- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061832435
作品紹介・あらすじ
裕福だが愛のない夫との家庭から、調香師として自立しようと香水会社で働き始めた彩子。完成された大人の女の魅力を発散する彩子の前に、激しい愛を寄せる青年調香師・彰吾が現われて――。東京と南仏の香水の町・グラスを結んで燃え上がる2人の恋とその悲しい行方を濃密な香水の香りのなかに描く長編小説。
感想・レビュー・書評
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気鋭の調香師として研究所で働く彰吾。所長の娘との縁談が進む中、美しい人妻彩子が新しい調香師として研究所にやってくる。彩子の抗いがたい魅力に翻弄されながらも自制する彰吾だが…。
香水を小道具に日本とフランスを舞台に彰吾と彩子の恋愛が展開される。結ばれるのか、このまますれ違うのか。先の見えない展開につい先を急いでしまう。そのラストにもハッとする驚きがあった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が二十歳の頃にドラマ化され放映されていた。
裕福だが籠の鳥な人妻が、若い青年を愛するようになる。
お互いに惹かれ合っていながら、
なかなか触れ合うことができない切なさ。
注目すべきは、主人公彩子の夫。
じわじわ迫り来る恐怖。粘着質な苛め方に腹が立つ。
しかし、それも妻への愛ゆえだったのかもしれない。
結末は悲しすぎる。
そうするしかなかったのだろうか・・・。 -
平岩の祭シリーズはいくつかあるが、私はこれが一番好き。恵まれた家庭の妻でありながら、ただ夫との間だけはどうしようもなかった女に新しい男が現れる。嫉妬に狂った夫が二人を執拗に追いかけていく。家庭から自立したかった妻。妻を誰にも触れさせたくない夫。女を助けたい男。最後は本当に哀しい。