生霊の如き重るもの (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 336
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061827899

作品紹介・あらすじ

刀城言耶は、大学の先輩・谷生龍之介から、幼い頃疎開していた本宅での出来事を聞かされる。訥々と語られたのは、『生霊』=『ドッペルゲンガー』の謎だった。怪異譚に目がない言耶は、その当時龍之介が見たものが何だったのか、解明を始めるのだが…(「生霊の如き重るもの」)。表題作ほか4編を収録した、刀城言耶シリーズ短編集最新作。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ短編集第二作。
    前回の短編集よりは読みやすく、内容も消失や密室で楽しめた。
    トリックも凝っていて、現実的かどうかは置いておいて読み物としては十分。

    最後の怪異オチも面白かったが、何よりも怖いのはクロ先輩こと阿武隈川烏の食べ物に対する執心。
    通りすがりの寮で学生たちの鍋に割って入り、何の面識もないのにまるで鍋の主催者かのように鍋を取り仕切り誰よりも食べてしまうとは恐ろしすぎる。

  • うーん、今回はあまり集中して読めなかった。
    物語の世界に入り込めなかったというか。。

    タイトルにもなってる「生霊の如き重なるもの」が1番面白かったかな?

  • 刀城言耶シリーズ短編。
    言耶がまだ大学生だった頃の話。戦後まもなくっていう設定だけど、言耶の喋り方や振る舞いが妙に現代っぽいので、その時代設定を忘れそうになる。
    短編だからやや物足りない部分もあったけど、言耶が打ち立てた仮説を自分で次々否定していき、一応合理的な解決はされるものの、最後に解明されない謎が残っとゾッとする…という流れは長編と同じく。
    それにしても阿武隈川烏の災害レベルが半端ない。

  • なんでこれのレビューを書いていなかったんだろう、、、と、そして今更書くのもつらいけれども。
    点数は79点

    あらすじもなし。
    刀城シリーズの短編集2作目。1作目の短編集が非常に微妙な出来でありましたが、まぁシリーズ好きなので購入、そして読了。
    全般的には悪くはないですが、三津田カラーが薄かったような気もします。
    数か月経って思い出せることと言えば、烏先輩うぜええええ(笑)ということぐらい。
    やはり刀城シリーズは長編に限る。そんで今年中に出ると言われていた長編新刊が出なかったのが少しだけ寂しい

  • 刀城言耶が大学生の時に遭った事件で統一された短編集。
    怪奇要素は控えめで、基本的に起きた事件は人間が犯人となり理論的に解決されるが、ほんの少しだけ解決されない怪奇現象が起こる、という塩梅。
    「顔無の如き攫うもの」が、犠牲者が子供であり、子供を隠すためにバラバラにしたというショッキングなトリックであったため印象に残った。

  • これだけ充実した内容の短編集を読んだ記憶が無い。

    作中、幾度となく主人公に向けて『君はそこまで…』と唸る人物が登場するが、それは取りも直さず作者自身の設定の細やかさに基づいており、推理に矛盾が見当たらない(舞台が昭和初期ということもあり、科捜研も無く沢口靖子がまだ活躍の場を与えられないのもあるけれど)。
    『微に入り細を穿つ』というのはこの事だと感じ入った。

    もう何作も読んだ作者だけれど、今改めて思う…
    この人凄い!

  • 若かりし刀城を取り巻く奇っ怪な事件の数々。ひよっこ探偵に謎は解けるのか!?
    出版順にすると、シリーズ7作目にあたる短編集です。これでもかと言わんばかりの
    超長編が当たり前のシリーズですが、軽やかな(?)短編もそれなりにいいですね。
    ホラーとミステリーの融合が特徴ですが、結構ミステリー寄りな印象があります。

  • 三津田信三第二弾。
    前回レビューした「厭魅の如き憑くもの」と同じ、刀城言耶を主人公にした短編集。
    殺人現場の足跡の謎をめぐる作品2編、天魔と呼ばれる屋敷神の作品1編、ドッペルゲンガー作品1編、顔無と呼ばれる白い布を顔に垂らした子供をめぐる作品1編。
    全ての話において「怪奇現象に一応は合理的な解釈ができるが最後の最後に覆される」という流れなのは厭魅~と同じ。
    最初の2作品ほどは「またこのパターンかよ」となるものの、読み終わると不思議な満足感がある。
    個人的には天魔と顔無の話が好き。
    最初の話は間取りが複雑すぎて詰んだ。

  • 短編

  • こんなに魅力的な密室を、短編で大放出しちゃっていいんですか三津田先生〜?!と、嬉しい悲鳴を上げずにはいられない、密室のオンパレードです( ^ω^ )うほっ

    しかも、その全てが「施錠された室内」にあらず、「第三者(時には探偵自身!)の視線によって生み出された閉鎖空間」だったり、「処女雪が作り出した密室状態の現場」だったりするのです!ひゃー大盤振る舞い!!

    相変わらずの三津田ホラーも、しっかり健在です( ^ω^ )
    同じく中短編を収録した【密室】では、何と無くホラーは抑え目かな〜という印象を終始持ったのですが、今作に関してはそれぞれの話のオチでしっかりゾッとさせてくれました( ^ω^ )

    刀城さんの若かりし頃のお話ということで、いちいち名探偵のお父様の威光に突っかかったり、阿武隈川烏ことクロさんの傍若無人な振る舞いに長編以上に翻弄される、青二才(笑)な刀城言耶が楽しめます*\(^o^)/*若いわー


    ◎死霊の如き歩くもの…雪と目撃者の証言が作り出した奇妙な密室。刀城が犯行の直前に一人でに歩く下駄を目撃した現象に関連性はあるのか?

    ◎天魔の如き跳ぶもの…子供の失踪が続く名家で、またしても同様の事件が発生する。偶然その場に居合わせた刀城は、失踪した子供の母親の依頼を受けて捜索に乗り出すが…。

    ◎死蠟の如き滴るもの…即身成仏した新興宗教の教祖が、かつて彼を崇めた側近達のもとを訪れ、急死する事件が相次いだ。更に、刀城が訪れた亡き教祖の屋敷で、雪の密室下で死体が発見されるが、その前夜、屋敷に暮らす少年が庭にミイラのような立ち姿を目撃していた…。

    ◎生霊の如き重るもの…由緒ある谷生家の跡継ぎには死の前兆として生霊が現れるーーその言葉通り、次期跡継ぎだった長男が死んだ。代わって跡継ぎとなった次男が戦争から戻ってきたが、「自分こそ本物の次男だ」と名乗り出る男が現れ…。

    ◎顔無の如き攫うもの…「泥棒を見付けた」ーーそう言って大道芸人達の集まる空き地に調査に行った少年は、それきり戻ってくることは無かった。彼の友人が空き地の出入り口を見張っていたにも関わらず、そこから出てきたのは数組の芸人達のみ。少年は、どこへ消えたのか?

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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