新世界崩壊 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061827400

感想・レビュー・書評

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  • なにから感想を述べればいいのかわからない。
    バカミスとは、単なる予想外のトリックを生み出した功績ではなく、恐ろしいほど丹念に、そして努力の賜物だと示しているのか。
    紛れもなくミステリである。が、ミステリではない。読者への挑戦である。が、読者への挑戦ではない。意味不明だと思われるだろうが…なんというか、今迄出会ったミステリとはベクトルがちがうのだ。
    某作家の構図の逆転?いや
    「女性だと思ったら、電車だった」←この文なんかよりも破壊力が…もはや語りようがない。
    とんでもない作品に出会ってしまった笑

  • ニューヨークの一室でシンディは特殊な任務を遂行する。 ある時はイギリスとアメリカ、ある時はニューヨークからサンフランシスコと瞬時に移動して殺人を行う。 FBIに出張してきた上小野田警部はシンディに“理想の犯人”の匂いを感じ、彼女の住む坂の上の館で対決を挑むが・・・。 英米同時進行の二段プロットに刮目せよ!!

     上小野田警部シリーズの二作目。この作品の前のバカミスが三崎黒鳥館なので、バカミス作者としてもう限界突破していて本作も驚天動地のアイディアが光ります。 もうやりたい放題ですよ


     瞬間移動の真実が建物の一室というのは読めますが、舞台が高級ヘルス(中盤で警部自ら言ってた)で二段プロットの正体が二階と一階とまでは読めなかったなぁ。 曲者なのは主人公の上小野田警部がFBIに出張しているという“演劇”を読者は認知できないことで、こればかりは一作目で上小野田警部の性格を把握していないと厳しいか。 そして終盤、方眼紙の牢に囚われた警部は本来作中人物が認識できないはずのテキストトリックを目の当たりにし、警部自身が倉阪鬼一郎著「新世界崩壊」の“演劇的人物”で“小説の中の登場人物”ということが示唆されるのは圧巻の一言。 さらに終盤、前作では蔑ろにしていた犯人の動機の部分で上小野田警部最大の恥辱が明らかにされてしまうことには畏敬の一言。 これは三崎・五色沼と並んで倉阪鬼一郎氏の秀作ですね。

  • 古書店にて『不可能楽園〈蒼色館〉』と共に購入。初倉阪鬼一郎である。本来なら順番通りに読むべきなのだろうが、古本でなければ手にすら取っていなかったであろうことを考えると、これも一つの巡り合わせということで。何はともあれ、当初から感じていた登場人物に対する違和感が次第に明らかになり、同時に新世界の真の姿が暴露されるという内部構造は純然たるミステリ(外装がバカバカしいだけで)であり、帯にある「文庫化不能!」も頷ける偏執症的怪作。原稿用紙の件や、ネタばらしの箇所でページ数を指摘する等ややメタっぽい箇所もあり。

  • アホなことをすごい労力でしているなあ…そんな作品です。
    ただし、それは下品だけど賞賛します。

  • バカミスアワード受賞の名に恥じないバカミステリー!もちろん褒め言葉です。事件の解説数ページ前からまさかね・・・って思っていたら、本当にこんなくだらない真相だったなんて。畳み掛けるように迫り来る脱力感の後に残ったのはこんな小説をきっちり書き上げた作者への賛辞でした。

  • 渋谷に行くまでの電車の中が暇だったので久々に倉阪作品を読んでみることに。…しかし私の二大苦手要素が含まれていたため純粋な私は「これは読まなきゃよかった」と後悔、そして「もう倉阪作品は読まないぞ!」と決意しながら一応再読。気持ち悪さと倉阪ワールドが戦った結果、「うん、やっぱり面白いじゃないか」と倉阪ワールドが勝利!
    結局この先も倉阪鬼一郎作品を見かけたら手を出しちゃうんだろうな~と思ったのでした。
    ちなみにこれ裏表紙のあらすじが良いですね!何も知らないふりして「なんかこれ本格ものっぽいよ」とか言いながら貸してあげたくなっちゃいますね!

  • 膝かっくんをされ続けているような脱力感。ずっと我慢していたけど最後の最後の小ネタで爆笑してしまった。もうお家芸みたいなもんですね。

  • 美女・シンディはある組織に属し、ニューヨークを拠点として特殊な任務を遂行している。
    あるとき彼女は組織の命でターゲットである男をニューヨークの密室で殺害後、瞬時にロンドンに移動。
    またあるときはアメリカの東海岸から西海岸へ瞬間移動し殺人を繰り返す。
    彼女は何者?そして世界崩壊を企む謎の組織の実態とは?

    毎年恒例になった(?)倉阪さんのバカミス新刊。
    『四神金赤館銀青館不可能殺人』『三島黒鳥館白鳥館連続密室殺人』に続いて3冊目ともなればこちらも簡単には騙されないぞ、というわけで。
    館やレストラン、そしてバラバラ死体については薄々感づいたのですが。
    しかし、わかっていてもやっぱり真相には脱力・・・。

    いやぁ、この執念は賞賛に値しますね。
    ある章では上段がアメリカ、下段がイギリスで起きていることが同時進行で書かれています。
    間違いなくこの中に何かあるはずなのに、読みにくいことこの上ない。
    でもよくまぁ、こんなことを・・・。

    素晴らしき「バカ」です。笑いながら次回作を待ちたいと思います

  • 2010/09/26読了

  • バカミスシリーズ(?)。最初からそういう趣向だと分かっているので、とことん疑って読みました。変に作為に満ちた構成にも疑惑がたっぷり。「上がアメリカ、下がイギリス」。何かある。何かあるに決まってる!
    しかし……こんなバカな真相分かるかいっ!!!
    読み終えて撃沈。確実に世界は崩壊しました。これ、たしかに文庫化するのは不可能かもしれません。まさかあそこにあれが隠されていただなんて。誰に分かる?

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著者プロフィール

1960年、三重県生まれ。
早稲田大学在学中に幻想文学会に参加、分科会の幻想短歌会を主宰。
1987年、短篇集『地底の鰐、天上の蛇』(幻想文学会出版局)でささやかにデビュー。
1989年、第一歌集『日蝕の鷹、月蝕の蛇』(同上)を刊行。
平成とともに俳句に転向、「豈」同人。句集に『アンドロイド情歌』『悪魔の句集』『怪奇館』など。俳句関連書に『怖い俳句』『元気が出る俳句』『猫俳句パラダイス』などがある。
1998年より専業作家。ホラー、ミステリー、幻想小説など多彩な作品を発表。近年は時代小説の文庫書き下ろしを多く手がけ、オリジナル著書数は130冊を超える。
趣味はマラソン、トライアスロン、囲碁・将棋、油絵、鉄道など。

ホームページ「weird world 3 倉阪鬼一郎の怪しい世界」
http://krany.jugem.jp/

「2017年 『世界の終わり/始まり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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