夏服を着た女たち (講談社文庫 外 114-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061832480

感想・レビュー・書評

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  • 昔読んだ本を再読。表題作、「80ヤード独走」「ニューヨークへようこそ」「フランス風に」は記憶に残っていた。
    80年代当時アーウィン・ショーはニューヨークの洒落た作家という売りだったが、今読んでみると、ニューヨークやパリを舞台にしてはいるものの、登場人物は人生に敗れた人が多いし、男女の心のすれ違いがあらわになるシーンを描いていて、なかなかビターである。
    男女の心のすれ違いの白眉が表題作。
    大恐慌をきっかけに、夫婦の生き方の違いが埋められない溝となっていく「80ヤード独走」、長期出張の間恋人を待たせることを繰り返し、自分が帰ってくるのを恋人が心待ちにしていると思い込んでいた男が別れを告げられる「フランス風に」もなかなか良い。この辺りが代表作と言えるかもしれない。
    「アメリカ思想の主潮」「カンザス・シティに帰る」は家族を一馬力で養う男の辛さが描かれていて、隔世の感は否めない。妻も働けよと思うが、当時はこれが共感を呼んだのだろう。
    「ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ」もちょっとマッチョで古臭い。
    アーウィン・ショー自身ショービズ界にいたこともあるので、脚本家や売れない女優(俳優と書きたいところだが、ここに出てくるのは「女優」だけ。)が主要人物になっているものも多い。
    女優ものとしては「ニューヨークへようこそ」「憂いを含んで、ほのかに甘く」があり、「ニューヨークへようこそ」のグレタ・ガルボに似た女は強い印象を残す。
    移民として差別されてきたタクシー運転手のプライドと夫婦の価値観の対立を描いた「原則の問題」も良かった。
    しかし、訳には「?」となる部分があり、そもそも「夏服」が制服のイメージだし、小笠原豊樹の「サマードレスの女たち」で読んだ方が良かったんじゃないかという気がする。

  • わたしにもチャンスとか大きな選択が降ってくる前に、賭け事でもしてそれを楽しめるぐらいの度胸でも蓄えとこうかな

  • 【内容】誰もが少しずつ不幸だ。誰もが少しずつすれ違ってる。
    【感想】古書店で、表紙が素敵だと思って買った。和田誠さんだった。あっさりさと、そこはかとないカッコよさはよく似合ってる。
    (2014年06月07日読了)

  • 「愁いを含んで、ほのかに甘く」は角川映画「Wの悲劇」の元ネタですね。「Wの悲劇」自体、公開からもう30年も経つんだな…。

  • タイトル「夏服を着た女たち」を始め、都会で暮らす男女の悲哀漂う10の物語。
    何といっても常盤新平の訳がたまらなく洒落ている。

  • アーウィン・ショーなんて作家、あまり知らなかったのだが、古本屋で安かったので買ってみた作品だった。
    古本の面白さは、やはり出会いであるね。出会わなければ読まなかったであろうし、読んだことによって読書生活がずいぶん豊かになった気がする。

  •  会話の運びが上手いと評判の、アーウィン・ショウを読了。短編集。感想は後日。

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著者プロフィール

1928年、東京に生まれる。明治大学文学部卒。作家、翻訳家。女子美術大学教授。はじめ批評家として文壇に登場し、演出、翻訳、小説、評伝と多彩な活動をする。代表作『ルクレツィア・ボルジア』『メディチ家の人びと』『メディチ家の滅亡』(以上、評伝)『おお季節よ城よ』(小説)など多数。今年から、選集「中田耕治コレレクション」(青弓社)が出版される。翻訳家としては、アイラ・レヴィン『死の接吻』『スライヴァー』、クライヴ・パーカー『ダムネーション・ゲーム』、アナイス・ニン『北回帰線からの手紙』(深田甫と共訳)ほか多数。

「1992年 『結婚まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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