三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
3.27
  • (20)
  • (38)
  • (42)
  • (22)
  • (10)
本棚登録 : 312
感想 : 63
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061826687

作品紹介・あらすじ

「4月9日(金)午前0:20にお越しください。お目にかかれるときを楽しみにしております。黒鳥館主人」招待状を手に東亜学芸大生・西大寺俊は黒鳥館と名づけられた壮麗な洋館に赴く。招待客は全員無作為に選ばれたという。ウェルカムドリンクを主人から受け取った西大寺は、館内の完全な密室で怪死。呪われた館を舞台とした凄惨な連続殺人の火蓋が切って落とされる-。復讐のため建てられた館で繰り広げられる大惨劇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 完全なるバカミス。バカの合わせ技。バカの波状攻撃。

    「さあ、騙されてやるぞ」と意気込んで読んだが、全く予想外の角度から「やられた」 あまりに下らなすぎて笑ってしまった。

    双子の館『黒鳥館』と『白鳥館』
    雰囲気たっぷりの館もの。ネーミングもいいじゃないですか。
    最初から「犯人はこいつだ」とか「こういう類いのトリックではない」だとか細かく説明が加えられ、手の内を明かしていくのでイヤでも警戒してしまいます。
    警戒してたんですけどね。
    ある瞬間、自分の中の世界のイメージが崩壊し再構築されました。
    しかし、こういう崩壊のしかたってあるんですね。

    そしてベクトルを変えたバカの第二波、第三波、第四波。
    くだらない事に魂削って大丈夫か? と心配してしまいます。
    でも、これって泡坂妻夫先生の某作品に匹敵する凄さなのでは。

    バカ、バカと書いてしまいましたが伏線や構成は緻密なんですよね。なんか力の入れ方が間違ってるなぁ。そこが味なんですけど。
    個人的には『目的のためだけに館を造るって、どんだけ金使ってんだよ。こういうミステリにそこ突っ込んじゃダメか?』なんて思ってましたが、読了後に納得してしまったのが自分で可笑しかったです。

    結構力を入れて感想を書いてしまいました。案外好きなのかなぁコレ。いつの間にか気になるアイツって感じです。
    時間とお金とココロにゆとりがある時に読んでください。
    バカミスと知らずに読んで怒りだす人がいるかもしれませんから。

  • 「バカミス」初挑戦!!!
    「嘘やん!ありえんよ、これ笑」とは思ったが、面白かった!
    みんながみんな面白いと思わないと思うが、私は結構好きだった(*゚▽゚*)
    本という媒体を全力で遊びきっている感じ!!
    普通のミステリーに少し飽きている人、ちょっと頭を使うのに疲れちゃった人にオススメです笑
    声を出して笑っちゃったので、私はこの作者さんに負けちゃった感があります_(┐「ε:)_

  • '21年7月29日、読了。倉阪鬼一郎さんの作、初です。

    途中で中断してましたが…やっと読了しました。なんか変な文、だな…なんて思って、読むのが結構辛かったのですが…読み終わって、本を壁に叩きつけました!というのは嘘で…いやあ、笑った!他の方の感想で、「仕掛けはすぐに気づいた」というのがありましたが…僕は全然で、完全に騙されました!

    以下、ちょっとネタバレになっちゃうかも…未読の方、ご注意を。

    「なんか変な文章だな」と思って、嫌になって中断してましたが…「変」ではなく、「かなりアクロバティック」でした(ま、でも、変は変、ですけどね┐(´ー`)┌)。作者と編集者の、血の滲むような(?)努力の賜物、だっ たんですね!でも…「バカミス」のために、ここまでやります?アッハッハ!

    まあ、結果オーライで、結構楽しみました!

  • 馬鹿だなぁ(笑) もう「ロリン」とかめちゃくちゃ笑いました。さて、谷を隔てた二つの館「黒鳥館」と「白鳥館」で起きる密室殺人というのがほぼこの小説の全てだ。読んでもらえればわかるのだが序盤から妙な違和感が常にある文章になっている。胡散臭さは抜群でただ一見すると何がおかしいのか判らない。読み進めることで違和感の幾つかには察しがつくだろう。ヒントと伏線の量は過去類を見ないレベルの大量さなので嫌でも気付いてしまう。それでも最後には斜め上の無駄すぎる努力の浪費具合に笑い感心し嘆息してしまうだろう。まさにバカミスだ。

  • 黒鳥館と白鳥館で繰り広げられる連続密室殺人事件

    バカミスとして有名なのは知ってたけど
    ちょっと方向性が違ってた

    確かにトリックというかはバカミスではある
    蘇部健一「六枚のとんかつ」のような雰囲気かと思ってたんだが、それ以外の仕掛けは作者の狂気ですよねぇ

    去年末からこの手の本を何冊か読んでいるけど、これも結構難易度が高いなぁ
    随分前に出版されて、そこそこ売れているにもかかわらず文庫化されていないのを不思議に思ってたけど納得
    これは文庫化できないですねぇ

