真説宮本武蔵 (講談社文庫 し 1-13)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 301
感想 : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061830714

感想・レビュー・書評

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  • 吉川英治の武蔵からきました。
    司馬遼太郎は武蔵をどう書いたのかが気になって。

    そうしたら予期せず、司馬さんの初めての短編集に触れることに。
    一冊まるごと武蔵と思っていたので正直がっかりしましたが、なんだかんだぜんぶ面白かったです。

    「越後の刀」はまさかのミステリー仕立てにちょっとワクワクしましたし、
    「上総の剣客」の森要蔵は「竜馬」から派生した短編だろうなと懐かしく読めました。
    あんまり好きではなかったけど(笑)

    「真説武蔵」に関しては、吉川武蔵を読んだあとだと、やはり物足りなさを感じずにいられませんでしたが、でもこれくらいの分量で十分かもなとも思ったり。

    吉川武蔵は巌流島でエンドだったので、その後をメインに描かれていた司馬武蔵は、私的には真説というより初めて知る武蔵でした。
    なので逆説も諸説も知らない立場からの読み方になりましたが、新鮮な気持ちで読めたという意味では同じということで。

    司馬さんはとにかく吉岡家の名誉を回復したかったんだなと解釈したのですが、どうなんでしょう。
    武蔵よりも憲法への好意のほうが大きいように感じたのはわたしだけか。


    あと「千葉周作」、こんな破天荒な人だったとは。
    もっと剣法にゆかりのある家柄の人だとなんとなく思い込んでいました。
    「北辰一刀流」とか、いかにも正統的で、響きも涼やかな流名ですし。
    (作中でも、流儀名を聞いただけで感服したっていう人が紹介されていましたが、気持ちはわかる)

    相変わらず、読み方や意味、人名、地名を調べるのに時間がかかりますが、読みごたえは十分。
    満足です。

  • 2017年3月28日読了

  • BOOKOFFで108円

    坂の上の雲(司馬遼太郎著)は、とても面白いのだが、ナカナカ難しくて、頭にストレスがたまっている時は読み進められない(現在、2巻の途中まで)

    この本はすらすら~っと読めた
    軽くて面白い

    武蔵は工面上手(金)
    名声を得、尊大に。しかし戦での武功はない。城地や石高が小さすぎると辞退してばかり。

  • 読んでる途中で気付いたけど、これ短編集だったのね。
    てっきり宮本武蔵の話だけかと思ってたわ。
    ちょっと拍子抜け。

  • 「菜の花の沖」がまだ一巻残っているのに、浮気をしてみた。気分を変えるのにいいかなと。

    本作品は宮本武蔵を始め、剣豪もの6編で構成されている。剣道を嗜まない私にとっては門外漢の気味があるが、司馬遼太郎の全作品を読破しようと試みているので仕方がない。

    以下、短編ごとに感想を記したい。

    「真説宮本武蔵」
    吉川英治作品などのそれまでの大衆文学ヒーローだった宮本武蔵に対して反論するような内容。武蔵はそれほど強くなく、格好良くもなかったとしてヒーロー像を否定しているし、吉岡一門との闘いについても(極論すれば)デタラメだったと斬る。これはこれで司馬遼太郎作品らしくていい。
    また、武蔵を懐古する人物が、武蔵よりも2歳年上で130歳まで生きたという嘘か本当か分からない渡辺幸庵。これを疑いもなく堂々と紹介する司馬遼太郎氏も潔い(笑)。

    「京の剣客」
    今年1月に読了した「一夜官女」にも収録されているので再読。書評はこちらをご覧いただきたい。

    「千葉周作」
    坂本龍馬も弟子として名を連ねた千葉道場(坂本龍馬の時は周作の弟とその子達が登場)の開祖の話。あまり面白くなかった。

    「上総の剣客」
    幕末に息子と共に会津にて剣に散った、おだやかさまと呼ばれた森要蔵の話。自分の芸に疑因が生ずる度に家出をして漂白の修行に出るが、その度に女房との間に子が出来るというユニークな男。

    「越後の刀」
    大坂の陣で敗れて浪人となった栃尾源左衛門が、旧主上杉家に帰参するために伝来の宝刀の行方を探すというショートミステリー。

    「奇妙な剣客」
    珍しく外国人が主役。バスク人のユイズなる者が1561年に日本へ来た時の小話。日本人女性のそれがタテであると信じていたが嘘であったり、バスク人が日本人と似ていると信じていたのに似ても似つかなかった、というもの。妙な短編。

  • 人物はひとり。解釈は多様。

  • 宮本武蔵と言えば吉川英治の宮本武蔵像が思い浮かぶ。これは近代日本人の偶像だろう。
    その偶像を否定し、破壊したのがこの著書だと思う。ある意味人間的な、あまりに俗物的な、武蔵がそこにいる。
    そう。。だから親近感を覚える。

  • 武蔵はやはり剣ではなく武士、侍に憧れた人物だったと再認識。
    宮本武蔵伝と吉岡家伝の両方を読むと、武蔵という存在感は武蔵および伊織の宣伝効果の賜だなと思わされる。というか吉岡家が本当にあったとはちょっと驚き。

  • 宮本武蔵や千葉周作などの剣豪の短編集。大軍を動かして戦をするわけでもなく、ひたすら個人の芸を磨くばかりでダイナミックさが欠ける。戦国から幕末までの天下泰平の江戸時代は、武士を小説にするには退屈かもしれないな。

  • あんまり司馬遼太郎らしくない気がする。

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著者プロフィール

司馬遼太郎
大正十二年(一九二三)、大阪に生まれ、大阪外語大学蒙古語学科を卒業。昭和三十四年『梟の城』により第四十二回直木賞を受賞。四十二年『殉死』により第九回毎日芸術賞、五十一年『空海の風景』など一連の歴史小説により第三十二回芸術院恩賜賞、五十七年『ひとびとの跫音』により第三十三回読売文学賞、五十八年「歴史小説の革新」により朝日賞、五十九年『街道をゆく 南蛮のみちⅠ』により第十六回日本文学大賞(学芸部門)、六十二年『ロシアについて』により第三十八回読売文学賞(随筆・紀行賞)、六十三年『韃靼疾風録』により第十五回大佛次郎賞を、それぞれ受賞。平成三年、文化功労者に顕彰される。五年、文化勲章受章。日本芸術院会員。以上のほか主な著書に、『豊臣家の人々』『竜馬がゆく』『世に棲む日日』『峠』『坂の上の雲』『花神』『翔ぶが如く』『項羽と劉邦』『菜の花の沖』など。『司馬遼太郎全集』がある。平成八年(一九九六)二月死去。

「2023年 『歴史のなかの邂逅 同時代篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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