壜詰の恋 (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061832039

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  • 世にも奇妙な物語のようなシュールなミステリー。

  • ブラック味の11話が収録された短編集。

    「壜詰の恋」
    ノワール・ノワールという香水を探す男性。
    ノワールとはフランス語で”黒”
    その香水を使う時、彼の前に美女が姿を現す。
    砂丘で出会った謎めいた美女とのめくるめく一夜。
    彼女は翌日、香水を残して忽然と姿を消していた。

    その香水が残りわずかとなり、男性は香水を探し求め、やがてある店で見つけたそれをまとめ買いするが-。

    以前、不幸がこれでもかと続き、どん底だった時に使っていた香水があります。
    香りは魔除けにもなるし、気分転換にと使っていたのですが・・・。
    しばらく使わずに取り出して使うと瞬時にその時のつらい気持ちが思い起こされて「うっ・・・」となった事がありました。
    音楽もそうだけど、香水はそれ以上にその時の記憶を思い起こさせる強力なアイテムだと思う。

    私なんかは久々に使った台所洗剤の香りですら、以前使っていた時の感情が呼び起こされたりする。

    それを思うと、香りを使う時は思い出したいような時に使えばいいんだろう、という事を思いました。
    意外にそういう時は香水になんて気をつくばらなかったりするんだけど・・・。
    そんな事も思わせるし、ラストでは別の事で「なるほどね。そういうもんだよね。人間の心理って・・・・」と思うような話です。

    「追われる男」
    男はある日、交通事故の現場を目撃する。
    車を運転していた男は主人公が住宅ローンを借り入れしようと思う銀行の支店長で、黙っていてくれるなら融資を優遇すると言う。
    一時はその男の言う通りにしようと思った男だったが、その後自分の後をつける男の存在に気づいて-。

    「長距離ランナー」
    二人三脚で生きてきた母親が亡くなる際、
    「困った時に母さんの名を呼びなさい。三回だけ助けに来てあげます。」
    と不思議な遺言を遺した。
    男はその後、困った事がある度に母親の名を呼び、事なきを得てきた。
    そして、4回目に母親を読んだ時-。

    「夫婦の休日」
    妻は流産して以来、生理の前になるとおかしな言動を繰り返すようになる。
    亡くなった子供が成長し、まるで生きているように振る舞うのだ。
    男はそんな妻に合わせながらも別の女性に心の安らぎを求めるようになる。

    「夢の街」
    弁護士として成功をおさめた男性。
    彼は苦学生だった頃のある思い出があった。
    夢の中の街で殺人を依頼され実行。
    そして、その報酬が何故か目覚めた彼の枕元に置かれていたという過去が-。
    彼の現在の成功はその金を足がかりとしたものだった。

    「灰色の声」
    死期が近い人間の声が聞き分けられる男性。
    その声は弱弱しく、男性は「灰色の声」とその声を名づけている。
    ある日、周囲の人間の声が全てその灰色の声となり、男は未曽有の災害が近づいている事を察知する。

    「賢者の贈り物」
    容姿にコンプレックスがあるが、独身生活を楽しんでいる男性。
    そんな彼のもとに差出人不明の贈り物が届く。
    その後もその贈り物は続き、ある日、古い鍵が届けられる。
    さらにその後、チラシ広告の地図をコピーし部屋番号が書かれた手紙が届き、興味をもった男性はその部屋を訪れる。
    そこには女性の死体があり、驚いて飛び出た男性はそこに待ち構えていた刑事に捕まってしまう。

    「魔除け」
    歯科技師の女性は妻のある男とつきあうようになる。
    やがて彼女が彼の子供を欲しいと言い出すと、男は彼女を自分の経営している工場に連れていく。
    そこにはアメリカから取り寄せたという最新式の機械があり、そこで女性は男にハンバーグをふるまわれる。

    個人的に「賢者の贈り物」と「魔除け」が面白いと思いました。
    これも以前何度も読み返した話なのに全く覚えてなかった。
    そういう話って、やはり読み返してもピンとこない話が多い。
    これもすぐに忘れてしまうんだろうな・・・と思いながらあらすじを書き出しました。
    本を読む時もその本に合わせた香水を使ったらいいのかも・・・。

  • これまた初期の方の亜刀田高さん作品。
    安定感半端ないですね!
    やっぱりこの人の書く小説は何度も読んでしまうと絶対にオチはわかるのですよ。が、オチがわかってだからなんだー!バリバリこの人の本質はそこではないんですよね。星新一さんの小説はなかなか読み進めてもオチは読めない作品が多かったりしますが、わかりやすいオチが大体です。一番嫌だなぁって思わされるオチにすれば、大体この人のオチです(笑)
    でもそこが問題ではなく、この人の作品の中の狂気の中の美しさ。これが一番私が好きな点なんですよね。この作品の中でもそう言う意味では、オチがタイトルと一行目を呼んだ瞬間にわかった、『冷たい関係』恐ろしい作品でしたね。ただ、最後らへんにある三行はシンプルながらに本当に美しい、と口に漏らしてしまう始末。でも一番今回恐ろしいのは『夫婦の関係』これは・・・数ある亜刀田高さん作品の中でも恐ろしいオチだと思います。ゾワゾワ、って気持ち悪いって嫌悪感。でも・・・心惹かれるこの感じ。

    あー亜刀田高さん大好きですねー!(結論)
    ぜひ読んでみてください。昭和の作品なので古いですがw

  • 阿刀田氏の本は小さい頃から愛読。
    たぶん昔読んだんだろうけど、旅の移動中に短編集はピッタリ。
    群馬でのライブペイントの帰りに読みはじめ、1日で読み終える。
    昔からこういう少し奇妙な話が好き。
    “追われる男”“賢者の贈り物”など

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著者プロフィール

阿刀田 高(あとうだ たかし)
1935年東京生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学科に入学し、結核を病む。大学卒業後は国立国会図書館に司書として勤務。『ころし文句』を長崎寛と著し、これがデビュー作となる。兼業しながら著作を刊行していたが、『ブラックユーモア入門』がベストセラーとなり、作家一本に。
1978年『冷蔵庫より愛をこめて』が直木賞候補。1979年『来訪者』で第32回日本推理作家協会賞、1979年『ナポレオン狂』で第81回直木賞、1995年『新トロイア物語』で第29回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。2003年紫綬褒章を受章。
古典に親しんでいたことから『ギリシア神話を知っていますか』などのエッセイも著名。
2007年から日本ペンクラブ会長。直木賞、新田次郎文学賞、小説すばる新人賞選考委員、講談社『小説現代』のショートショート・コンテスト選考をそれぞれ務める。

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