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著者プロフィール

1954年、広島県生まれ。医師、小説家。阪神淡路大震災に遭遇したことを契機に執筆を開始。地変国日本のあり方を問うた処女作『死都日本』(第26回メフィスト賞受賞作)でデビューし、その科学的根拠に基づいた緻密な構成力と、圧倒的なスケール感で、読者に異例の反響を呼ぶ。他の著書に、『昼は雲の柱』『樹の上の忠臣蔵』(ともに講談社)がある。

「2010年 『震災列島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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