自動車絶望工場 (講談社文庫)

著者 : 鎌田慧
制作 : 本多 勝一 
  • 講談社 (1983年9月8日発売)
3.50
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  • レビュー :31
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061830967

自動車絶望工場 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • この本が学生時代の課題図書として読んだ本です。
    当時の期間工体験のルポルタージュです。
    日記帳になっており、作業の過酷な様や、職場のヒューマニズムなどを、著者の主観を織り込みながら描かれてます。
    良くも悪くもこの本は、自分の人生の影響を与えました。

  • トヨタの職工として働いた著者の体験ルポ。ここまでやるか、、っていうえげつないやり方で労働者の自由を奪い、いやならやめればいいじゃないかと言わんばかりに弱い立場の労働者たちを振り回す。弱肉強食というか、実際働いてる人は大変だなと思いました。今もこんな自体が続いているかはわかりませんが。大きくなりすぎた恐竜企業の軋みが垣間見える1冊だと思います。

  • 著者自身がTOYOTAの季節工となり体験した一部始終を綴った傑作ルポタージュ。
    これは昔のことなのか、今は無くなったのか。
    そうではないと思う。TOYOTAで無くなっていたとしても、効率化、改善の名の下に
    人間性を自ら否定することによってのみ勤まる仕事を続ける人はまだまだいるだろう。
    (頭と手足が完全に分かれている昨今ののほうがむしろ多い?)
    そのような企業が「社会貢献」「人間性の尊重」等と標榜するのには本当に笑えてしまう。

  • いい本だった40年以上経った今でも色あせないルポ。ホワイトカラーと現場を支えるブルーカラーが対立するのではなく、ブルーカラー同士の対立軸を作る企業のトップダウンで決められる限界に追い詰められ単純作業のルーティンワーク。ヒエラルキーの典型という企業に身を潜め工員の指の切断や残酷な描写で描かれ危険と隣り合わせの限界の作業。現場に入り込まないと書けなかった体感が味わえた。秀逸の参与観察のなせる作品です。

  • 今ではこんなことにはなってないだろう、もう少し改善されているだろう、と考えるのは甘い気がする。

  • 昭和58年発行の古い本だが、日本の代表企業トヨタがその地位を労働者の多大な犠牲の上で築いたことがわかる。
    この本の最後に「豊田市は政治的経済的にトヨタ資本に支配され、街は荒野のように荒涼とし閑散としており、ただ車だけが狂ったように走り回る。トヨタはその創立から発展までの全過程において多額の税金をエネルギーとして…。工場の中では労働者に負担だけを強いる合理化と、非人間的な労務管理が支配している。」とある。また、会社の御用組合と声を上げる組合員つぶしの方法は日航の沈まぬ太陽と酷似しており、それらがフィクションでないことを示している。
    日本一の企業がこれなのだから、他はもっと酷いと見るか、これだから日本一に君臨してると見るか、どちらであろうか。

  • なんでこんなに何回も読むのか自分でも解らない
    でも 読んでしまう
    昔も今もライン作業ってそんなに変わってない気がする
    ちなみに私の手元の本は第一刷¥380のもの

  • ☆☆2つ

    1973年に書かれた本のようだ。どうやらこういうルポルタージュの世界では結構有名な本らしく、わたしが安く購めたのは重版をかさねた講談社文庫1993年発行第八版であった。

    「ベルトコンベア」という用語が呪いのように連呼されている。地獄のベルトコンベヤ、などという表現で。じつわわたしが務める会社はこのベルトコンベヤに相当するものも作っている。(注:コンベアとは言わず、コンベヤ、と語尾は ヤ であるが)

    でも実は自動車の最終組み立てラインに「ベルトコンベヤ」はおおよそ入っていない。
    重たい自動車1台を乗せて運べる程の「ベルトコンベヤ」というものが存在しいからだ。(ボディ搬送の主体は、近年までは「オーバーヘッド・コンベヤ」というものがその役をになっていたが、最近はフロアー搬送の台車式のものが、フレキシブル性にと富む、と云う理由でよりポピュラーになっている)

