焦茶色のパステル (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061832992

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな岡嶋二人先生のデビュー作。江戸川乱歩賞受賞作品だが、個人的には前年の「あした天気にしておくれ」であげていればよかった気もするが。著者お得意の競馬を絡めた作品で大きな陰謀に巻き込まれ殺されてしまった夫の死の真相を暴くサスペンスフルな内容。トリックよりもサスペンスに力を入れており読ませるのだが、まあデビュー作だよな、という出来ばえ。ただ、岡嶋二人さんらしい始めからトップスピードで展開される物語はやっぱり面白い。人物描写としては主人公の友達、芙美子の存在が大きい。セリフの一つ一つがカッコいい。

  • 今流行りの刑事物やハードボイルドではないのだが懐かしい様な推理小説で競馬を知らなくても十分に楽しめる内容で面白かった。
    人妻になった主人公はどこか頼りなく競馬の事も知らない素人なので存在感は薄く居なくても良かったのかもしれないが、まあ自分の様な素人には競馬について丁寧な説明もあったのでこれはこれで良かったのだろう。
    最後の真犯人探しはコイツかって思って騙された。
    ちょっと悔しい。

  • ☆4.5

  • サラブレッドを飼育する牧場で、牧場長・深町と競馬評論家・大友、そして親子二頭のサラブレッドが猟銃により射殺された。香苗(大友の妻)・芙美子(香苗に親友、好奇心旺盛)の女性コンビが事件の真相に挑む。サラブレッドの血統を巡るミステリー。昭和57年の作品。

    本作のミソは、サラブレッドの厳しい掟と競走馬の毛色の遺伝則。

    始祖の三頭にまで遡る血統がきちんと証明できる馬=サラブレッド。両親がサラブレッドであることが正しく証明できない馬はサラブレッドでなく、どんなレースにも出場できない.したがって血統不明な馬は競走馬としての価値ゼロ。

    毛色の遺伝則は、「栗毛同士の親からは栗毛の仔馬しか生まれない」など。

    ラストにどんでん返しがあり、オチにも納得。完成度の高い作品だった。公衆電話を使って連絡を取るなど、昭和のレトロ感も良かった。

  • 最初は割とゆったりした展開だと思いながら、当時のカルチャーを楽しみつつ読んでたんだけど後半はスピード感があってよかった!
    (バカ◯ンカメラとか、もう絶対使われない言葉があってそういう部分も楽しませてもらった)
    相変わらず岡嶋さんの作品は、人物や背景には時代を感じさせるけど、トリックやら事件には古臭さを感じさせない。
    今回は競馬の話だったのでもうなにもかも知らないことばかりだったけど、そういう点も勉強になっておもしろかった。
    競走馬って血筋がめちゃくちゃ大事なのね…。

    動機の部分が個人的にはすごく納得のいく形で、なるほどこれはどうしようもないなと。同情するわけでは全くないんだけどね。
    あと浜坂のおっちゃんめっちゃいいひとだった…!

  • 久しぶりに岡嶋二人さんの本を読んだので再読。
    たぶん岡嶋二人さんで一番好きな本。
    競走馬をテーマにしたミステリで面白いと思う。
    携帯電話がない時代なのも、今改めて読むと新鮮ですね。

  • 少し前の淑子さんのラジオ番組で島田明宏氏が自分の本のことを喋っていたのだが、そこでディック・フランシスのことも話題にあがり、それを聞いたら久し振りにちゃんとした競馬ミステリーが読みたいなと思って、「ノン・サラブレッド」を買ったついでに、大昔に読んだこの本も買ってきた。

    東北の牧場で起こった競馬評論家と牧場長、それにサラブレッド親仔が撃ち殺されるという事件を、競馬のことには全く無知な評論家の妻と、競馬新聞の会社に勤めるその友人の女性二人で追っていく。
    何か毛色に纏わる話だったことだけ覚えていたが、細部はもとより大筋もすっかり忘れていて殆ど初読と同じ、いや、ちょっと分かっていた分、気を回しながら読めて十分楽しめた。

    現在では血統登録にあたって、この本の時代と異なりサラ系全産駒について血液型検査はもとよりDNA型の検査も行われ、個体識別にはマイクロチップも併用されるようになっているので、ここにあるような話は起こりようもないのだが、「ノン・サラブレッド」でも1970年代の血統に対する考え方について『一応こだわってはいたけど、今と違ってごまかしが利いたから…』と書かれていたように、1982年に書かれたこの本はまさにそうした時代背景があってこそのお話。
    図らずも血統に纏わる話を続いて読むことになったが、そこには何年競馬をやっていても汲めども尽きぬ奥の深さを感じる。

  • 競馬を題材としたミステリ。
    ディック・フランシスの作品と同様に、競馬に然程興味が無くても楽しめる。ミステリそのものに興味が無かったら分からんけど。
    女性二人のバディ物としても楽しませてもらいました。
    何だか、近年の読書傾向に毒されてるなー。

  • 1984年出版か。
    設定や思考が色々旧くて、え?そういう反応?という違和感がちょっと邪魔だったw
    ラストで示される競走馬への思いが残念だった。人の都合で生まされ育てられ走らされる馬たちだが、人の都合で死んでいいのは人だけだ。

  • 競馬にまつわるミステリー。競馬のことを知らなくても楽しめます。少し競馬のことを知ることができるのが、知的好奇心を刺激するし、何よりもトリックがおもしろい。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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