空想探偵と密室メイカー (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 137
感想 : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061827936

感想・レビュー・書評

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  • 空想の中で名探偵と語る「瑠雫」と、なぜかそれが見える勇真の二人が主人公格で、加えて女子の父親の3人が話を引っ張っていく。
    まず設定が謎解きに全く関係ない、というのに安心した。
    大体こういう設定だと、空想探偵が快刀乱麻の名推理で難事件を解決!ということになりそうなもんだけどさにあらず。
    空想探偵は、空想だけあって瑠雫の能力以上のことはできず、どちらかというとブレインストーミングの相手、という配置なんだろうな。
    実際の謎解きは、この3人が集まったり分かれたりしながら進むので安心して読んでいられる。

    トリック自体は、物語の中で説明されているとはいえ若干物足りなさを感じざるを得ないし、連続殺人の動機も??という感じなので、正直謎解きパートに入ってからはがっかりしていたんだけど……。
    そこから延々50ページにわたる最後の場面は圧巻だった。
    現代では、密室はHow?よりWhy?のほうが大事とはいえ、そろそろWhy?も意外性のあるものは出尽くした感がある中で、これはびっくりした。
    そして同時に、ここまでの物語をよんでいると納得も出来る。
    犯人、動機、死ななければならない理由、それぞれががっちり結びついている。
    何をどう語ってもネタバレになるけど、これは傑作だと思う。

    もう一つ。
    主人公たちの設定とこれまでの行動すら、最後には(物語内の論理ではあるけど)真相が明かされていくというのも衝撃。
    最後まで、どっぷり漬かって楽しむことが出来た。

  • 途中から過去話あたりまでは面白かったんですが。
    初期は視点がころころ変わって、ノミがびよんびよん跳んでいるところを想像した(なんかそんな場面転換だった)
    終盤は、なんかどこかで見たような話だなあと。
    中盤、事件が起きたり推理合戦やってるときは面白かった。
    あれか、主人公組の過去話がどうでもいいのか。
    ああ、多分それだ。

    話の設定は面白いと思います。
    空想探偵のくだりとか、書評とか。
    ポアロのクリスマス、読みたくなりました。

    まあどうでもいいんですけど。
    ミステリの登場人物に「ミステリを馬鹿にして歯牙にもかけない人物」が登場すると、なんかしょっぱい気分になりますね。

  • 主人公の設定についていけなくて序盤で読むのを断念

  • ミステリは、私にとって難関なんやった(笑)。

    嫌いではないし、この本も楽しんで読みはしたけれど、なんちゅうか、着眼点が明らかにズレてるよな、と、思ってしまう(私の)。
    こだわるとこ、そこ!?
    みたいな。

    それは、密室トリックのこだわりがズレてるとかではなしに、話を読むときに
    「え? これはどういうこと?」
    と、ひっかかるところがズレてるというか。

    メインはあくまで「謎解き」やねんから、それ以外の枝葉(?)は
    「ふんふん、そういうもんか」
    って流さないとあかんよね。

    たとえるなら、

    「大学のサークルで雪山のロッジに宿泊とか、するか!?」

    とか、そこにこだわったらあかんみたいな。

    (べつにこの本が雪山ロッジ大学生サークル密室やったわけではないけども)

    そこは、流そう。設定設定。

    なんやろね。ファンタジックなトンデモ設定はわりと流せるのに、
    「本格ミステリ」
    と、うたわれるとどこもかしこもひっかかりたくなってしまうという。

    基本的に私は、本格ミステリ脳じゃないんやろね(笑)。
    でも、楽しく読みましたよ!

    久しぶりに密室もののミステリを読んだわ。
    しかも講談社ノベルスやで。久しぶりやわ~!!

