- Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061833548
感想・レビュー・書評
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福島第一原発の章しか読んでいないけれど記録に残しておきたくて。
原発の下請け会社で作業員として働いていた人が日記形式でありありとその現状を書いている体験記。
40年前くらいの本だけれど、
何十年と続けられてきた構造の元、
それに携わる人間の過酷さは生々しい程に映し出されていた。
中でも内部被ばくという長期的な恐怖よりも目の前の肉体的苦痛から逃れるために防護マスクを脱いでしまうことや、作業時間を確保するためにわざと放射量測定メーターを木箱に入れて作業に取り組むなど利己的な感情の為にシステムが上手く機能していない様子は機械による制御の限界を感じた。
また、作業員の事故が東電側にバレると報道沙汰になり
結果的に下請けの契約を解除されてしまうことを避けるべく、労災を下ろさず事を済ませてしまうことについては、人と組織の権力構造の闇を見たようだった。
さらに、浪江や双葉町などの地名も出てくるのでイメージしやすく、
だからこそありありと彼らの暮らしぶりが想像出来て胸が苦しくなった。
見えないものに対する恐怖や緊張感は、原発に限らず
現在の感染症対処における病院従事者も同じである。
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原発だって結局は人の手で支えられているし、これからも人の手がないと維持できないことが良く分かる。料理が自動でできないのと同じように、発電所の施設だってたくさんの人たちがススを掃除したり、配管を修理したり頑張っている。だから必ずミスもする。人が扱いきれない技術は使ってはいけないと思った。
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原発ジプシーとして美浜→福島→敦賀と渡り歩いた堀江さんの体験記。
劣悪な環境で現場の労働者がいかに大変な作業をしているかわかった。安全管理のずさんさ、放射線の脅威、労災隠し…
世の中の色んなモノは様々な犠牲の上に成り立っている。 -
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4061833545
── 堀江 邦夫《原発ジプシー 198410‥ 講談社文庫》