コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061831599

感想・レビュー・書評

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  • 1989年からの再読。キクとハシの自閉からの外向的破壊と内向的破壊。体力が必要な読書。

  • うーん。うーん。うーん。うーん。なんじゃこら?というのが、読み終わった時の、正直な、感想でした。なんじゃこら。とりあえず、詰まるところ、なにが、、、言いたかったのか、、、すまん。わからんかった。すまん。そういう、感想ですね。すまん。わからんかった。

    途轍もなく狂っていて、途轍もなく魅力的ななにか、を、描こうとした?のかもしれませんが、すみません。全然、僕には、ピンと来ませんでした。という、作品でしょうか。すみません。うーん。肌に合わんかった。無理だった。

    あ、アネモネの飼ってた、鰐。あっさり死に過ぎ。なんなんアレ?あの鰐を殺してしまうに至った顛末の理由になる、高速道路のサービスエリアのトイレにいた狂った男二人組。おまえら、いらんのやけど、って思った。鰐。死なんで良かったのに。意味わからん。残念だよこのエピソード。鰐、マジで死なんで良かったのに。意味わからん。腹立ちました。あの鰐が死んじゃう描写は、マジで、鰐を殺すための場面設定、みたいな感じがして、嫌でしたね。物語の流れの都合じゃん?みたいな。なんだかなあ、アレ。ホンマにいらん描写だと思うんですよ、あの流れは。鰐を除去するためだけの流れ。いらんよ、そんなん。

    下巻、好きだった場面は。
    キクで言うと、刑務所のメンバーと、一緒にいる場面ですね。
    山根素彦。福田。林。佐島。中倉。あと、勇洋丸の江田船長。彼らとか、普通に、めっちゃいいやんか。いいヤツらやんか。彼らと良い時間を良い感じに過ごす。まあ、刑務所の中やけど。いいやんか。
    凄く変な感想かもしれませんけど、あの刑務所内の描写は、映画「ショーシャンクの空に」の、アンディーとレッドと他のメンバーの絡みを連想させてくれて、ちょっと嬉しかったんですよ。まあ、錯覚でしたけど。
    っていうか、山根、狂うなよ。なんで、ああなっちゃうかなあ。なんでかなあ。で、それに便乗して、なんでアネモネとダチュラを探しに逃亡するんや。キクよ。分からんよ。

    ハシで言うと、バンドのメンバーと、九州でパネえライブツアーを繰り広げる場面ですね。
    ドラムス:ジョン・スパークス・シモダ、三十一歳。ベース:トオル、二十九歳。ギター:松山祐二、二十二歳。サキソフォン:北見ヒロシ、二十一歳。バンドネオン:徳丸静也、六十二歳。バンド名「トロイメライ」めっちゃいいバンドやんか。
    ギターの松山が、リハの途中で「ハシのボーカルは弱い」ってツアーバンドのメンバーを抜けようとする緊迫の場面とか、最高やんか。うわあ。バンドやね。って感じで。

    あっこらへんのメンバーの絡みとか、すげえ好きなんですが。そんなん全然、本題じゃない。すげえ好きだったのに。自分の意志で、自分の舌の先をチョン切るの、どれだけの勇気がいるの?とか思ったら、ハシをバンバン尊敬するんですけど、その先は、まあ、さっぱりワヤですわ。ロックンロールは全然重要じゃない感じ。なんだかなあ、、、なんだかなあ。

    あと、ハシが長崎のシマ?五島列島?かどこかの故郷に帰る描写も、凄く好きなんですが。養父の桑山修一の、ハシに対する態度、すげえ好きなんですが。桑山修一のダメ人間っぷりも好き。ハシ、結局、サングラス、送らなかったやないですか。大金持ちになってるのにねえ。ダセえな、って思いますね。それをめんどくさがるなよ、って思いましたね。歌を歌わなかったのも、ダセえな、って思いましたね。

    で、これは、結局この物語は、なにが言いたかったのだろうか?キクは、結局、ダチュラ、っていう人間を狂わせる薬品?みたいなんを、大都会でバラ撒いて、とりあえず人類文明を破滅させたかったのか?どうなのか?もったいない。もっと、その努力、ええことに使えよ、とか、思った。

    最後の最後の場面も、ハシが、妊婦の人にヒドイ事するやないですか。で、お腹の子には、生きろ、って、なんじゃそら。この女は殺さない。って。なんじゃそら。意味わからん。わからんよ。まずは妊婦にヒドイ事するなよ。って思いました。思いました。うーん。なんじゃこら。

    あ、あっこは、好きだった。コインロッカーに遺棄されてこの世に産み落とされたキクが、俺とハシが生を見出されたコインロッカーだけではなく、この世の中、この世界そのものが、巨大なコインロッカーだ、って看破した場面。あっこは、すげえ好きでした。なるほどそういうことか!という。その通りやな、と。あっこはお見事。でもまあ、、、その後の展開は、、、それを看破したんならなあ、、、もっとこう、生きていきようあるだろ?とか、思ったが、、、まあいいや。

