日入国常闇碑伝 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828872

作品紹介・あらすじ

群雄が割拠していた、日入国――百葉(ひゃくよう)時代。天下布武を目前にした神藤(しんどう)家は最後の合戦に挑む直前、常闇と呼ばれる怪異に取り込まれた。それから数十年。世間は偽りの安寧を享受しつつも、常闇の正体は明らかににされないままだった。神藤家の遺臣、峰邑(みねむら)家に身を寄せる白堂闇佐(はくどうやみざ)は、常闇の謎の解明に動く。気鋭のミステリ作家、詠坂雄二が描く、新伝奇英雄譚!

感想・レビュー・書評

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  • どこか日本に似ている『日入国』 
    その昔、群雄が割拠する戦乱の時代に突如現れた異界『常闇』 
    『常闇』の存在する世界で彼らは何を思い生き、何のために死んだのか? 
    海外歴史小説家が著作した物語を邦訳したという体裁の短編集(もうメタ過ぎて訳わからん) 
    初読みの作者ですが「クセが強いですね」(笑) 
    世界観の作り込みは凄まじい。 
    話としては「雨鉄炮」「英雄蠅」が好き。 

  • 戦乱の日入国に現れた闇は、以後約80年に渡り国土の四割を覆った。常闇と呼ばれた異界には妖魔が跋扈し、人は正気を失い、動植物はことごとく異様な姿に変質したという…。有名な「常闇作法心得」や数々の歴史資料をもとに、常闇の発生に遭遇した碧眼赤髪の武将「舶来鬼」や、常闇を払うため帝がつかわした聖剣「事為得」、異界で死んだ豪傑が人を襲う「英雄蠅」などの物語を書き起こし、日入国の精神に迫ろうとした歴史小説、の翻訳、という体裁の怪作。相変わらずの人を食った感じと、ガチガチに作り込んだ重厚な世界観がたまらない(2013)

  • 架空の世界を舞台にした伝奇小説の連作短編集。
    日入国に突然現れた"常闇"という混沌を巡る、英雄たちの物語である。しっかりと世界を構築し、外国人の著作を翻訳したという形をとった解説などかなり細かいところにまでこだわった作りだが、いまいち読みづらくて面白いと思ったのは半分くらいだった。「事為得」、「炎吹刀」、「英雄蝿」などの顛末はなるほどと思った。

  •  常闇という舞台設定、現代と過去の対比、そして魅力ある登場人物が織りなす物語は短篇集ではなく長編小説としてじっくりと読みたい。が、短篇集であるからこそ想像の余地があり作品の魅力を増しているように思える。
     もう一つ面白いのはワーニー・アンサーの著作の翻訳という体裁をとっていることである。これは”訳者”あとがきに至るまでこだわっており、本当にそのような著作、そして常闇という史実が存在していたかのような錯覚を覚えさせる。本として嘘をつけない初出、奥付をみて創作であることを思い出させるほど。こういった仕掛けも物語の真実性を増すのに一役買っているように思う。

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著者プロフィール

1979年生まれ。2007年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に選ばれ、『リロ・グラ・シスタthe little glass sister』でデビュー。クールな文体で構成される独特の世界観と、本格マインド溢れる謎解きがミステリ通の熱い支持を受けている。

「2022年 『君待秋ラは透きとおる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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