夜中の薔薇 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 968
感想 : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061831827

感想・レビュー・書評

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  • 向田邦子さんの最後のエッセイですね。
    明日で突然の死から四十一年になりますね。
    今でも向田邦子さんは忘れること無く、懐かしい作家さんの一人です。
    向田邦子さんの文章は飾らず率直で清々しい親しみ深い温かみのある語り口です。
    会話をするように、語りかけてくる文章に浸りながら読み進めて、飽きることがありません。
    自らの言葉で気っぷの良く小気味良く文章が綴られています。
    もっとたくさんの文章を残しておいて欲しかった作家さんですね。

  • 向田邦子さんのエッセイ。
    食べ物のこと、旅行先でのことが、興味深く書かれていた。意欲的に生きてこられた方なのだと思った。
    特に、「手袋をさがす」が印象的です。気に入るものが見つかるまでは、決して妥協を許さない…今でこそこんな自立した大人の女性が増えてきていますが、向田さんは、そういった現代女性のパイオニアだったのではないでしょうか。

  • 自分に似合う、自分を引き立てるセーターや口紅を選ぶように、ことばも選んでみたらどうだろう。ことばのお洒落は、ファッションのように遠目で人を引きつけはしない。無料で手に入る最高のアクセサリーである。流行もなく、一生使えるお得な「品」である。ただし、どこのブティックをのぞいても売ってはいないから、身につけるには努力がいる。本を読む。流行語は使わない。人真似をしないーー何でもいいから手近なところから始めたらどうだろうか。長い人生でここ一番というときにモノを言うのは、ファッションではなく、ことばではないのかな。(本文より)

    向田邦子 最後のエッセイ集。
    ことばが美しい人だ。

  • キャリアを重要視し、働く女性はみな「手袋をさがす」が好きだと思う。
    自分が自分らしく生きることを、潔く自分で認めることの難しさよ。
    結婚、出産、専業主婦で〜みたいな「女の幸せ」を手放して、
    頑張っていると、ふと前も後ろも見えず佇みたくなる。
    これで良かったんだっけ?と自問自答して、夜眠れなくなる。
    そんな眠れない夜に読みたい1冊。

  • 終盤の「手袋を探す」「時計なんか恐くない」がよかった。20代の女の子向けかもしれないけれど、40代が読んでも。向田邦子の負けん気を少しだけおすそ分けしてもらった。

  • 理想の女性、向田邦子。「手袋をさがす」がとっても好き。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「理想の女性」
      事故で、早く亡くなったのが本当に残念。
      「理想の女性」
      事故で、早く亡くなったのが本当に残念。
      2014/05/13
  • 向田邦子の文章が好き。(他者にも自分にも)観察眼が鋭くて流石だなと思う。手袋をさがすと時計なんか怖くないが特に好きで、自分のことを少し肯定でき心が軽くなった。折に触れて何度でも読み返すだろうと思う。

  • 201507読了
    ベルギー旅行記が含まれている。
    20100210読了
    向田さんのエッセイは歯切れが良い。テンポが好き。切り口も好き。小難しい説明的な文章やだらだらとした叙述的な文章はいらないけど、ただなんとな~く活字が欲しい、そういうときに最適。旅のお供。

  • この人の性格、薄々気づいてたけど自分に似ているなと思った笑(調べてみたら誕生日まで近かった)。

    料理の描写はどれをとってもヨダレが...



  • 講談社文庫
    向田邦子 「夜中の薔薇」


    事故死の直前に書かれたエッセイ集



    「夜中の薔薇」「牛の首」「寺内貫太郎の母」「手袋をさがす」など 死を予兆しているような、自身の人生を振り返っているような エッセイが印象に残る。編集意図か?癌を患った著者の生への決意か? 不吉ではあるが、爽やかでもある


    「ことばのお洒落」は 若い人へのメッセージ。「ここ一番というときにモノを言うのは、ファッションではなく、ことば である」は 名言。ことばを身につけるために「本を読む」ことを最初にあげているのは、乱読家の著者らしい



    夜中の薔薇
    「夜中に花びらが散ると音がする〜気配というほうが正しいかもしれない。花びら一枚の寿命が尽きて落ちる〜ひとりでに散ることもある」


    牛の首
    「立派な死に方である〜人はこんな顔で死ねない〜牛は生まれたときから諦めている。人は、叶わぬと知りながら希望を持ち、生に執着しながら死んでいく。牛を食べる人間の方が、食われる牛よりおびえた顔をして死んでゆくのである」


    寺内貫太郎の母
    *年をとったからといって、どうして人生を「おりる」必要があるだろう〜最後まで人生の捕虜にならず、戦い抜くほうが素敵である

    *最後まであきらめず、勇猛果敢に生きてやろう。「生きて虜囚の辱め受けず」戦陣訓は、これからの私のスローガンである


    手袋をさがす
    「しかし、結局のところ私は、このままでゆこう。そう決めたのです〜反省するのをやめにしよう〜たったひとつ私の財産といるのは、いまだに手袋を探しているということなのです」



    ことばのお洒落
    *ことばは〜無料で手に入る最高のアクセサリーである。流行もなく、一生使えるお得な「品」である
    *身につけるには努力がいる。本を読む。流行語は使わない。人真似をしない


    ベルギーぼんやり旅行
    「まとまったものは何も見えなかったが〜色あいのはっきりした大国を見物するより、判らないなりに生き生きして、とても面白かった〜これが本当の外国旅行かなという気がしている」















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著者プロフィール

1929年東京生まれ。放送作家としてラジオ・テレビで活躍。「だいこんの花」「寺内貫太郎一家」等。80年に短篇小説「思い出トランプ」で直木賞を受賞したが、81年飛行機事故で急逝。著書に『父の詫び状』等。

「2022年 『家業とちゃぶ台』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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