赤い猫 (講談社文庫)

著者 : 仁木悦子
  • 講談社 (1984年4月発売)
3.46
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061832138

赤い猫 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ふと、仁木悦子のミステリが愛おしくなっている自分に気づく。
    しかし過去のレビューを読み返してみると★★★をつけているものが多い。

    誤解を恐れずに言えば、ブクログレビューにつけている★の数は分類や検索の便宜上、なんとなくつけているのでほとんど意味はない。
    大抵の本は読んだら面白いので、本当は★なんてつけなくてもいいのである。
    インパクトに飢えている時に、胃袋にガツンとくるような肉汁の滴るステーキを食べると思わず★★★★★をつけてしまう。
    同じ肉でも食傷気味のときは★★★の場合もある。

    仁木悦子のミステリは炊きたての米の飯だ。
    結局、食べたくなるのは温かいごはん。
    普遍的で優しくて、でもついついありがたさを忘れてしまう★★★。
    多くの方に読んでもらいたい。

    短篇が六つ。

    表題作の『赤い猫』、そして『白い部屋』『青い香炉』
    色をタイトルに冠した三篇はそれぞれが、資産家の老婦人と家政婦、同じ病室の入院患者、豪雨で民宿に缶詰にされた泊まり客たちが、過去の事件をネタに推理を繰り広げ謎を解く安楽椅子探偵もの(『白い部屋』はベッド・ディテクティヴか)。
    各話共に違った仕掛けと捻りが効いていて面白い。

    『子をとろ 子とろ』
    幼稚園で流行っている怪談「子とろ女」
    その「子とろ女」を見たという若い母親の話から端を発する事件。
    昭和五十年代当時に書かれた物語ながら、都市伝説や、今でいうところの「ママ友」達の関係性が織り込まれていて大いに読ませる。
    短い話だがミステリとしても秀逸で気に入っている。

    『うさぎさんは病気』
    ピアノ教室の先生とその生徒。
    ピアノのレッスンで歌った詞の一部「うさぎさんは病気」という言葉から、おばあちゃんの死を連想して泣き出してしまった女の子。
    直後、この出来事がまるで予言であったかのような事件が。
    童謡めいたタイトルとは裏腹に、めくるめくような推理と冒険。

    『乳色の朝』
    以前は社会部に籍を置いていたが激務で健康を害し、学芸部へ移動となった新聞記者。
    家庭欄の原稿を取りにいった大学教授宅で巻き込まれた誘拐事件と、その解決へと向けた奮闘。
    魅力的な設定。そしてタイムリミットサスペンスと推理の面白さ。

    全体を通してみても粒選りの作品集。
    特に何篇かは、仁木悦子ファンには嬉しいサプライズもあり。

    こうやってレビューを書いてみると、あらためて舞台設定の巧さ、構成の妙、語り部としての技、仁木悦子のミステリ作家としての力量を再確認。
    「日本のクリスティ」との異名も伊達ではない。
    それでいて、物語には人と人との繋がりや心の機微までもがきちんと描かれている。

    毎日食べても食べ飽きない米のごはん。
    噛めば噛むほど甘みや滋味に富み、結局は忘れられない味となる。
    それって本当に凄いことなんだな。
    当たり前すぎてあえて言わなかったけれども、たまには
    「お米うめぇー! 仁木悦子って凄ぇー、超おもしれぇー!」
    って大声で叫ばなければなるまい。

  • イメージ参照(http://kentuku902.seesaa.net/article/387160130.html)
    (収録作品)青い香炉/白い部屋/子をとろ子とろ/乳色の朝/うさぎさんは病気/赤い猫(日本推理作家協会賞(1981/34回))

  • ミステリー短編集。奇をてらわず安定した落ち着いた面白さでした。仁木兄妹もちらりと登場してて、思わずにやり。表題作「赤い猫」の二人の関係がとてもよかったです。

  • この作家の描く推理小説は、登場人物に愛着が持てる気がします。だから読みやすくも感じる。本書の内容は、老婆とメイドが遭遇する泥棒探しと、過去にメイドの母親が殺された事件の犯人探しの推理小説仕立てになっています。

    仁木悦子氏の作品を読んだことの無い人は、この本から入ってみてはどうでしょうか??

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