闇の喇叭 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 137
感想 : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828674

作品紹介・あらすじ

戦後、日本は南北に分断され、北海道は独立国家となった。-平世21年。私的探偵行為を禁止する法律が成立した現代。少女・空閑純は、かつて名探偵として名を馳せた両親に育てられたが、母親はある事件を追う最中に行方不明となっていた。母の故郷に父とともに移住し、母の帰りを待つ純だったが、身元不明の他殺死体が発見され、父子は事件に巻き込まれる!有栖川有栖が探偵の存在意義を問う、待望の新シリーズ開幕。

感想・レビュー・書評

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  • ソラに宛てた、最後のガンジスのメールが切なくて泣ける。

  •  もう一つの日本での物語。並行世界。世界観がこういう系統だとは思ってなかったけど、踏まえた上でなら十二分に面白い。なんていうか、有栖川を読んだ! という気分になる。
     第二次世界大戦の結末が若干今と異なっていて、日本のありようが異なっていて、という世界にある、探偵行為を禁じられている日本でのお話。今回は関西弁出てこないのか、と思ったら、主人公のお父さんが関西人で安心しました。
     本格ミステリというよりも冒険活劇的な意味合いのミステリー色が強いのかなと。使われていたトリックはそれなりに面白かったけど。正直中央警察が来ている状況でそんな「探偵行為」をすれば、お父さんを捕まえてくれ、って言ってるようなもんだよね。お父さんがどこまで理解して行動したかはわからないけど、帰りの車の中では確実に気が付いてたねぇ。
     お父さんが過去探偵をしていたときに名乗っていた名前が<調律師>だったらお母さんはなんだったんだろうなぁ。音楽関係かなとは思う。
     ラストは青春劇が混ざりつつ切ない感じで終わってこれぞ有栖川、と。解決されていない物語全体の謎もあるので、シリーズものとして追いかけることにします。
     が、一冊目をノベルスで読んじゃったので、二冊目以降どうしようね。すぐ読みたいから単行本で買うかな。

     抜粋。お父さんについて、娘である主人公、ソラちゃんの見解。

    またよく見れば、ハンサムの手前ぐらいまでたどり着いてもいた。そこで力尽き、ばったり倒れているが。

  • 面白かった。最後少し泣けた。
    続きが気になるので、「真夜中の探偵」もすぐ読みたくなる。
    要所要所に過去の戦争や、他の国であったことなど歴史の話がでてくるので、歴史の本も読みたくなります。

  • 探偵行為が禁止された日本。
    元探偵の両親を持つ主人公が殺人事件をコッソリ調査する。
    有栖川さんって青春書くの上手いよなぁ。

  • 大東亜戦争後、日本は南北に分断され、北海道は<日ノ本共和国>として独立。日本国内では北のスパイが暗躍し、政府は警戒を強めていた。
    ――そして平世21年。私的探偵行為を禁止する法律が成立し、探偵狩りが行われている現代。少女・空閑純(そらしずじゅん)は、かつて名探偵として名を馳せた両親に育てられたが、母親はある事件を追う最中に行方不明となっていた……。母の出身地である奧多岐野(おくたきの)に父とともに移住し、帰りを待っていた純だったが、そこで発見された身元不明の他殺死体が、父子の日常を破壊する! 存在意義を否定された探偵に謎が牙を剥くとき、新たな物語が動き出す!!

  • これが最初だったのか。。。

  • 太平洋戦争の終戦が少しのびた並行世界のお話。ソ連が北海道に侵攻し、日本は南北に分断された。外来語が制限されて、探偵行為は警察類似行為として処罰の対象となった社会。
    かつて名探偵として活躍した両親だが、母は失踪し、残された父と娘は母の帰りを待つ。

    戦争がもしあと1ヶ月のびていたら。そんな社会を書いています。
    探偵行為が禁止されている他に、2年の徴兵制があったり、方言が禁止されていたり、管理された社会です。
    うすら寒い気持ちになる社会だけど、現実の社会もだんだんと管理された、主流から外れるのが許されない社会になってきてるようで、お話だけとは思えない怖さを感じました。

    新シリーズらしいので、続きも読みたいです。

  • <終戦直前からの歴史をちょっと変えて「北海道が独立したうえ日本は法的に私的探偵行為を禁止している」という並行世界で…>てなあらすじにホイホイされて借りてきた。うーん…私がかつて超田舎の高校生であったころなら楽しめただろうなという感じ。ご都合主義的トリックだけでなく、せっかくのかなり気になる並行世界もこれではちょっと…。それこそ、世界の全てが不満に思える田舎の高校生の頭の中だ。高校生の頃ならわくわくしただろうけどティーン向けすぎてさすがに物足りない。

  • 何気に初・アリスガワ。
    うーん、あれえ?
    思ってたのとだいぶ違う。ミステリというよりは青春小説という感じ。ここまででヒント全部です!ハイ読者への挑戦状!っつーのを期待していたので、随分と肩すかし。それは学生・作家アリスシリーズでないとダメだったか…。
    探偵行為が禁止とか、なんだか最近そういう設定の、探偵行為が過剰に取り上げられてる作品を良く読むんだけど(探偵が国家資格だとか、探偵養成学園やら…)、やっぱそういう設定ってちょっと苦手だ。なんとなく背筋が痒くなる。
    主人公三人の空気感とかはすごく良かったけどね。
    トリックもかなり大掛かりだったので北山氏よろしく図面とかあれば分かりやすかったのになー。
    続編も読むけど、やはりアリスシリーズに取り組まねばだ。

  • 先に『真夜中の探偵』を読んでしまっていたので、遡って読んでみました。
    歴史が少しだけ違って、北海道が独立国家として日本と敵対していて、日本は中央政権による国民の抑圧と、探偵行為の禁止が行われている社会。
    探偵の父母を持つ高校生「ソラ」の物語。

    『真夜中〜』も、ちょっと不思議な感覚をもつ作品でしたが、この作品は更にそんな感じ。
    世界観の説明がすごく長くて説明くさい感じがする…
    そして、ミステリーというよりは、殺人事件をきっかけに現れる、自分自身やまわりの友人との関係や思いに向き合う作品のような印象で進んでいた(と私は思っていた)ので、突然の謎解きと奇想天外なトリックに、正直置いてかれてしまった感じでした。

    作家/学生アリスシリーズやその他作品を好きで読むと、ちょっと違って違和感を感じるかも。

    とはいえ、第三作も読んじゃうんだろうなぁ(笑)

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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