- Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061828865
作品紹介・あらすじ
宇宙叙事詩の金字塔「タイタニア」の1巻から3巻を1冊に。4巻「烈風篇」刊行前にご一読を。――宇宙はタイタニアとともにあり。
感想・レビュー・書評
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田中芳樹『タイタニア』はスペースオペラである。人類が宇宙に進出した時代、宇宙の覇権はヴァルダナ帝国の無地藩王タイタニア一族が握っていた。タイタニア一族はヴァルダナ帝国の臣下でありながら皇帝をしのぐ権勢を誇っていた。そのタイタニア支配の動揺を描く。漫画やアニメにもなった。
タイタニアは都市国家エウリヤ市が開発した新技術を欲し、大艦隊をもってその本星に侵攻した。エウリヤ市の司令官に抜擢されたファン・ヒューリックは圧倒的少数の兵力でタイタニアの大艦隊を打ち破るという快挙を成し遂げた。しかし、それは敗戦による手打ちを予定していたエウリヤ市長にとって想定外のことで、ファンは追放されてしまう。
市長にとってタイタニアと手打ちを考えるとしても、ローマがハンニバルのいるカルタゴを恐れたように、ファンを抱えていた方が交渉上有利であり、追放は下策ではないか。それともファンをタイタニアに突き出さず、資金を与えて逃亡させるだけ良心的と考えるべきだろうか。
著者のスペースオペラと言えば『銀河英雄伝説』が有名過ぎるほど有名である。どうしても比較したくなることは仕方ない。一方の主人公のファン・ヒューリックは活動的なヤン・ウェンリーという感じである。ダスティ・アッテンボローに近い。
ファンは「要盟は守るべからず」を行動指針にした。対等な立場で結ばれた約束は守らなければならないが、脅迫や強要で押し付けられた約束を守る必要はない。これは正しい態度である。契約書に捺印したから合意があったという悪徳商法の論理は、真の自己決定権の対極にある。
ファンは利用されることを嫌う。反タイタニア派からでも利用されることは嫌う。そのファンがリラの死に怒る。私的な怒りや憎しみが変革の起爆剤になるとドクター・リーは言う。これはマンションだまし売り被害者として納得である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『銀河英雄伝説』と並び称される田中芳樹の大傑作スペースオペラ!
「宇宙はタイタニアとともにあり」
それは決して大言壮語ではない。偉大なる初代ネヴィルから第八代アジュマーンの治世まで宇宙を統べてきたのはタイタニア一族であり、その栄華を疑うものは無かった。
だが星暦446年、若き無名指揮官による奇策を受け喫した一敗は、盤石に思われたタイタニアに小さな綻びを生んだ……。
宇宙は、新たなる時代を次なる物語を紡ぎはじめたのか?
田中芳樹にしか描きえない傑作宇宙叙事詩。第1巻から第3巻までを網羅した決定版!
※本書は、講談社文庫版『タイタニア1 疾風篇』(2008年9月刊)、『タイタニア2 暴風篇』(2008年11月刊)、『タイタニア3 旋風篇』(2009年1月刊)を底本としています。 -
20年ぶりに続編が出る、との噂があったので、20年振りに最初から読んでみました。(2013/9に4巻目が出ました。)
若かりし頃に読んだので、今読んだら興醒めかな、と思っていたのですがかなりのめり込んで読了してしまいました。
あと2冊なので、是非とも完結してほしいです。
ただ、今の懸念は、逆に、
4巻目の内容がグレードダウンしていないか
ということがあります。
文体が変わってないといいなぁ・・・。 -
アニメから。
アニメはヒューリックを主人公において、ジュスランを準主人公にした宇宙ドンパチって感じだったけど、原作を読んでだいぶ印象が変わった。
こっちはむしろジュスランをメインに据えた、タイタニア一族の歴史小説という感じ。読み応えがある。
とりあえずリディア姫がかわいい! -
反体制派よりも、タイタニア側から見た視点が主流かなー。50:50 だった銀英伝とはひとあじちがう。
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何故に今頃、復刊かと思ったら、数十年の年月を経て続編が出るかららしい。既に過去の作品でおおむねのプロットは覚えていたが、話は全く忘れていたので、確かに新刊を読む前には復讐した方が良いのは確か。作者の全盛期には多々ベストセラーのシリーズを乱発、完結した方が少ないくらいだったのではないかと思うが、アルスラーンとかも続編が出ているし、最近では漫画化された様でもあり、にわかに復刊ブームとなっているのかな。このころの作品は読者も若かったため、複雑な人間関係や政治的な側面など、少しばかり大人の世界の感があり、子供としては確かに面白かったのだが、読者が年を取って世界の酸いも甘いもわるようになり、なおかつ作者が老いているので、当時のポテンシャルをもって復活できるか否かは微妙ではないかと思うが、続編を期待したい。
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