  • ブクログ通信の「驚きの読書体験が味わえるミステリ小説5選」に挙げられてて気になったので読みました。
    黒鳥館と白鳥館、2つの館で起こる連続殺人事件。
    そこまでするか!?ってくらい変質的に全ページに渡って仕掛けが張り巡らされてて、本全体が仕掛け絵本みたいで驚いた。そして、作中作に隠された本当の意味にはゾッとした。怪しい描写満載だったんだよなぁ、でも全然気づけなかった。これ書くの大変だっただろうなぁ。ただ、ネタ晴らしのターンが長すぎた。一部分だけであとは自分で読み返してねで十分だと思いました。
    作中、復讐の為だけに途方もなく大掛かりな館を建てた先例が北の方に、という部分、もしかして島田荘司の斜め屋敷かな?著者の他作品を読んだことがないので、違うかもですが。
    バカミスって自分で言ってるけど、嫌いじゃないです。むしろ好き。巻末の著作リストのバカミスシリーズ全部読みたい本リストに加えました笑
    ブクログさん面白い本を教えてくれて感謝です。

  • 途中でわかっちゃったのであ〜、こんなもんかと思った。予想は当たったのだが、さらにその上を二つも三つも行く伏線があった!これはとてつもない作品。

  • 初倉阪鬼一郎。紛れもないバカミスで、呆れながら大爆笑。バカすぎてもはやミステリという枠組みを超え、一ジャンルを形成してしまっているような。とにかく凄まじい狂気と才能を感じる。人を選ぶだろうが結構好きだったので、この作者はもっと読みたい。

  •  巻末の著訳書リストによると、この本は「バカミス」に当たるらしい。確かに館モノを揶揄するかのように似たような単語を並べたタイトルはやけに長いが、バカミス扱いは良いのだろうか。でも作者が載せているということは作者はそのつもりで書いたのだろうか。
     そう思って読み進めたのだが、確かにこれが「バカミス」という奴なのかもしれない。
     「黒鳥館」「白鳥館」という2つの館で行われる連続殺人事件。犯人は、深い谷を挟んだ2つの館の間を容易く行き来して次々と殺人を行っていく。
     というストーリーの小説を読まされる人物。という二段構えのストーリー。
     2つの館の殺人のトリックについては、館に関するとある事実がわかれば容易に解ける上、徐々にヒントがあからさまに、わかりやすくなっていく。この事実を知った時これがバカミスというものかと納得した。
     しかし、作中作である2つの館の謎が解けても、話は更に進んでいく。いくつもの「謎解き」により、小説全体の謎が顕になっていく。これは、小説媒体でないとできない話だと思った。作者の描写力、構成力には頭が下がる。

    似たようなタイトルであり、同じくバカミスとジャンル分けされている四神金赤館銀青館不可能殺人も読んでみたいと思った。

  • くだらない。くだらなすぎる。笑
    レビューの反応もこんな感じで、何をもってミステリーでぐだらなさいのかと楽しみにしてたけど、まさかの斜め上だった。
    どこに力を注いでいるのかと。
    読んでても細かすぎて、読み返そうとも思いませんでした。何となく把握するかたちで。トリックも想像力が乏しすぎてふーん、なるほど、まぁだいたい分かったわって感じで。
    でも、いつもと違ったかたちでどんでん返しを楽しみました。

    でも最後はよくわからなったなー。どういう解釈すればいいんだろ。

全63件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年、三重県生まれ。
早稲田大学在学中に幻想文学会に参加、分科会の幻想短歌会を主宰。
1987年、短篇集『地底の鰐、天上の蛇』(幻想文学会出版局)でささやかにデビュー。
1989年、第一歌集『日蝕の鷹、月蝕の蛇』(同上)を刊行。
平成とともに俳句に転向、「豈」同人。句集に『アンドロイド情歌』『悪魔の句集』『怪奇館』など。俳句関連書に『怖い俳句』『元気が出る俳句』『猫俳句パラダイス』などがある。
1998年より専業作家。ホラー、ミステリー、幻想小説など多彩な作品を発表。近年は時代小説の文庫書き下ろしを多く手がけ、オリジナル著書数は130冊を超える。
趣味はマラソン、トライアスロン、囲碁・将棋、油絵、鉄道など。

ホームページ「weird world 3 倉阪鬼一郎の怪しい世界」
http://krany.jugem.jp/

「2017年 『世界の終わり/始まり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉阪鬼一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×