    ではこのルポ本に書いてある事は全部嘘かいな、というとそんなことは無い。

    この著者鎌田某が潜入体験仕事をしたのは自動車の部品の一部「トランスミッション」の組み立てだけを行う部署でのことだ。したがってベルトコンベアでも辻褄は合う。

    この本、今読めば「ふーむ当時は確かにモーレツな仕事をしていたわな。でもそれは別に自動車工場に限ったことではなく、およその産業全体がむちゃくちゃな仕事の仕方をしていたぜぃ!」という事に落ち着く。未だに70年代の様な仕事を強いている会社は、今は「ブラック企業」と呼ばれて注目!?されているだろうw。

    しかし、現場の実情はあまり変わっていないのではなかろうか。そりゃ機械はあたらしくて性能の良い物になり、一部のキツイ仕事はロボットなどに置き換わっていって、さらには職場の環境が明るくて清潔なものに変わっているとは思うが、例えば1分16秒のタクトでコンベヤが流れて来る事は、たぶん何も変わっていないのだろうから。

  • 季節工(この企業では期間工というのだそう)として自ら半年間、工場のコンベア作業を体験した筆者が記したルポルタージュ。
    声高に何かを訴えるような調子ではなく、日記形式で綴られており、それ故に尚更、リアルで凄味がある。強烈な一冊だった。

    体がボロボロになるほどの重労働を、ろくな休憩もないまま10時間以上も強いる。劣悪な環境と過労の結果、指や腕を失うような事故が起きても「皆に迷惑がかかるから気をつけるように」と「注意」される。
    筆者が働いていた半年の間にも、指を折って数えねばならないほどの死亡事故が起きているのに、労災は認められない。社内の病院へ行っても、現場の人間は入院させてもらえず、翌日には出勤するよう促される。。。

    目に見える鎖で足を繋がれてこそいなかったかもしれないが、金という名の鎖で辞められないように仕向ける仕組みと、労働者を人とも思わないような扱い方は、かつての奴隷や囚人もかくや、という状態である。

    これが、1972年、「世界のトヨタ」になろうとするこの大企業を支えていた、土台部分の実態。全国各地からの出稼ぎ労働者が耐えなければならない現実だったのだ。

    初版は1973年で、10年経って文庫になった。そのあとがきには、オイルショック以降のロボット導入と、出稼ぎ労働者一掃のことにも触れてある。今度は疲れを知らないロボットに合わせて酷使されることになった本雇いの工員たちの過酷な状況が、改善されたわけではない、ということも。

    それから、さらに30年。
    事態は変わったと思いたい。
    こんなに理不尽な労働がないと経済が成長しない、というのなら、
    それは、世の中の方が、どこか間違っているに違いない。


    この本を読んでいる最中、新聞にこんな記事を見つけた。
    自動車メーカーが国内生産をけん引している、という内容である。かのトヨタも、
    「期間従業員を約200人増やし、2交代制でフル生産」
    しているそうだ。
    下請けの社長のコメントは
    「生産計画が毎月上方修正され、対応に追われている」。

    「フル生産」や生産計画への「対応」が、この本の当時とは
    異なっていると信じたいが、真実はなんとなく予想がつく。
    私も、この本に出会っていなければ、上の新聞記事を見ても何も感じなかっただろう。
    素通りしてしまうような記事。
    声を上げる余裕さえない労働者たち。
    「世の中の間違い」はこんなところに潜んでいるのかもしれない。

  • いくら過去に書かれた作品であるといえ、今に通じるものが必ずある。コンベア型の労働はいまでこそ、非人道的であると認識されど、日本が今まで結果を追い求めてきたことは紛れもなく、きっとそうすることは正であると思う人も少なくないだろう。
    作内でのキカンコーのように使い捨てられる労働力はいまでいう非正規労働者にあてはまる部分があるのだろうか。

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