女の国になったカンボジア (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.80
  • (1)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 11
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061833449

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • (1999.03.17読了)(1993.11.05購入)

    ☆関連図書(既読)
    「あの日、ベトナムに枯葉剤がふった」大石芳野著、くもん出版、1992.11.20
    「小さな草に」大石芳野著、朝日新聞社、1997.04.01

  • 戦争や内乱のあとの人々を撮り続けるカメラマンが、ポル・ポト政権
    崩壊後の1980年にカンボジアを訪れて書き記したルポルタージュである。

    忘れがちではあるが、ベトナムと同様、カンボジアもアメリカの阿呆な
    介入で多くの不幸を被った国である。

    フランス領からの独立を勝ち取り、シアヌーク国王(当時)のもと、
    不完全ではあるものの肥沃な国土で「国」としての姿を作りつつあった。

    しかし、お節介焼きのアメリカによって、首相であったロン・ノル将軍の
    クーデターが起こる。

    そして、腐敗したロン・ノル政権に対するポル・ポト率いるクメール・
    ルージュの台頭で国内には恐怖政治の嵐が吹き荒れる。

    まず弾圧されたのは宗教だ。僧侶であるというだけで殺され、次には
    知識階級・富裕階級、医師、教師、看護人と続き、フランス語や英語を
    解するというだけの理由で多くの人々が殺害された。

    政権崩壊後、クメール・ルージュによる虐殺はでっち上げだという論議が
    あった。だが、著者は強制移住させられた人、クメール・ルージュの
    元幹部等に取材し、その残虐さを見事に書き上げている。

    また、ジェノサイドの証拠ともいえる人骨を発掘し、写真に収めてもいる。

    老人と子供を残し、多くの男性が殺害された国で、後に残されたのは女性
    ばかり。その女性たちが恐怖政治を耐え抜き、再度、人生を立て直そうと
    している時代の話だ。

    秀逸なルポルタージュだが、現在は絶版らしい。残念…。

  • 1980年当時、「虐殺なんて嘘だ。ポル・ポト政権にも多少の間違いはあったかもしれないが、それは理想的な社会主義を目指していたからこそだ。その政権を力で崩したベトナムは許せない。」という意見が大多数をしめていたときに、果敢に現地取材を試み、ポル・ポト政権の真実を暴こうとしたルポルタージュ。

    本の内容はもちろんのこと、掲載されている写真も痛々しいものが多く、改めて当時の悲惨な状況のことを知ることができました。ポル・ポト派幹部の証言などもあり、まさに迫真の取材です。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

●大石芳野(おおいし・よしの) 東京都出身。写真家。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、ドキュメンタリー写真に携わり今日に至る。戦争や内乱、急速な社会の変容によって傷つけられ苦悩しながらも逞しく生きる人びとの姿をカメラとペンで追っている。2001年土門拳賞(『ベトナム 凜と』)、2007年エイボン女性大賞、同年紫綬褒章ほか。

「2015年 『戦争は終っても終わらない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大石芳野の作品

女の国になったカンボジア (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×