焦茶色のパステル (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061832992

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  • サラブレッドを飼育する牧場で、牧場長・深町と競馬評論家・大友、そして親子二頭のサラブレッドが猟銃により射殺された。香苗(大友の妻)・芙美子(香苗に親友、好奇心旺盛)の女性コンビが事件の真相に挑む。サラブレッドの血統を巡るミステリー。昭和57年の作品。

    本作のミソは、サラブレッドの厳しい掟と競走馬の毛色の遺伝則。

    始祖の三頭にまで遡る血統がきちんと証明できる馬=サラブレッド。両親がサラブレッドであることが正しく証明できない馬はサラブレッドでなく、どんなレースにも出場できない.したがって血統不明な馬は競走馬としての価値ゼロ。

    毛色の遺伝則は、「栗毛同士の親からは栗毛の仔馬しか生まれない」など。

    ラストにどんでん返しがあり、オチにも納得。完成度の高い作品だった。公衆電話を使って連絡を取るなど、昭和のレトロ感も良かった。

  • 大好きな岡嶋二人先生のデビュー作。江戸川乱歩賞受賞作品だが、個人的には前年の「あした天気にしておくれ」であげていればよかった気もするが。著者お得意の競馬を絡めた作品で大きな陰謀に巻き込まれ殺されてしまった夫の死の真相を暴くサスペンスフルな内容。トリックよりもサスペンスに力を入れており読ませるのだが、まあデビュー作だよな、という出来ばえ。ただ、岡嶋二人さんらしい始めからトップスピードで展開される物語はやっぱり面白い。人物描写としては主人公の友達、芙美子の存在が大きい。セリフの一つ一つがカッコいい。

  • 久しぶりに岡嶋二人さんの本を読んだので再読。
    たぶん岡嶋二人さんで一番好きな本。
    競走馬をテーマにしたミステリで面白いと思う。
    携帯電話がない時代なのも、今改めて読むと新鮮ですね。

  • 2016年31冊目。
    かなり昔だけど少しだけ競馬やったことあったから、そんな昔を懐かしみながらあっという間に読んでしまったw
    ミスリードにいちいち引っ張られて、結局最後の最後まで分からなかった^^;
    クラインの壷と99%の誘拐が相当おもしろかったから、比べちゃうとやや評価下がるけど、それでも全然楽しめた。
    他の作品への期待も高まった!早く次読みたい!w

  • 有馬記念前日に気合を入れるために読んだ1冊。
    なるほど、面白い。
    疑惑の対象におけるミスリードはやはり有効なんだなぁ、としみじみ。これはかなり高いレベルで成功してるんじゃないかなぁ。
    競馬に興味がない人でもこれは楽しめると思う。
    これが書かれた時代のクラシックが4歳だったり、秋華賞がまだなかったりと、競馬好きはそういう部分でも楽しめる。
    てか競馬ミステリ超面白い。

    有馬記念は負けました。
    本命が最下位に飛びました。
    競馬は超面白くない。

  • 2015.5/11〜15。競馬ミステリ。知識がなくても充分に楽しめたが、あまりにわからなすぎて少し?なところも。しかし飽きのこない展開に読ませる筆力はさすが。これがデビュー作なんてレベルが高い。岡嶋作品はたくさん積んでるから楽しみ。

  • 前半は事件について淡々と迫っていくのだが、後半はどんでん返しの連続で…思い描いていた犯人とは全く違うところから様々な関連事項が続いてきました。競馬について、馬についてわからなくても、非常に面白く最後まで読めました。少々、生物学的な部分も有りましたが、「へぇ~」っという感じで読み進められます。

    また、作品の題名がこのミステリーをより傑作に持っていった要素だと感じました。パステルカラーというと柔らかいイメージだが、この作品のパステルは「事件を解く鍵」でした。

    『99%の誘拐』も面白かったのですが、私はこの作品の方が面白いと思いました。

  • 今流行りの刑事物やハードボイルドではないのだが懐かしい様な推理小説で競馬を知らなくても十分に楽しめる内容で面白かった。
    人妻になった主人公はどこか頼りなく競馬の事も知らない素人なので存在感は薄く居なくても良かったのかもしれないが、まあ自分の様な素人には競馬について丁寧な説明もあったのでこれはこれで良かったのだろう。
    最後の真犯人探しはコイツかって思って騙された。
    ちょっと悔しい。

  • ☆4.5

  • 最初は割とゆったりした展開だと思いながら、当時のカルチャーを楽しみつつ読んでたんだけど後半はスピード感があってよかった!
    (バカ◯ンカメラとか、もう絶対使われない言葉があってそういう部分も楽しませてもらった)
    相変わらず岡嶋さんの作品は、人物や背景には時代を感じさせるけど、トリックやら事件には古臭さを感じさせない。
    今回は競馬の話だったのでもうなにもかも知らないことばかりだったけど、そういう点も勉強になっておもしろかった。
    競走馬って血筋がめちゃくちゃ大事なのね…。

    動機の部分が個人的にはすごく納得のいく形で、なるほどこれはどうしようもないなと。同情するわけでは全くないんだけどね。
    あと浜坂のおっちゃんめっちゃいいひとだった…!

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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