    で、キクとアネモネは、結局、東京にダチュラをバラ撒いて?その後、何処へ行ったのか?満足したのか?それとも狂って死んでしまったのか?なんだかなあ、って思ったんですよね。バイク?で、二人で、ダチュラを積んで、東京へ行った?んですよねえ?よおわからん。あの、ヘリコプター運転した老人とか、唐突に登場しすぎだし。ご都合主義やん、とか思いました。すまん。

    「薬島」は、下巻には、全然登場しなったですね。まあ、いいんですけどね。怖いんで。もうあの怖さは、嫌だったんで。でも、登場しなかったなあ、ちょっと残念、って思っちゃう所は、俺、負けてるやん。薬島の魅力に負けてるやん、とか思うと、ちょっと、悔しいです。

    あ、小説の文庫版の体裁としては、講談社文庫で、2009年に新装版で1冊にまとめられて刊行されているんですが、1984年版の、上下巻別冊版の文庫版のデザインの方が、圧倒的に好きですね。1984年版の方が、都市のオールドな近未来感、無機質な有機質感、冷徹に熱狂的に狂ってる感、なにしろ不穏で平穏な、とんでもなくデンジャラスなピースフルな感じが、ガンガン表現されてると、思うんですが、、、どうだろうか。感じ方は人それぞれ、ですよね。

    まあ、すみません。結論としては、この小説は、僕は、無理でした。すまん。って感じですね。

  • 凄かった
    2人と世界の間に流れている目に見えないもの
    キクの世界に対する絶望
    ハシがずっと抱える、生まれて来た意味、心の痛み
    コインロッカーで捨てられたところから始まる、2人の壮大な物語
    に圧倒された。

    アネモネがの鰐が死んだときの世界への絶望感が半端なかった。
    キクが親を殺すシーンが印象残ってる。
    自分を捨てた母親との再会もそうだけど
    会った次の瞬間、血を首から流して倒れてて、
    しかもそこにキクのいろんな感情とか、今までの葛藤とか考えると、衝撃的に寂しいような、(一言で表せないけど)感情がした。


    生まれてからすぐに、コインロッカーに捨てられて、育った2人のお話。
    コインロッカーで捨てられた2人が、色々な葛藤や絶望、出会いや人間関係を経て、お互いの道を行く姿が描かれている。
    「コインロッカーのような世界で。」的なテーマ。

  • 上巻はダラダラと長いなと感じていたが下巻からはテンポが出てきて、気持ちは下向きになる出来事も多かったけど良かった。だが自分には作風が合わないなと思った。結論何が言いたいかがよく分からなかったのが正直な感想。
    キクとハシの破天荒さに読んでいるこっちがついていけない感じなのは自分だけかと思ったら他の人も自分とは合わないとか思ってる人がいて安心した。

  • ほんとに全然面白くない。むしろ憂鬱になった。
    読んでる間本当に疲れて、吐き気もしてきて、常に「もう無理」って思ってた。
    でも字を追わずにはいられないこの作品はなんなのだろう。

    解説には「自閉と破壊」をテーマにしているとあったが、私にはよくわからなかった。ただ気が違ってる人が気が違った言動をひたすら取り続けている小説に思えた。

    この人の文章、本気ではまる人が絶対いると思う。その人はすごく大変だろうな。

  • 前半かなりダルかったな。

    まぁ、どっちにしろなんかまだ荒削りっぽい感じ。

    もうちょっと洗練されてくる、後の作品のほうがいいね。

    とりあえず改行してくれ。読みにくい。


  • 何というか全体的に象徴的な作品で、読み終えた後も作者の伝えたい事が分からなかった。
    描写が先鋭的で結局読み終えてしまったが、荒唐無稽ぶりに途中苦痛を感じる点もあった。
    1点、アネモネ視点の悪夢の様な内容が所々挟まれ、フックになっているのが技巧的で良かった。

  • 上下で止まらずに読めます。

  • 『愛と幻想のファシズム』の三人の原型なんだとか。
    物語の序盤から想像するラストと比較すると尻すぼみなところはところは『愛とー』と同じ。
    ただ最後まで圧倒されっぱなしではありました。

  • コインロッカーから生まれ落ちた兄弟に
    人々は、よってたかって物語を押しつけた
    イエスの教えに始まって
    精神安定を促進する胎内の心臓音を聴かせたり
    見ず知らずの大人のもとに里子にやったり
    母親の居所をほのめかしたり
    レイプしたり
    サプライズを装って、いきなり母親との再会を強要するなどした
    そのなりゆきで兄のキクは実母を殺し
    弟のハシは精神を病んだ
    しかしキクは、母殺しにむかう一瞬の高揚を永遠とするために
    「ダチュラ」への執着をより強めていく
    一方ハシは、新しい声を手に入れるために舌を切断し
    また疑似母相手に本物の胎内回帰をはかった
    これらの、わけのわからない情熱こそが
    彼らには生きるテーマとなった
    欠損した時間、欠損したモノへのこだわりがエゴの芽生えであり
    闘争の根拠を生み出すもので
    それなくしては個人と世界が本当に和解する瞬間も訪れないだろう

    純文・エンタメ問わず日本文学において
    良くも悪くもドメスティックな影響力を、今なお持ち続ける作品だ

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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