汎虚学研究会 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 97
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828476

作品紹介・あらすじ

聖ミレイユ学園で相次ぐ惨劇-ウォーレン神父は校庭で落雷に遭い焼死し、ベルイマン神父は密室と化した温室で、自然発火としか思えない焼死体で発見された。理解不能な怪事件に挑むのは「汎虚学研究会」の部員たち。だが部長だけは度々見る「狂った赤い馬」の悪夢に悩まされ、推理どころではなく…。少し浮世離れした少年少女たちが解き明かす凶々しき真相とは?

感想・レビュー・書評

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  • 再読。聖ミレイユ学園で起こる怪事件を「汎虚学研究会」という名称のクラブ員たちが解き明かしたり議論したりする話が五篇収録されている。といってもその五篇とも全部話のテイストが違うので色んな味が楽しめるのが良い。最初の「闇のなかの赤い馬」は講談社ミステリーランドとして個別に刊行されていたものでミステリ色が強いのもこれかな。好みなのは日常の謎といった趣を持つ「世界征服同好会」。

  • 全寮制のミッション系高校を舞台とした一風変わった青春ミステリの短篇集。汎虚学研究会という、奇妙な面々を中心に巻き起こる事件の数々はミステリ、ホラー、青春小説と幅広く、単なる事件の謎だけではない、物語としての謎が多分に含まれている。一見まばらで統一感が無さそうにも思うが、逆にこのごった煮感は他に類を見ない。短篇一つ一つのキレも抜群によく、型にはまらない独特の読後感と余韻は魅力的。

  • 『闇の中の赤い馬』の汎虚学研究会。

  • 『涙香迷宮』(講談社)のような蘊蓄がずらずら登場するミステリーを期待して手に取ったのですが、また違ったテイストの作品でした。

    ミッション系の学園を舞台に、周囲からは変わり者集団と思われている汎虚学研究会の4人のまわりで起こった出来事が語られます。
    知識豊富、口も達者で持論を滔々と披露する中学生···本当にいたらとても敵わないなと思いつつ、彼らが次はどんなことを言い出すのか、見逃したくない魅力がありました。

    個人的には「世界征服同好会」が好きでした。
    部室で見つけた文章に魅了された少女が、それを書き残した謎の卒業生を追うというストーリー。
    迎えた結末が意外で、男勝りな彼女のその後の表情や行動を想像するのが楽しかったです。
    彼女なら何かをやってくれそうな気がして、最後のページから先の物語も見てみたくなりました。

  • 後半に行くほどわけがわからなくなっていく本でした。
    中二病の解説書っぽいなーなどと思ってみたり。

    自分、カトリック系の学校通ってましたが、さすがに授業のはじめの挨拶で十字を切ることはなかったなー。
    そういう学校もあるのかなー。
    あと、こういう学生もの読んでて時々不思議になるのが、そんな、学園のアイドルみたいな生き物見たことないんだよなー。

  • マサムネとタジオみたいなキャラクターの語りに翻弄されるのはなかなかに楽しい感覚だったが、「闇のなかの赤い馬」以降はミステリとしては楽しめなかった

  • (収録作品)闇のなかの赤い馬/開かずのドア/世界征服同好会/ずぶ濡れの月光の下/個体発生は系統発生を繰り返す

  • (レビューがあんまりだったので書き直し)
    「闇の中の赤い馬」ミステリーランドで発表された作品。タイトルは埴谷雄高の『闇の中の黒い馬』から取ってるんだろうと思う(そちらは未読)。収録作品の中では、これが一番ミステリ要素が強い(というより、他のはほとんどミステリじゃない)。
    トリックに関しては、うーんこれ可能なの?なかなかうまく行くとは思えないんだけど…。

    他の作品に関しては、ホラーだったり、幻想小説だったり、そこはかとなくBLの薫りが漂っていたりと、舞台は共通してるけど作品のテイストはかなりバラバラ。
    全体の印象としては、文章があまりうまくないなあという感じ。いまいち恐怖感というか、おどろおどろしさが伝わって来なかったなあ。折角ミッションスクールを舞台にしているのに、それも十分には活かせてない感じもしたし…。
    期待していた分ちょっと肩すかしだったかな。『匣の中の失楽』も読まないと。

  •  4本の短編と1本の中編が収められている。ミステリやサスペンス、ホラーの要素がメインであるけれどそのジャンルかと問われれば回答に困る独特な雰囲気が漂っている。加えて退廃的・耽美的な要素も顔をのぞかせており、かなり好みがわかれるような内容だと思う。個人的には可もなく不可もなしといった感じであるが、『世界征服同好会』は結末も含めてかなり面白かった。

  • 汎虚学研究会のメンバーが学園内で起こるミステリを解決する。
    最初の中編が一番ミステリらしい。疑問に思う点は沢山あるがメンバー紹介も兼ねている感じで無理無くオチが出来ていた。他の作品も作者らしい作品だった。
    続編がありそうな感じ.

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著者プロフィール

竹本健治:
一九五四年兵庫県生れ。佐賀県在住。中井英夫の推薦を受け、大学在学中に『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」上で連載。デビュー作となった同書は三大奇書になぞらえ「第四の奇書」と呼ばれた。
ミステリ・SF・ホラーと作風は幅広く、代表作には『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』の「ゲーム三部作」をはじめとする天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役としたシリーズや、自身を含む実在の作家たちが登場するメタ小説「ウロボロス」シリーズなどがある。近著に大作『闇に用いる力学』。

「2022年 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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