    上記の理由で、途中までは読みながら
    「大丈夫かな」(私が)
    と、思っていたけれど、後半の謎解き部分はサクサク読みました。

    忘れてたけど、謎解きものって筋は単純なんよね。
    大筋は、誰かが密室で殺されてしまって、さあ犯人は誰だ、ってだけやもんね。
    というか、そのトリックがしっかりしてさえいれば、猫が謎を解こうが、頭脳は大人で見た目は小学生の人が謎を解こうが、なんでもいいんやもんね。

    で、この本は空想で謎を解くらしい。
    その設定は
    「面白そう」
    と、思ったけれど、ちょっと想像の内容とは違うかったなあ。ちょっと面倒臭い方向>の(笑)空想でした。

    そもそも瑠雫と勇真にあんな因縁をつけるなら、もっとこの二人の関係を掘り下げてもよさそうやけど・・・。
    ただの腐れ縁の先輩後輩でよかったのでは・・・。
    だって密室トリックよりも瑠雫と勇真の関係のほうがよほど奥が深いよ(笑)。この因縁だけで本が一冊いけるやろ。

    そして密室トリックと日下部夫婦の心境をクローズアップするのなら、瑠雫と勇真の過去はべつにいらんかもなー、と、思った。

    もう少し登場人物を減らしてくれてもいいのかも・・・。
    犯人は、ミステリが得意でない私ですら
    「○○やな」
    って最初から予想がついてるパターンなので、
    「実は△△が犯人でしたジャジャーン!!」
    ちゅうような、驚きは別に求めてなかったよ?

    でも、どんでん返しに次ぐどんでん返し(?)でした。
    「あれぇ、コロンボシリーズみたいに、犯人は最初にわかってるってことじゃなかったの?」
    と、一瞬思った。
    いいにくいけど・・・、著者って、わりと・・・ヒネクレてるよね・・・(笑)。

    あと、瑠雫は途中まで「ルカ」と、読んでいました。
    名前にも(トリック上の)意味合いがあるのに、読み方間違えてたらあかんやろ私。

    (2015.11.27)

  • 主人公の設定と、密室と言うタイトルに惹かれて買ってしまった本。てゆーかそれタイトルそのままなのですねもしかして。

    自分の知識の範囲内での妄想探偵なので、何と言うかちょっと自分が知ってる完全無欠の名探偵が登場する分けではないのですよね。それはそうだ。

    なので、結構序盤にもうそっちは諦めて読んでたのです。
    密室に関しては成程、と。

    面白かったのは、二人の関係。
    それと親子の関係。

    ただちょっとお父さんのキャラと言うか、が、ちょっとモニョモニョ……。
    いえいえいえいえ。キャラで言えば、主人公だって十分に怪しいのですが、こう、アンチミステリな分かりやすいお父さんで、しかも敬語で会話する親子とか。上流階級家庭とかでもなさそうだけども。

    主要3人の設定だけ何だかラノベみたいだ……と思ったら腑に落ちてしまったのでした。

  • 「密室」にこだわったミステリ。
    終盤の目まぐるしい展開はお見事!
    クリスティ、カーの作品と、その登場人物がチョコチョコ登場するのは面白い。
    ただ、「空想探偵」という設定があまり活かされていない気がする。

  • こんな綿密な配線に脱帽しなければならないね、ドンデン連山みたいな展開に身を任せばいい。

  • 名探偵を空想してリアルに会話するミステリマニアの女子大生と、その空想が知覚できてしまう友人が探偵役というのが面白い。知人の死体の第一発見者となった二人は事件を解明しようとするが…
    密室に頸動脈を切断された死体、自殺の動機はなく凶器も見当たらないが、密室であるため自殺か他殺かも不明という状況や、二転三転する展開、終盤に明らかになる真相はいかにも新本格ミステリという感じで面白かった。
    しかし空想で探偵を出現させてしまうといっても、あくまでも推理するのは本人なので快刀乱麻を断つというわけにはいかない。せっかく面白い設定なのに謎の解明にはあまり生かされていなかったのが残念。

  • 09/01/2014 読了。

    図書館から。

    瑠雫と勇真君の関係性が好みでした。
    探偵は雨崎…瑠雫父でしたが。
    本田さんもなかなかいい奴ですね。

    日下部さんが犯人なのは分かっちゃいるんですが、
    (叙述式って著者の言葉もありますし。)
    勇真君が犯人の寸劇でちょっとマジか!と
    吃驚しました。

    ああいうオチ方も好きです。
    続きは…出てないみたいなので残念なのですが。

  • キョウカンカクは面白かったけどこれは面白さを感じなかった。キャラも魅力的じゃなかった。空想を共有できる設定は面白そうだったんだけど・・・。ポアロとかが好きな人なら楽しめるのかな?

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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