- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061831001
感想・レビュー・書評
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大学生時代の思い出。再読。
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青春3部作のうちの2作目。1作目に比べるとずいぶんとしっかりした文章になっていると思った。「僕」と「鼠」のその後については次作を読まねばならないが。「僕」の翻訳の仕事の描写が面白い。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou19605.html
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決別の物語。
どこかで区切りをつけなくてはいけない、ということが、人生にはある。
「僕」も鼠も、その境目に立って、対岸を見ている。
対岸は何も見えない。
でも、終えてきた「時」は確かに後ろに感じるし、脱ぎすてなくてはいけない殻は心に重い。
そんな、若い頃の煩悶を感じる作品だった。
ここで抜けて行かなくては次に進めない、という確信と暗中模索の苦しみが、私にも確かにあった。
そんな記憶を思い出させる作品だ。
・・・・なんて、歳をとったなあ、と、思う。
2014.6.29
過ぎ去り、二度と戻ってこないものたち。
その切なさと、閉塞感と、それでも先に流されてしまう無常観であふれていた。
鼠の混乱と、一見たんたんと日常を繰り返しているかに見える僕とは、とても似ている。
交わっていないはずの二つの生活。
でも、その二つは、同じ何かを軸にして、螺旋を描きながら、同じ方向に向かって進んでいるかのように感じる。
人は、いろんなところに、いろんなカタチで、いろんなものを置き去りにし、埋葬して、一人歩いていかなくてはいかない。
いつ読んでも、切ない諦めを感じる。
2006.7.1
双子が出て行ったときの喪失感が身に染みる。鼠の行き詰った状態もよく理解できる。でも、どれも、今の私には過去だ。もう通り過ぎてしまったものたち。歳をとったものだ。僕と鼠との生活は、接点がないのによく似ている。
2000.9.11
村上春樹の作品を読んで、こんなに切なく寂しい気持ちになったのは初めてだ。前回この本を読んだ時は、とりとめのない作品のように感じたが、今は違う。すごく寂しい。それは、おそらく、私がどうしても手放したくないものと出会ってしまったからだと思う。失うのが恐いと思うほど、大切なものを見つけてしまったから。だから、僕やネズミの「本当の言葉」が痛い。 -
風の歌から引き続き。
現実感を感じるのに非現実。空気感が素晴らしい。なぜ引き込まれてしまうんだろう。 -
井戸の話、犬の話、直子という女性を愛したがすでに死んでしまい、捉えどころのない双子女と3人暮らし。僕と鼠とピンボール、1973年9月始まる。
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3部作を後ろから読んでしまっているが、これが一番わけがわからなかった。どれが私で、どれが鼠か。そこが狙いでもあるかもしれないが。しかし、確かにこのあとかなり整理された羊男に進むのは納得感あり。混沌と単純の波間で物語が転換するのか?
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沁みた。すごくよかった。
「気分は?」
「悪くないよ。」
「仕事の具合は?」
「上々さ。」
空はまだどんよりと曇っていた。
ここ、なんか好きだ。 -
20111110
一見気まぐれに移り変わってゆくかに見える話題に最初は戸惑ったけど、それらの総和で話が出来上がっている感じ。
ピンボールマシンとの再会、そして別れ……何かを捨て、失い、そして一つの時代を自分の手で終わらせてゆくということ。
何度も読み返したいなと思った。