1973年のピンボール (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 155
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061831001

感想・レビュー・書評

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  • 「テネシー・ウィリアムズがこう書いている。過去と現在についてはこのとおり。未来については『おそらく』である、と。しかし僕たちが歩んできた暗闇を振り返る時、そこにあるものもやはり不確かな『おそらく』でしかないように思える。僕たちがはっきりと知覚しうるものは現在という瞬間に過ぎぬわけだが、それとても僕たちの体をただすり抜けていくだけのことだ」(本文より)

    読み終わったとき、この言葉だけがやけに頭に残った。

  • 読始:2009,2,9
    読了:2009,2,14


    「風の唄を聴け」に続く二作品目
    いわゆる鼠三部作の二作目でもある。
    それぞれ単独の小説としてみるならば「風の歌を聴け」の方がまとまっている。「1973年のピンボール」は内容が把握しずらい気がした。
    もちろん単独の作品として読めないことはないが、一作目を読んだのちに読むことに意味がある気がする。

    村上春樹の作品で思うのが、誰でも初読でさらっとよめ、確かにそれで作品のよさの一部はわかる。だが、後年何度も読み返すことで真の味がわかりそうな気がするのが村上春樹作品な気がする

    ピンボールもまた読み返したとき、今は気付かなかったよさに気付ける確信がある。今で終わりでなくまた未来にも期待できるというかww

    こん作品ではぼくと鼠の話がパラレルに進む
    両者交わらないし、一作目を呼んでいないとジェイと鼠とぼくの関係もわからない
    ただ全く内容の違う話がふたつあるのでなく本質的に描かれているものは一緒であり、その表出が違うといえようか
    またぼくが同居している双子の女の子の存在意義など考えると面白いテーマがもりだくさん

    私が読んでて感じたのはもっともっと読みたい。何度でも読み返して、細部まで村上春樹が言いたかったことを理解したいと思わせる作品であったということ
    この作品だけの評価だと★3といいたいが、これだけ再読したいと思わせるところを評価して★4。さらにこれを読むことで一作目風の歌をきけも★3→★4になったww


    一作一作が決め手にかけるような気もするが、それでいてもっともっと読みたいと思わせる作品を書くのが村上春樹だと思った

    最後に作中で気になった部分を抜粋してレビューとしたい。


    P.76
    そしてガラス窓に映った僕の顔をじっと眺めてみた。熱のために目がいくらかくぼんでいる。まぁいい。午後五時半の髭がうす暗くしている。これもまあよかろう。でもそれは全く僕の顔には見えなかった。通勤電車の向かいの席にたまたま座った二十四歳の男の顔だった。僕の顔も僕の心も、誰にとっても意味のない亡骸にすぎなかった。僕の心と誰かのこころがすれ違う。やあ、と僕は言う。やあ、と向こうも答える。それだけだ。誰も手をあげない。誰も二度と振り返らない。


    P.93
    あたしは四十五年かけてひとつのことしかわからなかったよ。こういうことさ。人はどんなことからでも努力さえすれば何かを学べるってね。どんな
    月並みで平凡なことからでも必ず何かを学べる。


    P.105
    「幸せだった?」
    「遠くから見れば、」と僕は海老を飲み込みながら言った。「大抵のものは綺麗に見える」


    P.137
    「それでも人は変わり続ける。変わることにどんな意味があるのか俺にはずっとわからなかった。」鼠は唇を噛み、テーブルを眺めながら考え込んだ。「そしてこう思った。どんな進歩もどんな変化も結局は崩壊の過程に過ぎないんじゃないかってね。違うかい?」
    「違わないだろう」


    P.165
    「でも過ぎてしまえば夢みたいだ」
    「そうかもしれない。でもね、俺が本当にそう思えるようになるまでにはずいぶん時間がかかりそうな気がする」


    P.173
    テネシー・ウィリアムズがこう書いている。過去と現在についてはこのとおり。未来については「おそらく」である、と。

  • 順番を間違えた。。。
    読み終えて、背表紙を見てから気付きました。

    村上春樹初期3部作という存在を、先日会社の先輩から教えてもらって、お借りしました。

    村上春樹さんの作品は何か馴染めない僕のイメージがあって、今もまだあるのですが、とりあえず第一部の作品を次に読んでみたいと思います。

    でも、これだけ多くの人を引き付ける作家さんなので、ハマったら入り込んでしまいそうな気もしたりします。

  • 村上春樹の世界観はすごく好きだ。でも、読み返す作品はほとんどない。読み返さなくても作品の印象が強烈でずっと尾を引いてるから。それでも、この作品は、ぼ〜っとしながら何度も読み返してる。ぼ〜っとしたい時に読むと染み渡る作品。

  • なんとなくハードボイルドな感じだ。

  • 形としては「風の歌を聴け」の続編。
    同じく爽やかで繊細な文体に登場人物同士の軽やかな会話が光ります。

  • 読了。心にしまっておきたい名文句が多い

  • ピンボールをさがす。

    鼠がいなくなった。

  • 何故来たの?
    君が呼んだんだ。
    呼んだ?

    そうね、そうかもしれない。呼んだのかもしれないわ。

  • む−6−2

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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