鬼面の研究 (講談社文庫 く 2-7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061833012

感想・レビュー・書評

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  • 伊集院大介の第3作。昭和59年(1984年)8月刊行です。面白いです。
    九州の山奥にある、鬼の末裔が住むと言われる「鬼家荘(くがのしょう)」に、主人公の森カオルと伊集院大介、テレビの撮影隊が入る。村への唯一の進入路の吊り橋が落ちてしまい、みんな村に閉じ込められた中で、次々と猟奇的な殺人事件が起こる、、、ちょっと横溝正史みたいな感じですね。
    途中、伊集院大介、なにブツブツ言ってるんだ、と思うところもありますが、最後は見事に犯人が特定され、トリックも暴かれます。探偵小説の王道的な展開です。
    昭和59年とずいぶん古い作品ですが、でも今読んでも面白く読めます。とても「探偵的な」伊集院大介です。

  • 前半はすごく面白かったんだけど/ 30年も経って普通に読ませるというのはなかなかだと思うんだけど/ 当時の本格連中にありがちな、トリックが無理矢理というか、スマートじゃない/ 農薬入れられた直後の都合のいい思考とか/ 因習のある民俗ミステリというくくりでいったら、ひぐらしの方がまだひきこまれるよ/ ..

  • 伊集院大介シリーズ。
    前作の「優しい密室」から突然10年くらい時間が経っていて、女子高生だった森カオルが作家デビューしていてびっくりした。刊行順に読んでいこうと思ってるんだけど「優しい密室」と「鬼面の研究」の間にも何か出ているんだろうか?
    ナウい、など言葉遣いに時代を感じる。最初は横溝正史的世界観にわくわくしたけど、TVクルーの俗っぽさの方が勝っていた。伊集院大介さんの好人物っぷりも影を潜めていて残念。突然他作品のネタバレを挟んでくるのは勘弁してほしい。

  • 伊集院大介シリーズ


    山奥の村
    鬼の末裔
    隠れ住む村

  • 秘境とも言える閉鎖的な山村に取材に来たテレビスタッフと作家の主人公、そして主人公の友人の名探偵が、橋が落ちて帰れない状況で連続殺人事件に巻き込まれる王道的展開のミステリ作品。
    村の因習や民族学的な要素を加えておどろおどろしい雰囲気を出しつつ、読者への挑戦も含めて本格ミステリの要素も詰め込んでおり、それらがうまくバランスをとって成り立っています。フェアかと言われると少し微妙かなとは思いますが。
    一人称のリズムに上手く乗れなかったのですが、これは相性ですね。後半の早い展開はよかったです。探偵は思わせぶりなことばかり言ってないで早く動けよとか、内心突っ込みいれながらではありましたが楽しめました。
    テレビやマスコミに対する作者の見解は同意する点もありますが少しくどかったかな。

  • 「嵐の山荘」「予告殺人」「見立て殺人」「首のない死体」「ダイイング・メッセージ」「読者への挑戦」とミステリーのガジェットをこれでもかと詰め込んでいます。生首の使い方は良かったものの、その他はよくあるパターンで内容がやや希薄な気がしました。
    また、「読者への挑戦」は犯人を特定する材料が足りないので、ややアンフェアかなと思いました。

  • 読破二巡目。
    以前読んだときは、もっとおどろおどろしくて、
    景色描写とか好きだった。
    今回は、設定の不安定さが気になった。知っている内容だから
    読み飛ばしてしまったのか?
    鬼を題材にしているけれど、実はそんなに鬼そのものが
    おどろおどろしいわけでなく、やっぱり殺人者のトリックの陰惨さが
    そうさせていることの描写力には脱帽。

    今のスピリチュアルブーム、前世ブーム、神様・妖怪ブームをもとに、
    栗本氏はどんな創作をしただろうかと、ちょっと悔やまれる。
    後年結構グリップ力より創作飛翔力が強くてアクが強くなって
    しまったが、それでも、新しい作品を読みたいなあと思う、今日この頃。

  • ミステリーの基本がだいたい出て来ますね。

  • うーん、なんだかなぁ。文章もすごく上手だし、内容も立派な「本格」だし、テーマも重いし、言うこと無いんだけど、すごく面白かったかと問われれば、なんだかなぁ、と答えたくなる。
    こう、物語の中に入って行けないというか、言葉ばかり多くて上辺を攫うのに精一杯というか。
    伊集院大介のキャラクターもイマイチ把握しにくいし、なんといっても「私」である森カオルの性質が余り好きになれない。たぶん栗本薫の顔がチラチラするから、文中で大介に「お姫様」呼ばわりされるのとかが気に入らないんだと思う。何がお姫様だよ栗本薫(のくせに)!

    伊集院大介の手法は、基本的に「登場人物の心理を読む」というやり方なのだけど、これはどうなんだろう。理論的に「これがこうでここに無理があるから、この人が犯人とはあり得ない」というのじゃなくて、心理的に「こうなるはずがない」と読み切ってしまうのは、多少難があるんじゃないだろうか。それこそステロタイプに当てはめすぎというか、危険な手法だなぁと思うのだけど。あとがきによるとどうやらこの手法は前作でもこれから先も取られ続けるみたいなのだから、まぁ何作か読んで判断することにしよう。

    それにしても動機というのは難しいな。事件が大仰であればあるほど、それに見合った動機が必要になってくる。本作の動機もさることながら、「十角館」の動機、「人狼城」の動機、その他もろもろ、動機がいまひとつ真に迫ってこない、というのはたびたび思うこと。
    いっそのこと「8の殺人」のような解釈にしてくれた方がすっきりしたりする。

  • 森かおる が,栗本薫だということはすぐにわかる。
    伊集院大介という守護神がいるように、
    栗本薫にも旦那の雑誌編集者が温かく見守っている。
    やってられないといえば,やってられない。

    それはさておき,地方の風習と鬼に関する題材。
    鬼とはなにか,鬼の一族の取材を強行したが故の殺人事件。

    やや悲しい物語。

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著者プロフィール

東京都生まれ。早大卒。江戸川乱歩賞、吉川英治文学新人賞受賞。中島梓の筆名で群像新人賞受賞。『魔界水滸伝』『グイン・サーガ』等著書多数。ミュージカルの脚本・演出等、各方面でも活躍。

「2019年 『キャバレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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